2019年8月の岡山・広島・鳥取・兵庫旅行 13 棚原ふれあい鉱山公園訪問 その2 同和鉱業片上鉄道について
昨日の記事にあるように吉井川の水運、高瀬舟による鉱石の運搬を代替するために棚原から片上まで敷設されたのが片上鉄道でした。
2019/8/4 棚原ふれあい鉱山公園に展示されている高瀬舟 鉱石を載せて川を下り、復路は塩、魚、ミカンなどを載せて帰って行きました。最盛期は会社所有の船と個人所有の舟で100艘以上が活躍していました。ただ、初夏から秋にかけての農繁期には吉井川の水が農業用水として利用されるため水位がさがり、和気の上流6km付近の天瀬付近から下流は航行不能となるトラブルや棚原から児島湾の九蟠港までの往復に平均5日を要する問題がありました。
会社は、間762mmの軽便鉄道として1919年3月24日に鉄道大臣に出願されました。同年11月27日に片上鉄道が成立しました。やがて1922年4月17日に免許は軌間1067mmに変更され、線路の敷設が開始されます。
1931年2月1日、井ノ口~棚原間が開業し、全通しました。
路線データ
営業キロ 33.8km 建設キロ 33.997km
設計図より実測が長い場所(ダブルチェイン)が3か所、逆に短い場所(ブレイクチェイン)が1か所存在します。
駅数 17駅
全線非電化、全線単線
閉塞方式 単線自動閉塞式 ARC
踏切 108か所
橋梁 98か所
最小勾配 0.9‰ 最大勾配 28.6‰
最小曲線 半径240m 最大曲線 300m
隧道 3か所
駅名 営業キロ
片上 0.0 赤穂線(西片上駅と徒歩5分)
清水 4.1
中山 5.7
和気 8.6 山陽本線
本和気 10.1
益原 11.6
天瀬 14.5
河本 16.3
備前矢田 18.3
(貨)井ノ口 19.4 1931年2月1日廃止
苦木 22.2
杖谷 24.2
備前塩田 25.5
肥前福田 27.2
周匝 28.5
美作飯岡 29.6
吉ヶ原 32.5
柵原 33.8
経営は1950年6月20日に藤田興業が片上鉄道を合併し、1957年8月1日には同和鉱業が藤田興業を合併しました。棚原鉱山からの鉱石輸送のみならず、沿線住民の足として旅客輸送も行われました。尾小屋鉄道、三岐鉄道とともに陸運統制令の枠外とし他社への事業統合を免れ、青梅鉄道や群馬鉄山専用線(後の吾妻線)とは異なり、国鉄買収の対象にもなりませんでした。鉱石輸送が主体であったため、交換駅での線路有効長は長く、PC枕木等を使用し、線路規格も高規格でした。車両、施設もよく整備されており、国鉄キハ41000形、42000形が現在も動態保存されています。
硫黄の新しい精製技術の確立やオイルショックなどで棚原鉱山の生産量の激減、貨物の取扱量の減少、旅客輸送も乗用車の普及で減少し、1987年には鉱石輸送はトラック輸送に切り替えられ、地元住民は存続希望を出しましたが、経営困難により、1991年6月30日をもって廃止となりました。
廃線跡を利用して「片鉄ロマン街道」(県道703号備前柵原自転車道線)が設置され、
吉ヶ原駅周辺には柵原ふれあい鉱山公園が設置されました。
さらに吉ヶ原駅から旧柵原駅に向かって約100m展示運転線が延長され、2014年11月2日には黄福柵原駅が開業しました。
次回の記事から、柵原ふれあい鉱山公園に保管されている車両について紹介して行きます。
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