小名木川に沿って歩く その2 江東区 中川船番所資料館
小名木川に沿って歩くシリーズ、2回目は小名木川の東端にある中川船番所資料館です。 2021/8/31 旧中川に架かる橋から
1590年、豊臣秀吉の天下統一により、徳川家康、当時49歳は関東移封となり、江戸城に入りました。兵糧としての塩を行徳塩田から江戸湊(日比谷入り江付近)に運ぶためには江戸湾の北部を経由するルートが一般的でしたが、当時の江戸湾北部には砂州や浅瀬が広がり、船がしばしば座礁する事故が起こっていました。それを避けるため沖合を経由すると強い風波を受け、転覆沈没することもしばしばありました。 行徳の塩田で採れた塩を最短経路で日本橋へ運ぶルート
そこで江戸入城後、最初に行ったインフラ整備が小名木四郎兵衛に命じての小名木川(運河)の開削でした。これにより従来からのルートが大幅に短縮され、かつ安全性が向上しました。1596年には深川八郎右衛門が深川を開拓しました。小名木川は塩の輸送路のみならず、塩以外の物資の運搬路、成田山への参詣客なども運ぶようになり、江戸物流の重要河川となりました。
1654年には利根川東遷事業 の一環として利根川本流を銚子口に結ぶ工事が完了し、銚子から関宿、江戸川、新川(船堀川)、小名木川、隅田川、江戸日本橋への川船の航路が開かれました。 館内に再現されている当時の輸送船の様子
積荷等をチェックした番所の様子
物流の盛んな場所には江戸に危険な物資が運び込まれないか(よく言われた入り鉄砲、出女)をチェックする番所が置かれ、最初は1647年に小名木川西端の隅田川河口に深川番所が設置されました。当時、利根川東遷事業も行われており、小名木川、旧中川、新川の合流地点は江戸水運ネットワークの重要ポイントと認識され、1661年に隅田川河口に設置されていた深川番所が小名木川東端の旧中川と合流する場所に移転しました。これが中川船番所です。
1701年には木場が完成し、江戸中の材木の集積場が出来上がり、埋め立ての進行とともに土地が拡大、現在の江東区に相当する領域内に運河ネットワークが完成しました。
260年以上続いた江戸幕府も1867年の大政奉還とともに滅亡し、全国の関所の廃止され、1869年に中川番所も廃止されました。
資料館のパンフレットから
中川番所の位置は廃止後、歴史の中に埋もれており、「江戸名所図会」の江戸図から江東区大島9丁目1番地に相当する場所にあったのではと推定されていました。1995年、同地で土壌処理作業が行われた際に多数の瓦片が出土し、土地所有者の日本化学工業(株)が主体となり江東区中川船番所遺跡発掘調査団が組織され、番所の礎石の一部や柱材・硯・下駄等が発掘されました。 資料館では常設展示のほか、訪れた日にはこういった企画展示も行われていました。
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