世界で一番多い保有数を誇ったJALのBoeing747 その7 SR-46と並行して発注された国際線用747、JA8122
前回の日本の特殊事情からJALがBoeingと共同開発したSR-46(7機のうちの後ろ3機)とほぼ同時期に発注されたのがJA8122,JA8123,JA8125,JA8127,JA8128の5機でした。これからの記事ではこれら5機について順番に触れようと思います。
Boeing社は航空機を受注した時点でcn: constructor's numberを割り当てます。しかし、発注が確定発注ではなく、オプショナルのものであり、経営方針の変更などで発注が取り消され、cnが振られた航空機が製造されないことがあります。一方、747の製造ラインでは建造中の747一機ごとに番号を振っており、こちらはln: line numerとなっています。この視点でJALの747のうち、JA8121からJA8128のcn/lnを見てみると
JA8121 SR-46 20923/234
JA8122 -246B 20924/235
JA8123 -246F 21034/243
JA8124 SR-46 21032/249
JA8125 -246B 21030/251
JA8126 SR-46 21033/254
JA8127 -246B 21031/255
JA8128 -146A 21029/259
と発注順序的にも製造ラインの順番的にも、最初の貨物機(JA8123)を含めた、国際線用のJA8122,JA8125,JA8127,JA8128の5機は7機のSR-46の後ろ3機と同時期に発注契約がなされ、ほぼ同時期に製造されたことが分かります。
cn20924 ln235のJA8122は1974年3月29日に登録されました。JALの747がアンカレジ経由の欧州線に就航したのは1972年4月のことで3日には東京~アムステルダム~パリに、5日には東京~ハンブルグ~パリに就航しています。1973年3月31日には東京~フランクフルト線に、4月2日には東京~ロンドン線にも747が就航、そしてJA8122が本格的に営業運航に投入された1974年4月1日からはアンカレッジ経由の北回り欧州線は全便747による運航となりました。
1975年12月16日、JL422便として運航中、アンカレジ空港の誘導路を走行中、凍結と強風で誘導路を逸脱、平均傾斜度13度の積雪の土手を滑落し、停止する事故を起こしました。乗客乗員2名が重賞、9名が軽傷を負う事故となりました。空港管理者の凍結への対策の不十分、羽田空港の着陸制限時間を気にするあまり機長が不適切な判断をしたことが原因の事故でした。
1979年7月22日、サンフランシスコから東京に向かうJL001便が午前8時10分(JST)離陸後、9時25分頃、高度31000ftを飛行中の機内でインドネシア国籍の49歳の男性(ストレッチャ輸送旅客)が死亡する事故がありました。癌の手術のためサンフランシスコに行きましたが、滞在のみで手術は行わず、帰国の途上の死でした。機内における遺体保存措置の限界から、目的地をホノルル国際空港に変更、燃料50,000lbを放出し、13時12分に着陸、同空港で遺体と付添人3名は降機しました。
1987年4月26日午前7時27分(JST)バンクーバー国際空港をJL015便として離陸後、高度31000ftを新東京国際空港に向け飛行中、カナダ国籍のフィリピン人の女性72歳が肺癌のため死亡する事故がありました。付添人の希望により同機は飛行を継続し、17時22分、新東京国際空港に着陸しました。
1993/5/8 羽田京浜島 JA8122 cn20924/ln235 国際線から国内線用にコンバートされていた時代
1995/8/7 成田RWY16Rエンド 再び国際線に
1990年から1994年にかけては国内線用にコンバートされ、その後は近距離国際線に使用されました。1996年1月31日、UTファイナンスに売却、N550SWとなり、3月にはCLG747社を経てエアアトランタ・アイスランドにリース(TF-ABI)、サウジアラビア航空、イベリア航空にリースされ、現在は解体済みです。
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