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2020年11月20日 (金)

2018年晩夏 長野県内の保存蒸機を見て歩く旅 41 熊本電鉄に譲渡された東急5000系初代

昨日の記事で長野電鉄に譲渡、2500系として活躍後、トレインギャラリー駐車場に保存されている元東急5000系初代を紹介しました。なかなか東急の車両について触れる機会も無いので、2010年に熊本に行った際に熊本電鉄にて乗車した5000形につて触れておこうと思います。

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5101a-100320-2 2010/3/20 上熊本駅に入線・到着する5101A 「平面ガエル」の姿を初めて見たときはそのユーモアたっぷりの愛称に思わず笑いました。

熊本電気鉄道には1981年に2両編成(デハ5043+デハ5044)が譲渡されました。譲渡に際して、600V降圧改造と、主抵抗器の冷却をMGからの送風とは別に行うため、MGを主抵抗器送風機付きのCLG-107からCLG-333に交換し、主抵抗器送風機を新設しました。社紋を熊本電気鉄のものに交換しましたが、車体塗色、台車は東急時代のままとしました。改造は東急長津田車両工場で施工、1981年11月25日に北熊本に搬入、12月2日から試運転、12月21日から営業運転に入りました。
1986年、ワンマン運転対応改造が施工され、1988年には5043が両運転台化改造され、5105に改番されましたが、5044は改造されず休車扱いとなりました。

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オリジナル側運転台 ワンマン運転対応機器もだいぶ年季が入っています。

1985年、東急電鉄からデハ5031・5032・5053・5038の4両が譲渡されました。その際に、連結面側にも運転台を増設し、両運転台化し、ワンマン運転対応用の機器が設置されました。これらは5101-5104となり、上述の5105もこれに倣って自社工場にて改造されました。連結面側は車端部の側窓を埋め、運転室、運転台を設置、側面には小窓が新設されました。3枚窓貫通スタイルで「平面ガエル」と呼ばれました。新設運転台の機器は東急で廃車となったデハ5007-5010のものが流用されました。MGもTDL-359A1に、CPも交換されましたが、それら以外は東急時代と同じでした。

5101a-100320-4 サイドビュウ 後から付けた運転席側窓

5101・5103は既設運転台が上熊本側、5102・5104・5105は既設運転台が御代志側となりました。5101-5104と同時に部品確保用としてデハ5019・5120が譲渡されましたが、当初より車籍は与えられず、北熊本駅構内に留置され、後に解体されました。ワンマン対応であることの識別のため、黄色・橙色の帯が加えられ、側面ドア脇には「入口」「出口」「締切」を示す表示灯が新設されました。前照灯もシールドビームに変更されました。

5102a-17-100320-2 故障がちの5102Aは庫に居ました。

就役後、主力車両として使用され、1991年には水色と青の塗装に変更されました。しかし超軽量車体のため老朽化の進行が速く、冷房装置の搭載も困難なため、1995年以降、都営地下鉄三田線で使用されていた東京都交通局6000形が入線すると置き換えが開始され、最後に5101・5102の2両が残りました。2004年、全線でATS運用が開始された際、この2両にもATS機器が設置され、5101A、5102Aと改番され、東急時代の塗色に戻されました。運用は北熊本~上熊本間専用となりましたが、非冷房のため夏場の平日は元南海22000系を譲受した200形3代目が代走することが多くありました。車体や機器の老朽化で故障も頻発し、2015年から翌年にかけて東京メトロ01系が導入され、置き換えられる形で運用が終了しました。5102Aが最初に廃車対象となり、2015年3月8日に最終運行、4月1日から3日にかけ解体されました。5101Aは2016年2月14日、最終運行、引退後は解体されず北熊本駅構内で動態保存となっています。

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5101Aの車内の様子 ワンマン運転用の機器は小田原機器製、それ以外はオリジナルのままでつり革には東急百貨店、東横のれん街、渋谷の109といった広告が残っていました。

因みに今回の記事の写真はビデオカメラの写真モードで撮影したものです。

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コメント

B767−281様 こんばんは。初期新性能電車の様々な技術上の試みは興味深いですん。主抵抗器の温風をそのまま暖房に使うなどある意味合理的でエコな発想だと思います。それにしても平面ガエルとはうまいネーミングをしたものですね。世の中政治の無策のためにひどいことになっています。コロナに対応するワクチンが早く出回って欲しいですが、この政権をなんとかするワクチンも早く欲しいものです。

細井忠邦さま、おはようございます。

東急5000系について今回、初めて勉強しましたが、以前、「鉄道伝説」で取り上げられた以上に、色々と勉強になりました。軽量化を追求したあまり、冷房化には向かない車体を作ってしまったことも分かりました。
それにしても竹中平蔵によって政界で見いだされ、のし上がった菅首相、今頃になってGoToに制限をとか言っていますが、国民の命より、経済が優先の姿勢、まさに竹中譲りです。

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