2023年晩夏の関西旅行 大阪メトロ編 その3 堺筋線を走る車両 66系
天神橋筋六丁目から堺筋の地下を走り、天下茶屋に至る8.5kmの路線が堺筋線で1969年12月6日に開業しました。最初の開業区間は天神橋筋六丁目 - 動物園前間 (7.0 km)で、大阪市交通局の60系と天神橋筋六丁目で接続する阪急千里線から乗り入れる阪急3300系、それぞれ5両編成による運転が開始されました。開業時からATC・CTCが採用され、大阪の地下鉄では初めての架線集電方式の路線となりました。1979年3月4日からは編成が6連化され、翌3月5日からは阪急の乗り入れ車両に5300系も加わり、8連での運用も投入されました。1989年12月16日からは阪急側の乗り入れ車両に7300系、8300系が加わり、1990年8月1日には大阪交通局の車両として66系が登場しました。1993年3月4日、動物園前~天下茶屋間(1.5km)が延伸開業し、全線開業となりました。2014年7月9日からは阪急1300系も乗り入れるようになりました。
開業当初から活躍した60系は1970年の日本万国博覧会に合わせ、川崎重工業(第1~3編成)、日本車輛製造(4~8)、汽車製造(9~14)、日立製作所(15~18)の4社で5両編成18本が製造されました。アルミ合金製の車体で基本構造は御堂筋線等に投入された30系と共通する点が多く、前面の天井近くまである窓ガラス、その内側に行き先表示器や尾灯を納めた形態は当時としては極めて斬新で、小田急9000形などにも影響を与えたと言われています。
後年、編成両数が増加した際には新製はせずに一部の編成を取り壊し、6連化、8連化が進められ、1,2,3、11,12編成のみが冷房改造されました。
8連化時点での形式は天下茶屋下側から
6000形(Mc1) パンタグラフや主制御器搭載の制御電動車
6100形(M2p) 解体された編成から抜き出された6300形、6500形を改番した中間電動車
6200形(Mb1) 解体された編成から抜き出された6000形、6400形を改番した中間電動車
6300形(M2e') SIV, BATTなどを搭載する中間電動車、天神橋筋六丁目方に簡易運転台設置
6600形(T) 補助電源装置などを搭載する付随車、動物園方に簡易運転台設置
6700形(T') 6連化時に第16~18編成を分解し、主要機器撤去・M車の電装解除して準備された付随車
6400形(M1) パンタグラフや主制御器などの走行機器を搭載する中間電動車
6500形(Mce2) 蓄電池などの補機類を搭載する制御電動車 といった構成でした。
大阪地下鉄としては初めて床下に暖房機器を搭載、地上線での高速走行時の乗り心地確保のため、台車は住友S型ミンデン式のFS-373(T台車:FS-073/局内MS-60)を採用しました。また架線集電の特性も生かし、補助電源は当時最新鋭のSIVを採用しました。
1970年、第10回のローレル賞が授与されています。
運用開始から30余年経過した2003年11月7日を以って営業運転は終了、6014号車1両が森之宮車両管理事務所に保管されています。
1990年、60系の後継として登場したのが66系でした。冷房化が一部の編成に留まった60系を置き換え、内装及び乗客サービスの向上を目的とし、2003年までに川崎重工業と近畿車輛で8両編成17本が製造されました。実際は01-05編成までは1992年に6連で製造、1992年から1993年にかけ、中間車66100形と66700形が製造され、組み込まれて8連化、1993年に06-08編成、1994年に09-12編成が8連で製造され、60系非冷房車は淘汰されました。2002年に老朽化した60系冷房改造車の置き換えを目的に内外装や制御機器類にマイナーチェンジを行った8両編成5本(13-17)が製造され、66系に統一されました。
車体はオールステンレス、無塗装で同時期に製造された新20系と類似した構造となっています。
主要諸元
最高運転速度 70 km/h(堺筋線内)110 km/h(阪急線内)
起動加速度 2.8 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.0 km/h/s
編成定員 1,108人
編成重量 225.5 t
全長 18,900 mm
全幅 2,845 mm
全高 4,080 mm
車体 ステンレス鋼
台車 SUミンデン式ボルスタレス台車 SS-120・SS-020
主電動機 かご形三相誘導電動機
第1~12編成:
三菱 MB-5037-A
日立 HS34531-07RB
東芝 SEA-322A
第13~17編成:
三菱 MB-5037-B
日立 HS34531-07RB
東芝 SEA-398 および SEA-399
主電動機出力 180 kW
駆動方式 WN駆動方式
歯車比 98:17 (5.76)
編成出力 2,880 kW
制御方式 VVVFインバータ制御
第1~12編成:
未更新車:GTOサイリスタ素子
日立 VF-HR-142 または VFG-HR1420H
東芝 SVF012-A0
三菱 MAP-184-15V24
更新車:IGBT素子
三菱 MAP-184-15V110A
東芝 SVF061-B0
日立 VFI-HR1420X
第13~17編成:IGBT素子
三菱 MAP-184-15V110
東芝 SVF061-A0
制動装置 回生ブレーキ(純電気式)併用電気指令式ブレーキ
保安装置 WS-ATC、阪急型ATS
編成の構成は
天下茶屋
66600形(Tec1) SIV,CP、BATT搭載の制御車
66000形(Ma1) パンタグラフや主制御器などの走行機器を搭載する中間電動車
66100形(Mb1) 66000形からパンタグラフを取り除いた構造を持つ中間電動車
66700形(Tp') CP搭載の付随車
66800形(T') 主要機器を搭載しない付随車 天下茶屋方に簡易運転台設置
66300形(Mb2) 66100形と同様の中間電動車
66200形(Ma2) 66000形と同様の中間電動車
66900形(Tec2) 66600形と同様の制御車 となっています。
登場から20年以上が経過した2012年6月からリニューアル工事が開始され、
・スカートの取り付け
・識別灯・尾灯をLED式に交換
・行先表示器を30000系と同様のフルカラーLEDに変更
・前面のVVVFマークを撤去し、車両番号表示をVVVFマークのあった位置へ移動
・30000系や新20系改造車に準じたグラデーションの帯に
・シート端のポールの2本化、床面配色の変更、バケットシートの採用など、30000系に準じた車内に
・VVVFインバータ装置と補助電源装置(SIV)の IGBT化
・種別表示設定機器に阪急京都線内の全種別を追加。行先表示設定機器に高槻市から先の長岡天神・桂・河原町・嵐山を追加
・車内照明のLED化(2014年施行車以降)
2019/10/18 淡路 66616F
スカート無しの未更新編成
2019/10/18 北千里 66602F
更新済みの編成
66602Fの車内
更新によって車両のイメージが大きく変化しています。
既に10編成以上、更新工事が進んでおり、登場時のスタイルもあと数年で見納めとなるでしょう。また2024年9月の時点で淡路駅周辺の高架化工事もかなり進捗しており、京都線と千里線の平面交差もあと数年で見納めになると思います。
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