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2025年3月18日 (火)

2024年春の名古屋周辺旅行 トヨタ博物館を見学 その5 流線形スタイル全盛時代へ

1925年、今からちょうど100年前にパリで開催されたパリ万博は「アール・デコ博覧会」と言われ、19世紀の産業革命以来、大量生産されるようになった工業製品に適した機能美を追求する博覧会になりました。アメリカは1823年に第5代大統領ジェームズ・モンローが唱えた「モンロー主義」の精神によってかこの万博には不参加でしたが、博覧会後アールデコ調の製品が大量に流れ込み、この潮流に飲み込まれてゆきました。

アール・デコを大規模工業生産に適合させ大衆化したのが工業デザイン(インダストリアルデザイン)でアメリカにて誕生しました。1909年にはstreamlinedという言葉が登場し、1910年代から1920年代には未来の交通機関は空気抵抗の軽減のため流線形になるだろうという予測が出され、1934年クライスラーとデソート(クライスラーが北米で展開したブランド)が当時として画期的な流線形スタイルの「エアフローシリーズSE」を発表しました。

Dsc02812_20250317093101 デソート エアフローシリーズ SE

全長4918㎜、全幅1835㎜ 全高1710㎜ 重量 1640㎏ ホイールベース 2934㎜ 水冷直列6気筒L-頭型エンジン 総排気量 3956㏄
最高出力 75kW/100HP/3400rpm 前車軸上に置かれたエンジン、モノコックに近いボディなど革新的要素に満ちた車でした。

クライスラーのエンジニア カール・ブリアーとウイリアム・アーンショーがライト兄弟の弟、オーヴィル・ライトから空気力学について学び、風洞実験の結果、空気抵抗を受けない車体の形態について出した「トライフォン・スペシャル」と名付けられたプロトタイプを量産化したモデルでクライスラーは8気筒エンジン、デソートは6気筒エンジンを搭載し、1934年に発売しました。当時のアメリカ経済は1929年世界恐慌からまだ完全に回復しておらず、フランクリン・ルーズベルト大統領は不況脱出の切り札としてニューデール政策を掲げ、公共事業として全米高速道路網の整備に力を入れていました。新しい道路に適応する広く快適な車内空間、安全で強力な長距離移動が可能な車として製造されたのがエアフローシリーズでした。ただ、スタイルがあまりにも急進的でありすぎたことなどから市場には受け入れられず、商業的には成功しませんでしたが、エアフローシリーズにおける挑戦は以降のアメリカ自動車業界の発展につながりました。

エアフローシリーズ登場から遡ること3年の1931年、キャデラックはV16、165馬力、7.4リッターエンジン搭載のシリーズ452Aを発売しています。写真は撮っていませんでしたが、V型16気筒エンジンと言えば元々はディーゼル機関用のエンジンで船舶、航空機、鉄道車両用がメインでしたがキャデラックは高級車市場向けに開発、シリーズ452Aに搭載しました。年間500台程度の生産でした。

Dsc02816 フィアット トッポリーノ

一方、ヨーロッパ車でも流線形スタイルの車は続々と登場し、イタリアではフィアット1936年トッポリーノ」の愛称の小型車を出しています(小学校の頃、人気があったトッポ・ジージョを彷彿させますが、イタリア語でトッポはネズミを意味します)。569ccのエンジンを搭載した小型車で大型車のスケールダウンではなく、元々小型車として設計された点がユニークでした。全長3215㎜、全幅1275㎜、全高1377㎜、重量507㎏、ホイールベース2000㎜、最高出力10kW/13HP/4000rpmでした。

Dsc02818 プジョー402

フランスのプジョーも1938年、エアフローシリーズによく似た402を出しました。ヨーロッパ車としては初の流線形ボディで前照灯がエンジングリルの中にしまい込まれている点がユニークで、それまではあったサイドステップが無くなり、ボディの幅が広くなっているのも特徴でした。全長4850㎜、全幅1640㎜、全高1580㎜、重量1194㎏、ホイールベース3150㎜、水冷4気筒OHV、1991cc、最高出力40kW/55PS/4000rpmでした。

1933年、ドイツではナチスを率いるヒトラーが政権を取り、1939年のポーランド電撃侵攻に向けて第二次世界大戦への動きが加速してゆきますが、100年後の今、同じような流れが起きないことを願うばかりです。

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