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2023年3月27日 (月)

2022年夏 名古屋遠征 名鉄ほぼ全線乗りつくしの旅 78 車両編 車体更新HL車 3700系(2代)・3730系・3770系・そして冷房付き3780系

名鉄では1950年当時、多数在籍した木造車体の旧型車の車体更新を進めており、その中でも間接非自動加速制御(HL)方式の車両に対しては1957年には3700系(2代)が登場し、1963年までに41両が製造されました。3700系(2代目)に関してはこちらのサイトの記述が大変参考になります。

3770-2776-861206

1986/12/6 尾張瀬戸 3770系 ク2776

1964年には運転台を高運転台とし、1400mm両開き扉とした3730系1966年からは全席転換クロスシートにした3770系が増備され、両系列で合計77両製造されました。これら3系列は名古屋本線・犬山線における普通列車運用に投入され、支線区に直通する優等列車運用にも充当されました。3770系2両は1978年の瀬戸線昇圧で移籍し、後に3770系全車と3730系の一部が移籍しましたが、1990年には瀬戸線移籍車が引退、1996年には本線残留車も引退となりました。

一方、1960年代半ばはモータリゼーションの進展で支線区における利用客の自家用車への移転が顕著となりつつあり、運用車両の質的向上が必要不可欠となり、冷房装置を搭載していないこれら3系列は旅客サービスの点から見劣りする存在となっていました。

1966年度下半期に投入する車体更新車に関しては旅客サービスの向上から冷房装置を搭載し、通勤通学輸送と行楽輸送の相反する用途の両面を満たす新型車両として設計され、3780系、形式は制御電動車モ3780形、制御車ク2780形の2両(18m2扉)からなる編成が10本計20両が1966年11月から12月にかけ製造されました。

主要諸元
車両定員 130人(座席38人)
自重 モ3780形:34.5 t ク2780形:28.9 t
全長 17,830 mm
全幅 2,740 mm
全高 モ3780形:4,200 mm ク2780形:3,835 mm
車体 全金属製
台車 FS35・D16ほか
主電動機 直流直巻電動機 WH-556-JR-6G
主電動機出力 74.6 kW (端子電圧750 V時一時間定格)
搭載数 4基 / 両
駆動方式 吊り掛け駆動
歯車比 3.045 (67:22)
制御方式 電磁空気単位スイッチ式間接非自動加速制御(HL制御)
制御装置 HL-272G-6
制動装置 AMM / ACM自動空気ブレーキ

車体は全金属製・準張殻構造の軽量車体で全長・全幅・心皿中心間隔は3700(2代)・3730・3770系と共通ですが、本系列では5500系と同様に車体裾部に丸みが設けられました。また冷房装置搭載のため、車体高が3700(2代)・3730・3770系に較べ150mm縮小されました。

車内は3770系同様、全席転換クロスシートですが各客用扉直近の1列計8脚の座席を1人掛け席として、ラッシュ時間帯において乗降客で最も混雑する客用扉付近の移動を容易とし、その他の座席については通路を挟んだ左右に1人掛け席と2人掛け席を配置し、車体中央部で座席配置を左右反転させた構造としました。車内通路幅を最小1,015 mmとして、従来の2人掛け席を通路左右に配した転換クロスシート仕様の車両の通路幅605 mmと比較して410 mmの拡幅を実現しました。座席横幅は1人掛け席が533 mm、2人掛け席が933 mmで、座席間中心間隔(シートピッチ)は900 mmと5500系および7000系「パノラマカー」とほぼ同等の居住性となりました。

3780-7501 1975/1/2 神宮前 ストロークリーム地に赤帯の塗装となった3780系

車体塗装は3730系の一部に採用されたライトパープル1色塗りでデビューしましたが、塗料が耐候性に乏しく退色が激しかったことや遠方からの視認性に著しく難があったため、早々と当時の標準塗装であったストロークリーム地に赤帯の塗装に変更されました。主電動機の出力が低く、さらに高速運転時に用いる弱め界磁制御機能を有さなかったため、3700系(2代)からの4系列は幹線から支線運用に回るようになりました。

3780-861206 1986/12/6 尾張瀬戸 3780系 3785F

3780系に関しては1978年3月の瀬戸線昇圧工事完成より、3783編成、3787編成、3788編成以外の編成が瀬戸線に転属となり、同年8月の栄町乗り入れからは全10編成が瀬戸線転属となりました。当時瀬戸線車両では唯一の冷房付き編成であったので、急行列車運用に充当されました。瀬戸線の利用客増加で1985年5月から1986年3月にかけ、全席ロングシートに改造され、ク2780形の台車もそれまでの雑多な台車形式から3880系本来の扶桑金属工業(のちの住友金属工業)製のKS33E鋳鋼組立形釣り合い梁式台車に統一されました。

1995年には瀬戸線輸送力増強で6000系2連が転入し、廃車が始まり、1996年6月1日に最後まで残っていた3781・3784編成が除籍となり形式消滅しました。本系列の全廃で名鉄の1500V架線電圧路線区のHL車は全廃となりました。

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