青梅線開通130周年、青梅駅駅舎築100年
今週は西武秩父線、秩父鉄道、E233系P編成と3日連続で埼玉・東京西部の話題になりましたが、4日目の今日の記事も東京西部の話題でゆきます。
2024/11/13 青梅駅
今年は青梅線(立川~青梅間)開通から130周年、青梅駅二代目駅舎落成から100年で青梅線沿線の各自治体では関連イベントが多く快哉れています。私も11月13日の午後、青梅市郷土博物館の特別展に行ってきました。
青梅市郷土博物館は青梅駅の南の多摩川が大きく蛇行する川沿いの釜ヶ淵公園にあります。
青梅線の立川~御嶽間は青梅鉄道が軽便鉄道の規格で開業した路線で1894年11月19日に立川~青梅間が開業、軌間は762mmで拝島、福生、羽村、小作、青梅駅が開業しました。青梅線開業の本来の目的は日向和田の石灰石採掘とその輸送のためで1895年12月28日には日向和田まで延伸、日向和田は貨物駅として開業しました。1898年3月10日には青梅~日向和田間の旅客営業も開始されました。762mmの軽便鉄道規格では輸送量も限られ、甲武鐡道との接続駅、立川での積み替えも必要となるため、1908年2月18日に全線の軌間を762mmから1067mmに改軌、このときにドイツ・クラウス社製の蒸気機関車4両(二代目1~4号機関車)が導入されました。1920年1月1日には二俣尾まで延伸、1923年4月25日には立川~二俣尾間が直流1200Vで電化されました(その後、1930年に1500Vに昇圧されました)。電化当初には1921年に梅鉢鉄工所で製造された木造客車を改造したデハ1形電車が投入されました。1929年9月1日には御嶽まで延伸しました。開業以来の兼業であった石灰石採掘事業は1920年に浅野セメントに採掘権が譲渡され、採掘量の増加で青梅鉄道にも莫大な運賃収入をもたらしましたが、その後のセメント不況では経営不振に陥り、その打開策として沿線観光開発や旅客誘致に力が注がれることになりました。
大正期には日帰り行楽旅行ブームが起こり、1921年には西多摩地区唯一の遊園地「楽々園」を現・石神駅前に開設、1925年には奥多摩川の風景を積極的に売り込み、1927年の「日本新八景」選定投票で「奥多摩渓谷」を「日本百景」に当選させました。
2024/11/13 青梅駅舎 建造されてから100年経過しているとは思えません。
青梅駅初代駅舎は木造平屋建て、建坪45坪で、駅構内には機関庫、客車庫、工場が併設されていました。1924年11月30日、青梅鉄道開業30周年記念で建て替えられたのが現在の二代目駅舎で地上3階、地下1階で、鉄道省出身の建築家久野節の設計によるものです。
1929年5月3日には社名を青梅電気鉄道に変更、自動車部を設置し、1930年には奥多摩自動車を買収し、乗合自動車偉業を始めました。1934年には団体貸切自動車事業も開始しました。この頃は青梅自動車を買収した武蔵野鉄道(現・西武鉄道)との間で東京~青梅間、青梅市域において激しい競争が展開されました。
青梅鉄道、青梅電気鉄道時代に開業した駅は、創立時の5駅の他
1895年12月28日 日向和田駅(貨物)1898年3月10日 旅客化
1908年5月16日 中神駅
1914年4月1日 宮ノ平駅(貨物)1923年4月1日 旅客化
1920年9月23日 上古新田駅(貨物)1935年6月14日 立川~上古新田間廃止
1927年2月20日 河辺駅
1928年10月13日 楽々園駅 → 石神前駅
1929年9月1日 軍畑停留場、沢井駅、御嶽駅
1930年11月15日 西立川停留場 → 1931年11月15日 西立川貨物駅 → 1935年6月1日 停留場と貨物駅を統合
1932年10月1日 東青梅停留場
1938年1月25日 昭和前仮停留場(現・昭島駅)
1942年7月1日 東中神停留場
1943年3月1日 牛浜仮停留場 が開業しました。
1944年、御嶽駅で接続する氷川に向けた奥多摩電気鉄道の開業に向けた工事も進む中、政策的な要請により鉄道の国有化が進められ、青梅電気・南武・奥多摩電気鉄道は「関東鉄道」として自主的に合併する方針も空しく、国有化されることとなり、4月1日には立川~御嶽間、7月1日には御嶽~氷川間が国鉄に編入となり、青梅線となりました。一方、自動車事業の方は1945年に関連事業を含めた一切を奥多摩振興(現・西東京バス)に譲渡しました。青梅電気鉄道は国有化後、解散を決議したものの、買収路線復帰運動の際に受け皿会社として活動を再開、清算会社として存続した後、1995年に解散しました。奥多摩電気鉄道は奥多摩工業と社名を変更、石灰石の採掘・運送会社として現存しています。南武鉄道も太平洋不動産として現存しています。
昭和50年代の青梅駅で休むクモハ40
青梅線には今では想像もできない旧型国電が走っていました。
博物館の特別展で撮影が可能だった展示物から
展示物に関する説明が纏められた冊子 ¥100で入手可能でした。
2024/11/12 東小金井
2024/11/7 三鷹
E233系T40編成にも青梅線開業130周年記念のHMが掲げられています。
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