阪急新性能車の系譜 VVVF制御方式 GTO素子による初期VVVF
1980年代中盤から1990年代中盤にかけて、チョッパ方式に代わる制御方式として登場したのがVVVFインバータ制御方式で架線からの直流電圧1500Vを一旦交流に変換し、さらに電圧と周波数を起動から一定速度に至るまでに交流誘導電動機に適切なトルクを発生させるように制御します。周波数と電圧を調整するスイッチング素子は初期の頃はてGTO(Gate Turn-Off thyristor)が主流でした。
1985年、2200系にVVVF試験車として2720、2721が追加された際は東芝製のGTOサイリスタ素子のVVVFインバータ(BS1425-A)が搭載され、主電動機はかご型三相誘導電動機(SEA310A)出力150kWでした。このVVVF試験車は1995年1月17日の阪神淡路大震災の際に今津北線宝塚南口駅付近を走行中で、脱線し、2721は復旧不可能な損傷を受け、廃車となりました。2720は後日、電装解除され、6762に改番され、6000系に組み込まれました。廃車となった2721の代替として6772が新造され、2200系は形式消滅しました。
2200系でのVVVF試験の結果は8000系、8300系にフィードバックされ、これらの系列において量産化されました。
8000系は1988年から1997年かけて98両が製造されました。インバータ制御装置は東芝(府中工場)製GTOサイリスタ素子(4500V/2500A)が搭載され、主電動機は定格出力が7000系の150kWから170kWに上げたものが搭載されました。定格回転数は1800rpm、最大回転数5000rpmで,2000系以来となる低速制御装置も装備されました。
8001Fに関しては2012年8月からGTO-VVVFインバータを取り外し、東芝製4in1 IGBT-VVVFインバータに換装、さらに主電動機も定格出力190kW,定格回転数2000rpmの永久磁石同期電動機(PMSM:Permanent Magnet Synchronous Motor)を搭載し、試験が行われ、従来の誘導電動機とGTOサイリスタ素子を用いたインバータと比較して、力行の消費電力量約10%削減、回生電力量約85%増加、トータルで約50%の消費電力量削減結果を得られることが実証されました。この結果は1000系IIや7000系更新車でのPMSMの本採用に繋がりました。
8300系は京都線版8000系と言われる車両で1989年から1995年にかけ、84両が製造されました。こちらは東芝製ではなく東洋電機製造製GTOサイリスタ素子インバータ装置が搭載されました。主電動機は定格出力170kWのTDK6125-Aが搭載されました。
2014年10月から8315F、8320F、8330F+8310Fにおいてインバータ制御装置と主電動機をセットで交換するASSY交換が行われ、IGBT素子のインバータに、主電動機は定格出力190kWのTDK6128-Aとなりました。
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