阪神電気鉄道の旅 車両編 2 7801・7901形、7861・7961形
阪神電気鉄道の車両編、今回は7801・7901形とさらに同規格で製造され、現在も武庫川線で活躍する7861・7961形です。
2019/10/19 武庫川線で活躍中の7964F 現在、武庫川線には7864、7866,7868の3編成が在籍しています。
1963年2月のダイヤ改正で特急・急行用の赤胴車に関しては3301・3501形や3601・3701形の増備で昼間時の特急・急行運用は大型車で対応可能になりましたが、朝夕のラッシュ時には車両が不足し、小型車が併用されていました。さらに1968年の神戸高速鉄道線開業や山陽電気鉄道との直通乗り入れ開始で架線電圧も600Vから1500Vへの昇圧が決まっていました。そういったことに対応し、輸送力を増強し、合理化を図るため、3601・3701形を基本に発電ブレーキを省略し、設計を大幅に簡素化して量産されたのが7801・7901形でした。電気ブレーキを省略したことから、続番の3801・3901とはせず、7000番台になりました。
1963年から1971年にかけて、
7801形 7801~7850 (7841・7843・7845・7847・7849は欠番) 制御電動車
7901形 7901~7921・7923~7950(7941・7943・7945・7947・7949は欠番) 付随車
7922は3011形余剰車から改造編入 合計90両が在籍
昨日の記事の写真の再掲ですが、奥の急行編成は7806Fです。
形態は3タイプと1編入車に分けられ
1.初期車 34編成 1963年から1968年まで製造 経済設計 切妻構造 片開き扉
奇数車 ←梅田 Mc1 T1元町→ 7801 7901 7833 7933
偶数車 ←梅田 T2 Mc2元町→ 7802 7902 7834 7934 7922は新製されず
2.3011形からの編入者 7922 3561・3061形に編入された際に余剰となった3021の改造編入車
車体裾は丸みを持ち、車体長も7901形が18,800mmなのに対し、19,100mmと若干長い
3. 昇圧後の1969年から投入されたグループで、7835,7935の車両はラインデリア搭載の両開き扉車、側窓の構造が変化し、前面は3面折妻、車体裾部の丸みが復活 10両
奇数車 ←梅田 Mc1 T1元町→ 7835 7935 7839 7939
偶数車 ←梅田 T2 Mc2元町→ 7836 7936 7838 7938
4.1970年に投入された7840以降のグループで新製冷房車に
偶数車 ←梅田 T2 Mc2元町→ 7840 7940 7850 7950
主電動機は定格出力110kWの直流直巻き整流子式電動機で7801形に4基搭載、駆動方式は中空軸並行カルダン方式で歯数比は5.69(74:13)、主制御器は三菱電機製のABFM-114-15-MA電動カム軸式抵抗制御器を7801形に、発電ブレーキは持たず、空気圧縮機 (CP) は7801形にDH-25-Dを搭載し、電動発電機 (MG) は7801形に12kVAのものを搭載しました。
台車は7801形は住友金属工業製FS-341軸ばね式金属ばね台車なのに対して、7901形は7922を含め、本形式で代替される小型車の851・861・881の各形式からボールドウィンタイプのBW-78-25-AA(ブレーキは両抱き式)を転用して装着しました。この辺は西武鉄道の601系や701系と共通性があります。2次車以降の7901形は、電動車に準じた形状の住友金属工業FS341Tを新製装着して竣工し、3次車では2次車と同じく住友金属工業FS341(7801形)およびFS341T(7901形)を装着するが、7001・7101形用と同様、台車枠が鋳鋼製ではなく鋼板プレス成形材を溶接したものに変更されました。
さらに派生形式として増結編成用にMc1Tc1 もしくはTc2Mc2の2連が1966年から1968年にかけて8編成製造されました。これが7861・7961形で奇数車は7861 7863の2連2本、偶数車は7962 7964 7966 7968 7970 7972の2連6本が製造されました。
また、7801・7901形に増結して3連化するための片運転台の車両3521形が1966年から1969年にかけて12両製造されました。
Mc1 ←梅田 3521からの奇数 3531まで
Mc2 元町→ 3522からの偶数 3532まで
阪神の昇圧は1967年11月12日で、1500V化でパンタ2基で登場した7801形1次車、3521形初期車はパンタを撤去となりましたが、7801形、7861形が運転台よりパンタを撤去したのに対して3521形は連結面よりのパンタを撤去しました。1968年より、初期車に対する体質改善工事が実施され7901形のボールドウィン台車はFS341 台車に交換され、1971年からの冷房化改造で運転台後部の座席の増設も行われました。
