2018年晩夏 長野県内の保存蒸機を見て歩く旅 51 日比谷線3000系から長野電鉄3500・3600系へ その1
1992年、長野電鉄では長野オリンピックの開催を6年後に控え、普通列車の増発と老朽化した2500系、0系の置き換え・車種統一を目的に営団3000系を導入しました。
2015/7/4 地下鉄博物館の展示から 写真の1次車では側面乗務員ステップ一体形のスカートが設置され、連結器はスカート内に収容されていました。
まずは営団地下鉄における3000系の歴史について。ちなみに3000系と系列名で呼ばれるのは千代田線用6000系の誕生以降であり、登場時は個別の形式名で呼ばれていました。
営団地下鉄において銀座線、丸の内線は第三軌条方式で他社線との相互乗り入れ運転は考慮されませんでしたが、日比谷線は東武伊勢崎線、東急東横線との相互乗り入れが考慮されたため、3事業者間で規格が協議され、設計・製造が行われました。基本性能は丸の内線300形を発展させ、地下線、地上線走行における性能を満足させる車両としました。
それまでの営団車両は単車での走行を基本としていましたが、本形式からは2両を1単位(ユニット構成)とし、将来、中間車を増結し、輸送需要の増大に対処することしました。
1961年から1971年までに汽車製造・東急車輛製造・近畿車輛・川崎車輛・日本車輌製造・日立製作所において304両(+事故廃車の代替車1両)が製造され、1994年まで運用されました。
車体はセミステンレス製でコルゲート処理が施されました。これはアメリカ・バッド社の方式では無く、汽車製造のものが採用されました。
主要諸元
最高運転速度 日比谷線 70 km/h (運用当時)
東武線内 95 km/h
東急線内 90 km/h
設計最高速度 100 km/h
起動加速度 4.0 km/h/s
減速度(常用) 5.0 km/h/s
減速度(非常) 5.0 km/h/s
車両定員 先頭車120(座席48)人 中間車128(座席56)人
9次車のみ座席55人
自重 31.0 - 33.0 t
全長 18,000 mm
全幅 2,790 mm
全高 3,730 mm (1 - 7次車)3,875 mm (8・9次車)3,995 mm (パンタグラフ付き車両全車)
台車 アルストムリンク式 FS-336形 ミンデンドイツ式FS-348形→SUミンデン式FS-510形
主電動機 直流直巻電動機
主電動機出力 75kW×4 (端子電圧375V)
駆動方式 WN平行カルダン
歯車比 98:15=6.53
編成出力 2,400 kW
制御方式 バーニヤ抵抗制御
制動装置 ATC連動電磁直通ブレーキ・発電ブレーキ(HSC-D形)
保安装置 WS-ATC 東武形ATS・東急形ATS 一部編成にはATO(試験用)
起動加速度 4.0km/h/sは東急7000系とともに関東の電車において現在に至るまで破られていない最大値だそうです。
車種はいずれも電動車の4形式が準備されました。
3000形 (CM1・CM2) 制御電動車 奇数が中目黒、偶数が北千住向き、パンタグラフ搭載 3001~3078
4000形 (M1・M2) 4両編成化用中間電動車 4001~4078 パンタグラフ無し
4500形 (M1・M2) 6両編成化用中間電動車 4501~4578 奇数車にパンタ搭載、8連化に際して4533・4534・4555・4556に簡易運転台が設置され 3500形3501~3504に改番
3500形 (Mc1・Mc2) 8両編成化用中間電動車 車庫内での分割運転のため簡易運転台を設置 3501~3574 奇数車にパンタ搭載
1次車 1960年度製 南千住~仲御徒町間開業用 CM1ーCM2 2連8本 3001~3016
2次車 1961年度製 北千住~南千住・仲御徒町~人形町間延伸開業用 4両編成6本 1次車の中間車2両ユニット8本 =>4両編成14本
3017~3028・4029~4056
3次車 1962年度製 人形町~東銀座延伸開業用
3057~3060・4061~4064
4次車-1 1963年8月製 輸送力増強用4両編成2本
3029~3032・4001~4004 これまでは形式に関係なく連番方式で付番されてきたものを3000形、4000形で空き番を埋める方式に
4次車-2 1963年度製 1964年3月霞ヶ関~恵比寿間(7月中目黒)開業用 4両編成7本と全線開業用の増備車(6両編成9本と4次車-1までの車両の6両化用中間車13編成分)
3033~3056・3061~3068・4005~4028・4057~4060・4065~4068・4501~4548
6両編成24本 4両編成10本
5次車 1964年度製 輸送力増強用の車両で6両編成2本と、以前の車両の6両化用中間車3編成分
3069~3072・4069~4072・4549~4558
6両編成29本、4両編成7本
6次車 1965年10月製 6両化用中間車3編成分
4559~4564
6両編成32本、4両編成4本
7次車 1966年度製 6両編成2本と6両化用中間車4編成分
3073~3076・4073~4076・4565~4576
6両編成38本
4576号が1966年12月、東武線内の衝突事故で廃車されたため、同一番号で代替新造
このグループの増備で千住検車区は手狭となり、東武鉄道西新井電車区を譲り受け、営団「竹ノ塚検車区」が発足しました。
8次車 1968年度製 輸送力増強用の6両編成1本
3077・3078・4077・4078・4577・4578
9次車 1970年度製 8両編成化用
千住検車区の拡張工事完成で8両運転が可能となり、編成を分割して運転する簡易運転台付き3500形を35本分70両新造
3505~3574 6両編成に組み込み8両化
2本の6両編成から2両を抜き、4両化 これを2本合わせて 8両化
抜いた中間車に簡易運転台を設置し、3500形化改造(3501~3504) 8両編成化 2本
これらにより、8両編成38本
4576号の廃車:1966年12月15日深夜に東武伊勢崎線西新井駅構内において、西新井駅到着の大師線電車(2両編成)が曲線部で脱線し、隣の伊勢崎線下り線を走行中の本形式の6両編成による竹ノ塚行き電車の3両目に衝突しました。この事故で営団3000系も3両が脱線、大破しました。
3000系 編成表 KBは東急・東武線対応ATS装備、Kは東急線のみ、Bは東武線のみ1994/7 八丁堀
日比谷線の3000系の写真は撮っていたいため、動画で撮影したもののキャプチャーを
さよなら運転を間近に控えたマッコウクジララッピング編成(3055F)です。
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