2018年晩夏 長野県内の保存蒸機を見て歩く旅 107 軽井沢駅に保存される車両たち その1 草軽電気鉄道デキ12形電機
軽井沢駅にはアプト式時代、EF63形時代に活躍した歴史的車両の他、当駅(正しくは新軽井沢駅)から草津温泉駅までを結んでいた草津軽便鉄道→草津電気鉄道→草軽電気鉄道の電機デキ12形13号が保存されています。
2018/9/2 軽井沢駅前
草軽軽便鉄道は1913年11月25日、新軽井沢から着工去れ、1915年7月22日、小瀬まで開通しました。1917年7月19日、吾妻まで延伸、1919年11月7日、嬬恋まで延伸、1924年2月5日、社名を草津電機鉄道に変更、11月1日には新軽井沢~嬬恋間が電化されました。1926年8月15日、草津前口まで延伸、9月19日、草津温泉まで到達し,全線開業となりました。1939年4月28日、社名を草軽電気鉄道と変更しました。
路線データ
路線距離(営業キロ):新軽井沢 - 草津温泉間 55.5km 所要時間2時間半から3時間
軌間:762mm
駅数:21駅(起終点駅含む。路線廃止時点)
複線区間:なし(全線単線)
電化区間:全線(直流600V)
建設費用を抑えるため、急曲線やスイッチバックが多く、線路規格は低く、山岳路線でありながらトンネルはひとつもありませんでした。
1935年に渋川~草津間に国鉄バス路線が開通し、バスの車体の大型化もあり、草軽の輸送力の低さが露呈、1945年には国鉄長野原線が開業し、長野原から草津温泉までは国鉄バスが連携輸送しました。1947年には政府補助金制度が廃止となり、1949年9月1日の台風災害、1950年8月4日の台風による吾妻川、橋梁の流出、さらに1959年8月14日の台風による再度の吾妻川橋梁の流出で嬬恋 - 上州三原間は部分廃止に,1960年4月25日、新軽井沢 - 上州三原間廃止,残った上州三原 - 草津温泉間も1962年2月1日に廃止となり、全線廃止となりました。
私も両親が遺した別荘が北軽井沢の北8km程の長野原町応桑にあり、かつて草軽電気鉄道が走っていたと思われる場所には何度か行ってますが、中軽井沢から鬼押し出し、北軽井沢、羽根尾に146号線を北上しても1時間程度であることを考えると草軽電気鉄道の速度はかなり低かったなと感じます。
車両は電気機関車デキ12形、電車モハ100形、客車ホハ10形、ホハ15形、ホハ21形,ホハ23形、ホハ30形、サマーオープンカーとして白樺1号、あさま1号/2号,貨車コワフ30形、コワフ100形、ト1形、ト22形、ト28形、チト58形、ホト100形、ホト110形が1960年の部分廃止時に在籍していました。
これらのうちデキ12形デキ13号とモハ105、コワフ104が保存されましたが、モハ105は長岡市で2002年に解体されました。デキ13は軽井沢駅前北口に、コワフ104は旧草軽電鉄車庫跡(草軽交通本社整備工場敷地内)に保存されています。
デキ13本体の横には車輪も保存されています。
デキ12形電機は1920年米国ジェフリー社製で信越電力(のち東京電燈)が発電所建設工事用として使用したものを電化の際に譲り受けました。1924年11月の電化時に6両が使用され、1924年度中に3両を追加、1935年3月にデキ21、1937年にデキ22が追加されました。番号変更でデキ21はデキ50に、車体も背の高い凸形車体へ改造されました。デキ22はデキ21に番号変更されました。1939年3月にデキ22-24が増備されました。
当初は屋根のないオープンキャブだった運転台を密閉型へ改装し、先輪と従輪及び朝顔型連結器を設置し、集電装置を車体中央の門型の台に設置したトロリーポールから、運転台上に設置した高く張り上げた独特の形状のパンタグラフに交換して、L字型の車体となりました。後に電気ブレーキの追加とそれに伴う機械室天板の嵩上げ及び側面全周に渡る通風口の設置、機械室の左右に一段張り出すような形状の安定用の死重を追加といった改造が施されました。1959年にデキ14が老朽化で廃車されましたが、残りは全て廃線時まで使用されました。凸形車体に改造されたデキ50形 (50) は、1947年に栃尾電鉄(後の越後交通栃尾線)に譲渡されました。
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