2019年8月の岡山・広島・鳥取・兵庫旅行 8 岡山電気軌道 車両編 その7 9200形 part1 MOMO1
岡山電気軌道の車両、これまでは7000形から7900形までの従来の車両、特に東武日光線、呉市電、秋田市電、大分交通別大線などで活躍し、それらの路線が廃線となることで岡山電気軌道に譲渡された車両から、台車、制御器、パンタグラフなどを流用し、新造した車体とともに竣工した形式を見てきました。今回からの9200形は岡山市における路面電車のイメージ刷新、街の活性化、新しい公共交通機関に相応しい車両の提示を狙って2006年6月に導入が発表された車両です。
2019/8/2 岡山駅前
2019/8/2 東山おかでんミュージアム
ドイツの車両メーカー、アドトランツ(ADtranz: ABB Daimler Benz Transporatation 1996年、スウェーデンの総合電機メーカ アセア・ブラウンボベリ(ABB)の鉄道システム部門とダイムラー・ベンツの鉄道システム部門(AEG)が統合、1999年にABB持株分がダイムラー・クライスラーレイルシステムズに売却されアドトランツが誕生、2001年にはボンバルディアに買収されました。 )が製造するブレーメン・タイプの超低床車両をベースとして同社と業務提携する新潟鐵工所が日本向けに仕様変更し、独自に設計・製造した車体に輸入品の台車・電気機器を組み合わせて製造された車両が9200形です。日本で最初に導入された超低床車両は熊本市交通局の9700形で、同じ方式で9200形は導入されました。これまで岡山電気軌道の多くの車両を製造してきた、アルナ工機もリトルダンサーシリーズを展開していましたが、ワンマン対応や連接構造、運転台直後の左右両側ドア設置などの条件から新潟鐵工が選ばれました。
車内のNIIGATA、BOMBARDERの社章
車体基本デザイン以外の車両デザインは岡山出身の工業デザイナー水戸岡鋭治が担当しました。
9200形は2車体連接構造でパンタグラフが装備された車両がA車、反対側がB車と呼ばれています。車体は耐久性と保守性を考慮し、高張力の耐候性鋼板(SPA)製で屋根と床板にはステンレス鋼板、先頭部にはガラス繊維強化プラスティックが使用されています。先頭部窓ガラスには三次元曲面ガラスが使用され、側面にも曲面ガラスが使用され、車両全体が曲面で構成されています。
低床式の車内
台車は各車体中央部に1台ずつで、車輪を繋ぐ車軸を持たない独立車輪4輪方式のボルスタレスボギー台車です。軌間1067mmのブレーメンタイプは世界初で、ヨーロッパの1000・1100mmの台車を基礎に新規に開発されました(OKAYAMA type)。車輪直径は660mmのゴムを挟み込んだ弾性車輪で連結部よりを動輪、先頭部よりを従輪とし、動輪が駆動力、制動力を担当するため、枕ばねの取り付け位置を連結部よりにずらし、粘着力をを確保しています。主電動機が100kWのかご形三相誘導電動機で1台車に1基搭載され、連結部側の座席直下に装荷され、自在継手、推進軸、傘歯車、ギアボックスを介して、片側車輪へ、さらにギアボックスとねじり軸を介して反対側の車輪にも駆動力が伝達されています。ブレーキは電気ブレーキと主電動機の出力軸に取り付けられたディスクブレーキによる機械ブレーキ、さらに蓄電池駆動の電磁吸着ブレーキがあります。制動距離確保のため、砂撒き装置も装備しています。
A車の屋根上に集電装置、PWM制御・IGBT素子によるVVVFインバータ主制御装置(1C1M方式)、B車の屋根上には蓄電池、SIV方式の補助電源装置が装備され、これまでの岡山電気軌道の車両の特徴であった石津龍輔氏(6代目社長)が1951年に考案した錘で押し上げる方式の石津式パンタグラフではなくシングルアーム式パンタグラフが装備されました。
愛称は岡山の桃太郎にちなんでMOMOが採用されました。第一編成2002年5月25日に納入され、同年7月5日付けで竣工、営業運転に入りました。2002年、会社創業92周年から9200形となりました。
2002年10月8日には業界団体から鉄道賞、2003年7月3日には鉄道友の会から「ローレル賞」、そして日本デザイン振興会から2003年度「グッドデザイン賞」を受賞しました。
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