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2021年3月 5日 (金)

クハ79形のいろいろな顔 その4 72系として新製されたグループ 1954・1955年度製造

クハ79形の形態変化、今回は前面窓が傾斜した1954.1955年度製車輛の話題です。

1953年度製造の79350、79352から前面窓に傾斜(傾斜角5度)が取り入れられ、窓上部の段差に設けた通風孔は好成績を収めたことがきっかけとなり、1954年度製造車からは傾斜角度が10度となりました。

79300iii-7603-edit 1976/3 鳳 阪和線区間快速 配置データによれば364か382

この前面窓の傾斜デザインは電車に限らず、同年に登場した直流電気機関車EH10形の車体デザインにも取り入れられました。EH10の車体デザインは民間工業デザイナー萩原政男氏によるものだそうです。電車と電気機関車のデザインの共通性という点では80系の二次車(1950年)からの湘南スタイル2枚窓とEF5835号機以降(1952年)(1-31号機の新車体)の2枚窓スタイルにも同じことが言えるかもしれません。

79300iii-edit 撮影年代不詳 拝島 

バスの世界でも同様の前面傾斜窓スタイルが当時流行していました。
私が小学生時代、民生コンドル号という我が国、最初のリアエンジンバスでよく見たデザインでした。ネットで調べてみると、民生コンドル号のデザインは戦後、進駐軍が我が国に持ち込んだGeneral Motors社のバスのデザインを模倣したものであることが分かりました。あの当時の我が国の自動車のデザインはアメリカ車のデザインを取り込んで、日本サイズにコンパクトにしたものが多く、バスの車体のデザインもその流れだったんだなと感じました。

79300iii-2edit 撮影年代不詳 川崎 

車両番号では
1954年度製では クハ79354-390(偶数)、さらに奇数向きも製造されクハ79301-335(奇数)
1955年度製   クハ79392-420(偶数)、クハ79337-387(奇数)となりました。
1954年度製と1955年度製の相違点は1955年度製では車内に扇風機が設置されたことでした。

小学生当時、クハ79の前面構造と車両番号の関係は全く気にしていませんでしたが、もしも番号を気にしていたら300~352、388~420では奇数車と偶数者で全く顔が異なることは製造の経緯を理解していないと大きな疑問だったと思います。

1975年4月1日時点での同グループの配置状況です。
陸前原ノ町 369
津田沼 354 360 362 368 371 376 383 387 388 390 392 402 406 416 418 420
東神奈川 315 317 331 355 384 386 
弁天橋 356 358
豊田 357 366 372 394 398 404 
中原 303 345 353 359 367 375 377 380 381 385 408 
沼津 301 309 
神領 311 313 335 363 365 379 414 
高槻 361 400 
淀川 307 410 412 
鳳 364 382
広島 370 

同グループで1975年3月末までに廃車されていた車両は
79349 1975.2.27 天王寺 クハ79603改造
79374 1975.3.13 東京南 クハ79606改造
79378 1975.1.17 大阪 クハ79602改造
79396 1962.9.8 東京北 1962.5.3 事故  でした。これは三河島事故ですね。

クハ79600番台は1975年から1976年にかけて行われたアコモ改造で103系同等の車体を載せ替えた改造でした。
クハ79601 ← クハ79435
クハ79602 ← クハ79378
クハ79603 ← クハ79349
クハ79604 ← クハ79456
クハ79605 ← クハ79451
クハ79606 ← クハ79374
クハ79607 ← クハ79305
クハ79608 ← クハ79342
クハ79609 ← クハ79949
クハ79610 ← クハ79368

仙石線に投入されましたが、1984年には川越線電化で工場予備品の見直しで発生した103系の電装部品・台車を使用して、クハ103-3000番台に再改造されました。

クモハ102-3001 ← クハ79604
クモハ102-3002 ← クハ79606
クモハ102-3003 ← クハ79610
クモハ102-3004 ← クハ79608
クモハ102-3005 ← クハ79602

クハ103-3001 ← クハ79609
クハ103-3002 ← クハ79603
クハ103-3003 ← クハ79605
クハ103-3004 ← クハ79607
クハ103-3005 ← クハ79601

1033000-5155-030505 2003/5/5 八王子

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電車_旧形国電」カテゴリの記事

コメント

B767−281様こんにちは。79300番代のこのグループで初めて奇数向きが誕生したのですね。当時の雑誌の記事を読むと中央線の混雑がものすごいことになっていて、72系列の新製車はほぼ中央線に投入されています。編成が8連、9連と伸びるにしたがって、基本編成はTcMMMTcとなったことで奇数向が必要になったそうです。付属編成には40形や73形単独の運用もありました。この混雑の解消を目指すことが90形の登場に繋がっていくわけです。なお正面窓の5度傾斜については、沢柳健一氏によれば「鉄道友の会の先輩が設計陣との打ち合わせの際に持ち込んだアイデア」だそうです。

細井忠邦さま、おはようございます。

クハ79形300番台の奇数番号車の登場、中央線向け増備でしたか。登場当初はクモハ73とペアで編成を組んでいたものが、両端クハ79,中間モハ72という形で編成が形作られて言ったのですね。クハ79に関する資料はつくばにあるので戻ったら確認してみます。

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