1977年から3521形も含めた1次車に行先表示器の取付改造を開始し、1979年には2次車に、1981年には7861形、1983年には3次車に取り付けることで全車に行先表示器が装備されました。
1983年から1989年にかけて、7801・7901形の7801 - 7901から7912 - 7812までの12ユニットが、3521形全車とともに3000系に改造されました。制御装置は回生ブレーキ付き界磁チョッパ制御となり、主電動機も複巻電動機となりました。
7861形のうち7870F・7872Fの2両編成2本について、7801・3521形の3000系への改造で生じた電装品を活用して制御車の電装改造を実施されました。車番は7970→7871, 7972→7873に改番され、7831 - 7931 + 7870, 7871 + 7932 - 7832, 7833 - 7933 + 7872, 7873 + 7934 - 7834の3両編成4本に再編された。この際、7871・7873は前から2つ目の冷房機を撤去して下枠交差式のパンタグラフを搭載しました。
3次車は、製造時期を同じくする7001・7101形とともに1990年秋から2000系への改造が開始されました。編成は6両固定となり、制御装置も界磁添加励磁制御となりました。
2000年10月の武庫川線ワンマン運転開始に伴い、7861・7961形の3編成6両(7864・7866・7868編成)がワンマン化改造されました。
現時点で7801・7901形は全廃されましたが7861形は武庫川線ワンマン運用車が健在です。
最後まで読んで戴きありがとうございます。
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コメント
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B 767-281様こんばんは。今日は久しぶりに冷え込んだ感じです。阪神電車に移りましたね。阪神の大型車のルーツと言えば3011型、私鉄電車のアルバムで見て湘南顔が好きな私はカッコいいなあ、と思っていました。そこからの編入車が7861形にあったとは初めて知りました。昨日の記事に戻りますと初代5001ジェットカーが出た時アメリカ人が日本の電車はジェットエンジンを積んだの?と言ったと言う笑い話を聞いたことがあります。
投稿: 細井忠邦 | 2019年12月25日 (水) 17時30分
B767-281さん、こんばんは、阪神の7800系について、詳しい経過を有り難うございます。
1967年から3年間、阪神線を利用していました。3000番台車に次ぐ新車でした。車内の蛍光灯は40W2列でしたが、片側に7本しかなく、当時の新車にしては、他の民鉄車と比較して、カバー無にもかかわらず、非常に暗い車内の印象がありました。当時、新車は両開きドアが一般的な中で、片引きドアだったこと、中間T車の台車は記事にもあるように、ボールドウインが使用されており、走行中の動揺と振動は、酷いものでした。急行利用でしたが、怖くて、2000系や3000系の準急に乗車したり、帰路で時間が有る時は、5000系の各停に乗車していました。急行は4両、各停は2両、準急は5両編成でした。特急は最初3両編成の2枚扉車が残っていましたが、知らない間に三扉車に改造され、4両編成になっていました。懐かしい想い出です。
投稿: トレインマニア2 | 2019年12月25日 (水) 20時31分
細井忠邦さま、おはようございます。
私も阪急の電車は実際に昔、墓参りの際などに乗車した経験があるのですが、阪神の電車については殆ど乗った経験がなく、ただ漠然と関東で言えば京成の電車に似ているなというイメージで書いておりました。
3011形に関しては確かに湘南スタイルなんですね。そしてジェットカーという言葉が、そういった意味でとらえられたというのも面白いですね。いかにもアメリカ人的にありうる話かと感じました。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2019年12月26日 (木) 04時24分
トレインマニア2 さま、おはようございます。
先の細井様へのコメントでも書きましたが、私の阪神電車体験は殆どなく、まさに鉄道ピクトリアル誌などの文献の知識だけなんです。
それに比べ、トレインマニア2 さまの実体験に基づいたコメント大変興味深く拝見いたしました。ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2019年12月26日 (木) 04時27分