阪急新性能車の系譜 VVVF制御方式 IGBT素子による現行VVVF
インバータ制御方式が鉄道車両に導入された1980年代中盤、IGBT(Insulated ate Biopolar Transistor)素子は産業用インバータの主回路素子として既に存在していましたが、耐電圧特性が1400V以下で鉄道車両用の高電圧・大電流用としては容量的に不足していました。
GTO(Gate Turn Off Thyristor)素子は高耐圧、大容量で1990年代には耐圧4500V、可制御電流4000Aまで大容量化が進み、インバータ装置1台で主電動機8台まで制御することが可能になりましたが、動作速度の限界から高周波化が難しく、制御のために大きなドライブパワーが必要で、スイッチングでの駆動仕様が難しいことなど高度な技術力を必要とするものであり、インバータのスイッチング周波数に起因する制御装置、主電動機のうなり音の低減などが必要とされました。
インバータの大容量化と共に制御単位を小型分散化し、1台のインバータで1台ないし2台の主電動機を制御し、システムの冗長性を増す方式への対応が期待されていました。そこで注目されたのがIGBT素子によるインバータ制御装置ですが,当時の産業用IGBTは耐圧が1400Vでそれを2000Vまでアップさせたのが日立製作所により開発されたIGBT素子インバータでした。
特徴としては,駆動システムの騒音を低減し、主回路素子の絶縁構造を改造し,冷却にフロン系冷却を使用しないこと、制御の無接点化をはじめマイコンによる自己診断機能を充実され、保守作業を省力化し、複数のインバータを有機的に結合し,運行信頼性の高いシステムを構築することを目標としました。
阪急電車で最初にIGBT素子による純電気ブレーキ対応VVVFインバータ制御装置を搭載して登場したのが9300系でした。6300系に代わる京都線特急用車両として2003年から2010年にかけて88両(11編成)が日立製作所笠戸事業所で製造され、一部の艤装はアルナ車両が担当しました。
制御装置に関しては日立製作所のIGBTインバータ制御装置ではなく、京都線の慣例により、東洋電機製造製のIGBT素子VVVFインバータ制御装置がとうさいされました。9301Fからは理論上0.3km/hまで回生ブレーキが使用可能な純電気ブレーキ(電気停止ブレーキ)が採用されました。
一方、9000系は2006年から2013年にかけて88両が製造され、神戸線、宝塚線に投入されました。すべて8両編成という編成形態でした。駆動方式は神宝線らしくWNドライブ方式がメインですが、一部TDドライブの車両も導入されました。
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