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2019年11月28日 (木)

阪急新性能車の系譜 抵抗制御方式 その2 2000系、2100系、2021系、2300系、2800系

今回は昨日に引き続き、2000番台の系列です。

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年代的には1960年代初頭から1970年代中期までで、最初に神戸線にデビューした2000系は回生制動と定速運転制御機能を持ち、「人工頭脳電車」「オートカー」と言われた電車でした。そしてその車体構造は1997年から製造された8000系の最終グループまで引き継がれ、以降の阪急におけるスタンダードとなりました。前世代の1000系、1010系が全電動車タイプの編成であったのに対して、制作費の高騰からMT編成とし、鉄道車両の法定耐用年数が20年から13年に短縮されたこともあり、工程を可能な限り簡素化し、車両寿命が短くなることを承知の上で、製造・維持コストの圧縮を図ったのがこの系列軍の特徴でした。
神戸線用2000系が東芝製定格出力150kWの主電動機、WNドライブ・歯車比5.31、電力回生制動併用のHSC-R電磁直通ブレーキ装備、制御方式は電動カム軸式制御器に分巻界磁制御器を付加し、1C4M方式で直並列の切り替えを行い、MGと同軸に取り付けた昇圧機を主電動機の分巻界磁と直列に接続し、マスコンの位置、指令速度、実速度、主回路電流によって決まる増幅率を磁気増幅器で演算し、他励界磁電流として制御しました。当時の自動制御技術としては最新の技術で、乗客数、勾配、電圧の高低に関係なく定速で運転することも可能となりました。ただ、実用化後、磁気増幅器の応答性が必ずしも良好ではなかったことや昇圧機が架線電圧の変動に影響されるMGを動力源にしていたことなどから各車で増幅率の調整が難しく、保守上の問題となり、1500V昇圧時には分巻界磁制御器が廃止される一因ともなりました。

宝塚線用派生系列2100系では同線の特性に合わせ、主電動機定格出力は100kW、歯車比は6.07に設定されました。定速運転機能は600V専用だったため、昇圧後は同機能、回生ブレーキは撤去されました。

以前にも触れましたが、1963年に神戸線、宝塚線の架線電圧昇圧が決定され、600/1500V対応用として両線向けに製造されたのが2021系でした。複電圧車といっても走行中に切り替えることはできず、車庫、若しくは工場で各車床下の主回路、補助回路の切り替えSWを切り替えるか端子盤の結線変更を行うもので、2000系同様定速運転機能も有していましたが電気関係、主制御器の構造が複雑であったため、電動車2021形、制御車・付随車2071形が21両ずつ製造されたあとはより構造が単純な3000系、3100系に移行しました。昇圧後は1500V専用車になりましたが、電気配線や制御器関係のトラブルが相次ぎ、最終的には電装解除され、冷房化に際しての改番で2071系となりました。

京都線に投入された2300系は2000系、2100系の姉妹車ですが、新京阪時代からの慣例で東洋電機製造製の電装品を使用し、主電動機は150kW 、駆動方式も東洋電機製造開発の中空軸並行カルダン方式(歯車比5.25)となっています。制御器は東洋電機製造製ES-755Aで、電動カム軸制御器による抵抗制御と分巻界磁制御で構成され、分巻界磁電流の調整は、分巻界磁と直列接続した227段の界磁抵抗器(FR)の端子を円筒状に配し、その上をサーボモーターで駆動する接触子を移動することで行い、抵抗値を変更する方式でした。このサーボモーターの制御をトランジスタを用いた増幅器で行うのが2300系の最大の特徴でした。主電動機4基は永久直列接続されました。ブレーキは回生ブレーキ併用電磁直通ブレーキHSC-Rです。既に1500Vだった京都線から、宝塚線十三~梅田間を走行する際のために600Vに対応する電圧変換器が装備されていました。

1963年の大宮~河原町間延伸に際し、1964年、阪急初の特急専用車として登場したのが2800系でした。それまでは2扉クロスシートの710系、1300系に加え、増備中だった2300系が特急運用を担当していましたが、3扉ロングシートは不評であり、ライバルの国鉄京阪神快速は80系から113系に置き換えられ、京阪は淀屋橋延長を機に2扉クロスシートの1900系を投入し、客を奪われる状況にありました。機構的には2300系をベースに2扉・転換クロスシート車としたのが2800系でした。形式番号2800は、後に3000,3100としてデビューした昇圧即応タイプの車両が本来は2500,2600として当時、計画されており、これに300を加えた2800としたのが由来だそうです。
1969年竣工の2847は界磁チョッパ制御の装置が試用されました。

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