秩父鉄道の車両たち その8 電機 デキ200形
東京オリンピックの開幕と歩調を合わせるように7月26日の週からは、東京、首都圏の埼玉・千葉・神奈川各県などで新型コロナウイルスの新規感染者の数が急上昇を続け、7月31日土曜日には東京で4000名を突破、日本全国でも12000名を突破する事態となりました。政府・東京都・組織委員会幹部はいずれも五輪の開催と感染増加は関係ないと言っていますが、私はこれまで数多くのイベントが中止に追い込まれる中、五輪を開催したことで国民の多くがその矛盾に納得せず、政府や首長の言うことなんか守らなくても良いのではないかと考え始めたのが増加の要因にあると思います。それでなくても安倍政権時代から権力の私物化、文書改竄などの不祥事が続き、トップが責任を取らない状況を見せつけられ、範を示すべき人間たちが会食・酒宴を開き、感染クラスターを起こしている状況を見せつけられている国民としては政治に対する信頼感を無くし、誰があの連中の言うことを聞くかという気分になっているのが事実かと思います。
PCR検査における陽性率も同週からは10%を超えており、検査を受けていない感染者数はもっと多いのではないかと推察されています。因みにコロナの収束に近いオーストラリアは0.08%、台湾は0.12%、NZは0.13%の 陽性率であることから、東京をはじめとする我が国のPCR検査数は当初から批判されているように一向に増える傾向がありません。
そんな中でしたが、7月31日土曜日は早朝から、新小平~西国分寺~立川~拝島~高麗川~寄居のルートで秩父鉄道へ、今回は貨物列車の撮影を中心に武川駅の機関車研修設備、駅から熊谷方面に向かっての三ヶ尻線分岐点、武州原谷貨物駅、影森駅などを訪問して来ました。今回の訪問で撮影した写真は形式別にこれまでの記事に追記しようと思います。
順番からすると今回は電機シリーズ、デキ200形です。1964年の東京オリンピックの前年、建設ラッシュでセメント需要が増加したため、1000t重量鉱石貨物列車牽引用に増備されたタイプで1963年9月に日立製作所で3両が製造されました。
主要諸元
全長 12.600 mm
全幅 2.727.8 mm
全高 3.955 mm
機関車重量 50.00 t
台車 鋼板溶接枠L型軸梁式
動力伝達方式 1段歯車減速、吊り掛け式
主電動機 日立製作所HS-277Dr×4基
主電動機出力 230 kW
歯車比 18:73=1:4.05
制御装置 電磁空気単位スイッチ式
制動装置 EL14A空気ブレーキ 手ブレーキ
定格速度 34.9 km/h
定格出力 920 kW
定格引張力 9,440 kg
2010/4/25 パレオエクスプレス12系客車とC58 363号機を従え、熊谷駅に向かう深緑に金色帯の塗装のデキ201
前照灯は照度強化のため2灯式となり、当初は白熱灯でしたが、後にシールドビームとなりました。最急勾配45‰での1000t貨物牽き出しのため、制御ノッチの段数を従来の16段から31段に多段化し、電気的軸重移動補償回路を装備しました。
2013/9/28 熊谷 紅褐色基調の塗色に塗り替えられた姿
2018/12/3 桜沢~寄居 特徴的な台車
台車は棒台枠構造の揺れ枕付きウィングばね台車で各軸箱をL字型の軸梁の一端で支持し、軸梁の中央を線路ぎりぎりまで高さを低くした側梁とピンで結合して関節とし、軸箱とは反対側の軸梁端部を前後の軸箱で向かい合わせに置いてその間にコイルばねを挟む、という特徴的かつ簡素な機構を備えています。車体と台車の間の牽引力伝達が側梁間の線路面ぎりぎりの位置に置かれた心皿で行われ、さらに列車牽き出し時の重心移動による1台車内での軸重の偏りも前後の軸梁間に横置きで挟まれたコイルばねを通じて補償・均等化されます。こういった機構により、レール乾燥状態における最大粘着係数32.8パーセント、十分な撒砂状態では最大粘着係数39.2パーセントを達成しました。非常に優秀な台車ではあるものの心皿以下の枕梁・側梁・軸梁・軸箱の各部品の重量がほぼ全てばね下重量となるため走行時に軌道に与える負担が多大で、しかも軸梁間に横置きのコイルばねが挟まっているため、その奥に位置する枕ばねや心皿などの保守が困難、さらに構造上両抱き式踏面ブレーキの実装が難しい、という問題があり、デキ200以降の形式では踏襲されることはありませんでした。
新造以来、重量鉱石列車牽引の主力として活躍しましたが、1990年代後半以降、秩父鉄道の貨物輸送に余裕が生じると、淘汰形式に選定され、デキ202、デキ203の2両が2000年6月30日付で除籍、三岐鉄道に譲渡されました。デキ201は1996年のデキ101廃車後、SLパレオエクスプレス用補助機関車としての役割が与えられ、深緑に金色帯の塗装に変更、さらに2012年12月にはEL長瀞宝登山初詣号の運転に合わせて紅褐色基調の塗色に塗り替えられ、さらに2020年1月の検査時には蒸気機関車に揃えて黒単色に塗り換えられました。通常は旅客用として活躍していますが、SLパレオエクスプレスなどの運休時期には貨物機としての仕業にも参加するようです。
三岐鉄道に行ったデキ202、デキ203は愛知国際空港建設に伴う貨物輸送に貢献しましたが、終了後の2011年には廃車となり、2年後には解体されました。
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