2024年年末、海外で起きた2件の航空機事故に関して 後編 Jeju航空2216便、務安空港胴体着陸・衝突事故
昨日の記事で触れたアゼルバイジャン航空機の事故から僅か数日後の2024年12月29日、タイ・バンコクのSuvarnabumi空港を現地時間午前2時11分(UTC+7hr)に出発し、2時28分に離陸、韓国全羅南道務安郡のMuan International Airportに向かっていたJeju Air 2216便(7C2216: Boeing737-8AS HL8088, 乗客175名、乗員4名搭乗)が韓国時間午前8時54分、同空港RWY01への着陸を許可され、8時57分には管制官からバードストライクの危険性を警告されました。その2分後、パイロットからメーデーが発せられ、着陸復航し、旋回して反対側のRWY19からの着陸を試みることになりました。なぜかこの後、同機はランディングギアを下ろさない状態で胴体着陸をし、滑走路をオーバーランしてILSアレイが設置された外壁に時速約200kmで衝突、機体は分解・炎上し、搭乗者のうち、後部にいた乗員2名だけが命をとりとめ、179名が死亡するという大惨事となりました。 2017/5/29 NRT HL8087
Jeju AirのB737-8は成田空港でもよく撮影しており、事故機と1番違いのHL8087の写真がありました。
事故を起こしたHL8088はcn37541/ln3012として2009年8月19日に初飛行、EI-EFRとしてアイルランドのRyanair にリース契約で同年9月4日に引き渡され、7年強在籍した後、2016年11月24日に返却、2017年2月3日からJeju Airがリース導入していました。
2216便のバンコクからムーアンまでの飛行高度と対地速度の変化を示したグラフ Flightradar24 から
同便はUTC時間の19:30離陸し、約20分で高度34000ftに到達、暫らく同高度でフライトした後、36000ftに上昇し、着陸態勢に入るまで同高度を維持しています。ムーアン付近は渡り鳥が寄港地となっており、バードストライクの危険性は指摘されており、現にこの事故でも管制官がパイロットに警告を発していました。さらにバードストライクを起こして、エンジンが二つとも停止し、電気系統のトラブルが起こったとしてもランディングギアは副操縦士の座席後ろのひもをを引くことで通常よりは時間がかかるものの、自重で降りる仕組みとなっており、胴体着陸をしなければならなかったのが謎とされています。
恐らく、バードストライクの結果、最初は片側のエンジンの故障だけだったようですが、2個のエンジンが停止する事態となり、高度もかなり低かったことからパイロットはランディングギアが降りるのは間に合わないと判断して胴体着陸に踏み切ったのではないかと思われます。
同機が胴体着陸をしてランウェイ上を滑走する様子は動画として記録、放映もされていますがその先にILSを設置したコンクリートの壁が設けられていたことはこの事故を大惨事とした最大の要因と考えられています。
昨年1月2日の羽田空港C滑走路上での海保機とJAL機の衝突事故もJAL機が海保機と衝突した際に前脚が破損したものの、RWYをはみ出し、無事停止することができたために乗客乗員に死者が出ずに緊急脱出することができましたが前脚の破損で機体が横転や回転していたらどうなっていたかわかりません。
事故機から回収されたフライトレコーダー、ボイスレコーダーの解析はアメリカで行われるようですが、なぜ胴体着陸に至ったのかその辺の機内での判断が明らかにされることを望みます。
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