阪急新性能車の系譜 チョッパ制御方式 2200系における本格的試験から7000系、7300系にて量産化
チョッパ制御は営団地下鉄6000系で実用化された電機子チョッパ方式と、民鉄会社で広く採用された界磁チョッパ方式がありますが、阪急電車の場合、電機子チョッパ方式は東芝製の制御装置を搭載した2300系の2311ー2331においてAFEチョッパ制御(RG608)の試験が行われ、さらに5300系5863(1973年製造)において回生ブレーキ付きの電機子チョッパ制御装置の試験搭載が行われ、1975年に製造された2200系の2700, 2710において同様の試験が行われました。
1981年頃 西宮北口 電機子チョッパ試作編成 2250
2200系においては1985年にVVVFの試験車両(2720)も追加製造されましたが、高速域からの減速時に発生電圧過大で回生失効が起きやすいこと、高価な大容量・高耐圧のスイッチング素子が必要で車両制作費が嵩むことから、量産化はごく限られた系列に限られ,阪急の場合も安価に回生ブレーキが使用可能な界磁チョッパ制御方式が量産化されました。
界磁チョッパ方式はまず2800系(1969年3月に竣工した2847)において東洋電機製の試作品が搭載され、長期試験に供され、続いて2300系が1978年から1981年に車両更新を受けた際に分巻界磁制御器を交換し、搭載されました。6300系では6330Fが界磁チョッパ制御方式で製造され、7000系、7300系が当初から界磁チョッパ制御方式で製造されました。
7000系は6000系をベースに1980年から1988年までの長期間、神宝線に210両投入された系列で阪急では同一系列最大製造両数を誇る系列となりました。制御装置は2両ユニット分を1台の制御器で制御する1C8M方式で直並列切替を行うことで低速域まで回生ブレーキ効果が得られるようにしました。尤も,後年には増結車では1C4M方式の1M車も製造されました。7011F以降の電気指令式ブレーキ(HRD-1R)では付随車のブレーキも負担する遅れ込めブレーキが採用され、省エネ効率の向上が行われました。
車体に関しても当初は鋼製車体で製造されましたが、1984年製造の7011F ,7021F以降、アルミ合金車体を本格採用したのも7000系の特徴でした。
更新工事において制御装置が界磁チョッパからIGBT素子方式のVVVFインバータ制御に置き換えられ、主電動機も全閉自冷式永久磁石同期電動機(PMSM)が採用される例(7013F)などが出てきています。
7300系は1982年から1989年にかけて83両が製造された7000系の京都線版と言える系列です。ただ7000系がWNドライブ駆動方式なのに対してこちらはTD平行カルダン駆動方式であったり、歯車比が7000系が5.31なのに対して5.25である点はこれまでの慣例が継承されているようです。7000系同様に1985年以降に製造された車両ではブレーキに遅れ込め制御が追加され、省エネ効率が上昇しました。さらに1986年製造の7310は東洋電機製造のGTOサイリスタ素子のVVVFインバータが試験搭載されましたが、2018年度のリニューアル工事の際に電装解除されました。車体は7302F以降、アルミ合金製となりました。リニューアル工事でIGBT素子のVVVFインバータ制御に改造が進行中です。
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コメント
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AFEチョッパって、なぜわざわざフラッシュオーバーの多い複巻モーターを使うのか、そこがよくわかりませんねえ…
採用例も東武20000型・9000型程度であまり多くはないようですし。
だれか詳しい人に教えてもらいたいです。
投稿: ニャン吉 | 2019年12月 8日 (日) 00時03分
ニャン吉さま、おはようございます。
チョッパ技術においても最初は試行錯誤からいろいろな可能性を考えて、試験がされたのではないでしょうか。その結果、コストの問題、環境に与える影響、保守の問題などから最後まで残った技術が伝承されたように感じます。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2019年12月 8日 (日) 07時30分