2023年8月に開業した宇都宮 Light Rail(ライトライン)を訪ねて 前編
栃木県の県庁所在地、宇都宮市は人口51万人(2024年1月1日現在)で栃木県の全人口の1/4を占めています。市は東西23.97㎞、南北29.53㎞で面積は416.85㎢です。日本全国の市の中では26位の人口の多さです(情報)。
市の東部地域、鬼怒川の左岸に全国最大クラスの内陸型工業団地として平出工業団地や清原工業団地が造成され、さらにその東側の芳賀郡芳賀町や真岡市にも大規模な工業団地が整備されました。そのために従業員の通勤、原材料や製品の輸送で鬼怒川を渡る道路橋を中心に激しい交通渋滞が発生し、社会問題化していました。
一方、宇都宮都市圏を南北に貫く鉄道路線としてJR東日本の東北本線、東武宇都宮線、さらに市域より西に向かう路線としてJR日光線は存在するものの市域を東西に貫く鉄道、軌道路線は存在せず、路線バスの路線網も市西側に集中していました。そのため、東部地域は公共交通機関の空白地帯となっていました。この問題を解決するために1987年頃から構想が立ち上がったのが「新交通システム構想」でした。
新交通システムの方式について1990年代初頭はガイドウェイバス、モノレール、スカイレール、磁石式ベルト輸送システムなどが検討されましたが、1994年秋にストラスブールで世界初のLRTが開業し、2001年、宇都宮でもLRT方式の導入が決定し、ルートも
Aルート: 栃木県道64号宇都宮向田線(鬼怒通り)を東進し続け柳田大橋を渡り栃木県道69号宇都宮茂木線へ入り宇都宮テクノポリスセンター地区(現・ゆいの杜)へ向かう、全長9.6 km。
Bルート:栃木県道64号宇都宮向田線を東進し新4号国道平出交差点付近で専用軌道へ入り、清原工業団地北部を経由して宇都宮テクノポリスセンターへ向かう。全長10.4 km。
Cルート:栃木県道64号宇都宮向田線を東進しBと同じように平出交差点付近で専用軌道へ入ったのち作新学院大学付近、清原工業団地中央部を経由し宇都宮テクノポリスセンターへ向かう。全長11.6 km。 の3案に絞られ、最終的に2002年にBルートで進めることに決定しました。
その後、県と市の意見対立などで計画の5年間凍結などがあり、知事、市長の交代などを経て、2006年頃から計画が再び動き始め、「ネットワーク型コンパクトシティ」の形成の基幹としてLRTを中心にした東西基幹公共交通と位置づけ、2013年にLRT事業化のための「芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会」が設置され、2015年11月19日、運営主体の第三セクター企業「宇都宮ライトレール株式会社」が設立されました。
2017年8月9日、宇都宮市と芳賀町、宇都宮ライトレールの3者が工事施行認可を国(国土交通大臣)に申請、2018年3月20日、国土交通省、優先整備区間の工事施行認可となり、同年5月28日、工事着工となりました。
2023年8月26日、起点:宇都宮駅東口停留場~終点:芳賀・高根沢工業団地停留場、路線距離14.6㎞、停留所数19、軌間1067mm、DC750V電化方式、架空電車線方式で優先整備区間の開業を迎えました。既存路線の延伸や改良を伴わない全くの新規路線としてライトレールが建設されるのは日本初であり、それまで路面電車路線が存在しなかった都市へ軌道法に基づく路面電車路線が新規開業するのは1948年の富山地方鉄道伏木線(現在の万葉線高岡軌道線)以来とのことです。
2023年8月開業のライトライン路線図
新潮プレス”ライトライン”で街さんぽ から転載
2023/12/16 宇都宮駅東西自由通路に掲示されているライトラインのポスター
ライトライン乗り場案内
自由通路を東に進んだ所に停留所に降りる階段があります。
2線のうち、通常は1番線が使われているようです。列車案内は外国人観光客にも考慮して英語表記もあります。
2023/12/16 ライトライン宇都宮駅に掲示されている乗車案内
ホームに入線したHU311-A
車両の詳細に関しては後編の記事で触れますが、新潟トランシス製のHU300形を使用しています。Hは芳賀、Uは宇都宮、300は3車体連接に由来し、現時点で17編成(51両)が導入されています。
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