2018年10月の関西旅行 近鉄大阪線青山峠越え
2018年10月の関西旅行、伊賀神戸からは近鉄大阪線に乗り換え、「近鉄の峠」と言われる青山峠を越えました。
2018/10/7 東青山駅駅名標と案内板 ここでは特急列車の2本通過待ちのため長時間停車となりました。
2018/10/7 東青山 駅のホームからトンネルの山の方を見上げると風力発電の風車が見えました。
かつて大阪の人間が伊勢詣りする際は初瀬街道を通り、最大の難所は布引山系を超える青山峠でした。
伊賀鉄道の歴史でも登場しましたが、大阪電気軌道は伊勢への進出を図り、1927年9月28日、参宮急行電鉄を創立し、桜井~宇治山田間97.5kmの建設を進めました。この工事においても最大の難所は全長3432mの青山トンネルの掘削で1930年8月6日に完成しました。これにより、同年12月20日から大阪上本町~山田(現、伊勢市)間で大軌~参急直通の急行運転が開始されました。1931年3月17日には、宇治山田まで延伸、1932年1月1日には大阪上本町~宇治山田間を2時間で走破する特急の運転も開始されました。
上下とも各停が特急の通過待ちを行い、阪名、阪伊などの特急が駆け抜けてゆきます。
桜井~宇治山田間の約6割は複線で開通しましたが、青山峠を越える山岳地帯の名張~伊勢中川間41.7kmは単線でした。将来の複線化に向け、複線仕様で建設された構造物も存在し、1959年から開始した輸送力増強のための複線化では大いに役立ちました。しかし、最後まで残されたのが青山峠を含む8か所の単線区間でした。そういった矢先の1971年10月25日、総谷トンネル内で上下特急列車が衝突する事故「通称:青山トンネル事故」が発生しました。
事故の概要:青山トンネル東口手前200mの地点で上本町発名古屋行き特急電車114列車(12200系12202F・12000系12001Fの4両編成)がATS故障のために誤停止しました。同日、青山トンネルを通過した上り5本、下り1本の列車が同様の緊急停止事故に遭っており、原因究明のため信号保守要員が現場に派遣され、地上子関連の検査を行ったものの原因が掴めず、当該要員や東青山駅助役が中川信号区に計測機器等を現場に持ってくるように連絡していました。114列車運転士はATS解除操作をおこなったもののブレーキが解除できず、停止地点は下り33‰勾配のため、車輪に手歯止めを挟み、各車両の供給コックをカット、ブレーキシリンダーのエアを全部抜くという非常措置を行いました。
列車停止を聞いて東青山駅から駆け付けた助役が運転士とのやり取りの後、手歯止めを抜いてしまい、運転士は供給コックのカット解除を怠り、運転室に戻り、ブレーキを解除したため、114列車は走り出し、エアの再充填が出来ないまま、ブレーキの効かない状態で33‰の下り坂を暴走、15:58頃、東青山~榊原温泉口間にあった垣内東信号所の安全側線を120km/h以上で突破、脱線転覆、本線への切通しへと転落しました。3両目以降は総谷トンネル入り口付近の壁に激突して停止しましたが、先頭2両は横転した状態でトンネル内に突入しました。運悪く、対向してきた賢島発京都・近鉄難波行き特急1400N・1400K列車(12200系12226F・10100系C編成10118F・18200系18205Fの7両編成)が前方の異変に気付き非常制動をかけたものの、間に合わず正面衝突しました。これにより、乗客20名、両列車の運転士2名、車掌2名と東青山駅助役の5名の25名が死亡、重軽傷者227名を出す大惨事となりました。
その後の事故調査から事故の発端となったATSの故障はATS電源装置のヒューズ端子締め付けナットの緩みからくる接触不良と判明しました。
山間のトンネル内での事故のため復旧に時間がかかり、10月29日午前1時に復旧し、同日始発より運転が再開されました。この事故で12200系12202Fおよび12000系12001Fの4両が廃車となりました。この4両は製造から2-4年の車両でした。
この事故が引き金となり、複線化は加速され1975年11月23日、西青山~垣内東信号所間8.2kmの複線化完成で大阪線の全線複線化が実現しました。
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