2023年夏と2024年冬の名古屋旅行 その38 名鉄が JR東海から譲受したホキ80形
多くの鉄道会社が保線用砕石(バラスト)やレールの輸送を保守機械による輸送方式に切り替えている中、名鉄はEL120という新型の機関車を開発し、JR東海からホキ800形を購入し、ホキ80形に改造、EL120形2両の間に挟み、工事用臨時列車という形態で保線作業を行っています。
バラスト、セメント、小麦粉など粉状や粒状の積載物を袋詰めせずにばら積みの状態で輸送し、目的地で下部にある取り出し口を開け、取り出す貨車をホッパ車と言い車種記号は「ホ」で表しました。尚、石炭も砕石と形状は似ていますが、石炭車はホッパ車には含めないという了解がありました。最初にホッパ車が登場したのは1952年のことでセメント輸送用に有蓋ホッパ車(タキ2200形)が登場しました。当時は適切な車種が無く、暫定的にタンク車に分類され、1953年にホッパ車が制定され、タキ2200形はホキ1形(初代)に改番されました。一方、1930年、浅野造船所で浅野セメント向け鉱石車としてヲキ1形16両が製造されました。後年石炭車に類別され、セキ4000形に改められた車両も1957年にホッパ車に改められホキ4000形となりました。同車は1963年の称号規程変更でホキ600形に再改番されています。
バラスト運搬用ホッパ車として登場した貨車には北海道向けに1958年苗穂工場でセキ600形を改造して誕生したホキ1400形(1963年の称号規程変更でホキ1形(2代目)、複線用に特化した車両でバラストの輸送のみならず散布も可能な車両で1953年から1962年に三菱重工業が製造したホキ100形(1963年の称号規程変更でホキ300形に)、1957年から1959年に国鉄長野工場が製造したオホキ700形、ホキ700形が軌道外側1方向のみバラストを撒布する方式だったのを軌道の内側・外側・遠近の3方向に撒布可能としたホキ800形があります。
2010/7/10 東淀川 EF65PFに牽引され東海道本線を東上するJR西日本の工事用臨時列車
ホキ800形はバラスト撒布用ホッパ車の決定版として1958年度から1974年度にかけ、国鉄長野・浜松・郡山の各工場、東急車輛製造、三菱重工業、日立製作所、汽車製造で1066両が製造されました。
国鉄分割民営化の際にJR北海道105両、JR東日本407両、JR東海62両、JR西日本164両、JR四国10両、JR九州67両の計815両が承継されました。2021年4月1日時点でJR各社に在籍する車両はJR東日本100両、JR西日本45両で他の旅客会社の車両は全て除籍されました。
名鉄は2001年12月にJR東海からホキ800形、ホキ1035, 1741, 1746, 943, 942, 910を譲り受け、ホキ80形ホキ81~86と改番し、ホキ81 - 83は犬山検車区に配置され犬山線系統で、ホキ84 - 86が豊明検車支区に配置され、名古屋本線系統で使用されています。2010年に台車を台車をTR41CからTR214Bに交換し、昨日の記事にあるようにEL120形電機が登場した際に2両の機関車間に貨車を挟んで運用する際に総括制御が可能なように制御線が引きとおされました。瀬戸線用にJR東海から譲受したホキ945を改造したホキ87も喜多山検車支区に配置されていましたが、喜多山検車支区の移転に伴い2007年に廃車となりました。
2024/1/5 豊明 EL120重連+ホキ84,85,86
名鉄以外にもJR各社から譲渡されたホキ800形として弘南鉄道、八戸臨海鉄道、小坂精練小坂鉄道、上信電鉄、小湊鉄道、伊豆箱根鉄道、大井川鉄道、遠州鉄道にホキ800形が在籍しています(小坂精錬小坂鉄道は2009年に廃止)。またホキ800形と同一設計で事業者が独自に製造した車両もあります。東武鉄道ホキ1形、西武鉄道ホキ81形、ホキフ71形、相模鉄道ホキ800形、富士急行ホキ800形、富山地方鉄道ホキ80形、近江鉄道ホキ10形、京王帝都電鉄ホキ280形、京浜急行ホ50形、阪神電気鉄道161形、神戸電気鉄道クホ760形、サホ760形、山陽電気鉄道クホ70形、サホ80形などがそうです。
最後まで読んで戴きありがとうございます。
上のリンクをクリックされると面白い鉄道記事満載のブログ村。もしくは鉄道コムに飛ぶことができます。
« 2023年夏と2024年冬の名古屋旅行 その37 豊明検車支区にてEL120形を撮影 | トップページ | 世界で一番多い保有数を誇ったJALのBoeing747 その64 12機目の-446として就航した JA8082 »
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 2023年晩夏の関西旅行 JR西日本編 その12 京都線・神戸線新快速 225系 part2 8連、6連、4連 網干車両所配置 100番台(2024.10.10)
- 2023年晩夏の関西旅行 JR西日本編 その11 京都線・神戸線新快速 225系 part1 8連、(6連)、4連 網干車両所配置 0番台(2024.10.09)
- 2023年晩夏の関西旅行 JR西日本編 その10 京都線・神戸線新快速 A seat 225系 新製車(2024.10.08)
- 2023年晩夏の関西旅行 JR西日本編 その9 京都線・神戸線新快速 A seat 223系改造車(2024.10.07)
- 2023年晩夏の関西旅行 JR西日本編 その8 走り始めて早30年、281系特急「はるか」 part2(2024.10.03)
「事業用車」カテゴリの記事
- 2023年夏と2024年冬の名古屋旅行 その38 名鉄が JR東海から譲受したホキ80形(2024.05.02)
- 2023年夏と2024年冬の名古屋旅行 その37 豊明検車支区にてEL120形を撮影(2024.05.01)
- 2023年夏と2024年冬の名古屋旅行 その3 名古屋車両区のキヤ97系(2024.01.24)
- 2023年夏と2024年冬の名古屋旅行 その2 名古屋車両区のキヤ95系(2024.01.18)
- 2022年夏 名古屋遠征 名鉄ほぼ全線乗りつくしの旅 12 三柿野~犬山遊園(2022.11.29)
「民鉄:名古屋鉄道」カテゴリの記事
- 2023年夏と2024年冬の名古屋旅行 その38 名鉄が JR東海から譲受したホキ80形(2024.05.02)
- 2023年夏と2024年冬の名古屋旅行 その37 豊明検車支区にてEL120形を撮影(2024.05.01)
- 2023年夏と2024年冬の名古屋旅行 その34 名古屋市交通局地下鉄鶴舞線の車両達 part1 3000形(2024.04.23)
- 2023年夏と2024年冬の名古屋旅行 その33 (2022年夏の補遺)名鉄100・200系(2024.04.22)
- 名鉄岐阜市内線・美濃町線・田神線廃止に伴って福井鉄道に譲渡されたモ880形(2024.04.17)
« 2023年夏と2024年冬の名古屋旅行 その37 豊明検車支区にてEL120形を撮影 | トップページ | 世界で一番多い保有数を誇ったJALのBoeing747 その64 12機目の-446として就航した JA8082 »
コメント