小名木川に沿って歩く その6 進開橋、嵩上げ護岸の碑と越中島支線橋梁
砂島橋を潜ると進開橋の手前でかつてこの辺が江東ゼロメートル地帯だった頃の水害対策のための護岸の碑が残されています。
2021/8/31 明治期以降の工業の発展と工場による地下水の汲み上げで地盤が沈下し、天井川状態となり護岸が嵩上げされていった記録です。
水門、閘門で荒川、隅田川と隔絶し、小名木川、横十間川などの水位を約1mほど下げ、護岸に使用したコンクリートなどが不要となり、それを再利用し、遊歩道の整備に充てたとのことです。
次に見えて来るのは進開橋です。北側は大島一丁目と四丁目、南側は北砂一丁目と三丁目の境界となっている都道306号線王子千住夢の島線 、通称、明治通りが走っています。かつて明治通りには都電が走っていました。雪廼舎閑人氏の「続都電百景百話」の「100境川の分車庫」の話題では
京葉道路を水神森で右に曲がり、都電専用橋で堅川を、進開橋で小名木川を南に渡って進むと、境川の停留所に来る。38番の電車は、これから小名木川貨物駅に行く引き込み線のガード下をくぐり、汽車製造会社のわきをかすめ洲崎に向かって行く。29番は境川で左折して、一路葛西橋へ。停留所の右手に見えるのが、まるで飛行場の格納庫のようなばか高い屋根の境川分車庫である。
ちなみに錦糸町から水神森を経て、荒川放水路手前の西荒川、さらに東荒川から今井までの区間、そして水神森から洲崎までの区間は城東電軌の路線として開通後、1942年2月に東京市電に編入された区間でした。旧城東電軌の路線の発展に関してはこちらのサイトの情報が大変参考になります。実際に水神森から永代通りまで現在は緑道となっているかつての都電軌道跡を歩いてのレポートは大変興味深いものがあります。
進開橋の西側に架かる橋は総武本線越中島支線の小名木川橋梁です。1929年3月20日、小名木川の水運を利用した物流の連絡拠点として小名木川駅が北砂二丁目15に開業し、小岩駅との間が開通しました。貨物専用の駅でしたが、5面のコンテナホーム、6本の貨物荷役線、4面の有蓋車用貨物ホーム、6本の貨物荷役線を持つ東京東部の鉄道貨物輸送拠点でした。
線路は全線単線ですが、鉄橋や用地は複線分確保されていました。
上の記述にも出てきましたが近くには汽車製造東京製作所があり、同所に続く専用線もあり、同所で製造された151系、181系、153系、157系、165系、101系、103系、113系、115系、455系の他、0系新幹線、私鉄・地下鉄公共電車・海外向け車両などの甲種輸送の出発駅でもありました。一方、都営大江戸線の12-000形の木場車庫への搬入の際には甲種輸送の到着駅ともなりました。
1958年11月10日には線路が越中島駅まで延伸しました。同駅は1990年3月10日、京葉線に越中島駅が開業したことで越中島貨物駅と改称されました。かつては東京都港湾局所有の専用線が豊洲、晴海方面に伸びていましたが、1989年2月10日に廃止されました。
貨物輸送形態の変化により、2000年3月11日に小名木川駅での貨物列車の設定は廃止され、駅も同年12月2日に廃止となりました。機能は隅田川貨物駅に移転となりました。跡地の一部は複合商業施設「アリオ北砂」になりました。因みにそばを通る明治通りの交差点名は依然として「小名木川駅前」となっています。
越中島貨物駅は近くにJR東日本レールセンターがあり、ここからロングレールが各地に配送されています。レールは船から陸揚げされ、センター内でロングレール化され、日曜を除く毎日3往復設定されています。2021年3月のダイヤ改正からJR東日本のレール輸送はキヤ195系となり、JR東日本以外の事業者が購入したレール輸送のみがDE10牽引のチキのスタイルとなりました。
上り列車
工7230D
越中島レールセンター→(入換)→小名木川10:40発→新小岩操10:50着
配9246レ/9294レ DE10牽引
越中島レールセンター→(入換)→小名木川13:42発→新小岩操13:55着
※レール検測時は運休
工7232D
越中島レールセンター→(入換)→小名木川16:10発→新小岩操16:20着
下り列車
工7231D
新小岩操9:23発→小名木川9:33着→(入換)→越中島レールセンター
配9247レ/9295レ DE10牽引
新小岩操12:10発→小名木川12:22着→(入換)→越中島レールセンター
工7273D
新小岩操14:35発→小名木川14:45着→(入換)→越中島レールセンター
※レール検測時は配9295レ/9295レ運休
情報はこちらのサイトを参考にしました。小名木川駅はJR貨物時刻表に記載されている越中島貨物駅のことで、旧小名木川駅より先は入換運転となるため、このように標記しているとのことです。
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