2018年晩夏 長野県内の保存蒸機を見て歩く旅 61 日光戦争から東武直通へ
2018年晩夏の信州の旅、またまた大きく脱線して話は栃木県日光への旅の話題となりますことをお許し下さい。
2010年9月、253系0番台はE259系に道を譲るように成田エクスプレスからは去って行きました。そんな中で2002年に製造された5次車はまだ車歴が浅いことから、JR東日本での第二の車生を歩むことになりました。それが2006年3月18日のダイヤ改正から開始された栗橋の連絡線を介したJR東日本の宇都宮線~東武日光線直通運転です。
日光への鉄道ルートは1890年8月に日本初の私鉄である日本鉄道が日光線を開通され、1906年の国有化で国有鉄道の路線の一部となってからは大正時代までは最速で唯一の交通路でした。しかし、1929年10月に東武日光線が全線電化で開通すると大きな脅威となり、国鉄~JRと東武の間で日光戦争と呼ばれた東京都内から日光への乗客の争奪戦が展開される事態となりました。
国有鉄道から見ると、1930年に上野~宇都宮~日光を結ぶ準急列車が設定され、当時、普通列車で3時間40分で結んでいた同区間が2時間30分で結ばれました。太平洋戦争の戦局悪化で1943年2月には直通列車、準急列車ともに消滅しますが、1950年、臨時快速「にっこう」が復活します。客車列車で運行され所要時間は2時間40分程度でした。1955年、キハ45000形(のちのキハ17形)が登場しますが、性能の関係で速度は客車時代よりも低下しました。1956年10月10日、浅草~東武日光間を2時間弱で運行していた東武に対抗し、当時最新鋭のキハ44800形(のちのキハ55系)が投入され準急「日光」として運行が開始されました。停車駅は宇都宮だけとし、上野~日光間を2時間で結びました。1958年4月、日光線は電化され、1959年9月22日、151系並の内装・設備を有する157系「日光形」が登場、準急「日光」が電車化されました。157系は1969年4月25日のダイヤ改正で日光関係からは撤退し、165系や115系が後を継ぐことになりました。準急列車から急行に格上げされた急行「日光」の時代が長く続きましたが、1982年11月15日の東北新幹線本格開業で急行「日光」は廃止され、日光線を走る定期列車の優等列車は消滅しました。
国鉄民営化後は1988年12月の池袋~日光間の臨時快速「日光」、1989年新宿からの「ホリデー快速日光」のちに「日光」、1992年には185系特急「日光」と251系による「ビュー日光」も運転されました。2000年代に入ると183系、189系による「やすらぎ日光」が新宿、千葉、平塚などから運転されました。
2004年10月4日、2006年春から新宿~東武日光・鬼怒川温泉間で直通特急の運転開始がアナウンスされ、2006年3月18日を迎えました。
2008/12/30 大宮 253系1000番台が登場するまでの間、東武直通特急として活躍した485系G55+G58編成
1975年から1979年にかけ東北特急用に新製され盛アオに配属された車両で、JR以降後はA7編成として「はつかり」に充当されました。2002年には仙センに転属、「あいづ」等に充当、2005年12月15日、小山車両センターに配置換えとなり、2006年3月から同特急仕様車として運行されました。
2005/11/6 大宮 189系 彩野 Z45編成時代の塗装
2009/5/17 大宮 189系OM201編成「彩野」
「あずさ・かいじ」のE257系化で余剰となった189系6両を2003年に大宮工場で改造し、埼玉県「彩の国さいたま」栃木県の旧国名「下野国」から「彩野」と命名され、小山車両センターに配属、Z45編成となりました。快速「やすらぎ日光号」などで活躍しましたが、2006年3月18日付けで大宮車両センターに転出、東武直通特急の予備車的役割を担うことになりました。塗装は変わり、「彩野 AYANO」の文字は消されましたが、引き続き愛称は彩野でした。
両編成とも東武形ATS・列車無線が搭載されました。
これら2編成は2001年4月16日に253系1000番台に置き換えられ、廃車の予定でしたが、2011年3月11日に発生した東日本大震災、それに続く東京電力福島第一原子力発電所の事故による計画停電等で置き換えは延期となり、2011年6月3日まで運行されました。
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