2024年春の名古屋周辺旅行 トヨタ博物館を見学 その10 1950年代初頭、ジャガーの隆盛
ジャガー(Jaguar) といえば往年の英国の高級車メーカーでした。
ウィリアム・ライオンズとその友人、ウィリアム・ウォームズレイが1922年に創業したスワロー・サイドカー・カンパニーが嚆矢で、最初はバイクのサイドカーを製作していましたが、1926年には工場を移転、コーチワーク、コーチビルダーとして自動車のボディの製造を手掛けるようになりました。1927年、当時の大衆車オースチン・セブンのシャーシにアルミ製のボディを換装したオースチン・セブン・スワローを発表、さらにそのサルーン版にデュオ・トーンとしてツートンカラーにしたバージョンを発表、それがヒットし、1928年社名をスワロー・コーチビルディング・カンパニーに変更、コヴェントリーに移転しました。
1933年、専用設計のシャシーを持つSS1,SS2を発売、社名をSSカーズとし、ヒットさせますが元のエンジンが凡庸であったため、外見は高級車のベントレーを彷彿させるも性能が凡庸だと批判を受けました。その評価を打開するため1935年、ボディのみならず、エンジン、シャシーもすべて専用設計のSS・ジャガー2½、さらに大排気量エンジンを搭載したスポーツタイプのSS・ジャガー90、SSジャガー100を発表しました。
これらのタイプは優れたスタイリングと豪奢な内装、強化されたエンジンと量産効果によるコストダウンで1500ポンドのベントレーに比肩する高級車が400ポンドで販売されたこともあり、大ヒットとなりました。ただ、ライオンズのこうした戦略に対してウォームズレイは事業拡大に反対し、離れてゆきました。
第二次世界大戦中、コヴェントリーはナチスドイツ空軍の激しい爆撃にさらされ、1940年、1941年の爆撃で甚大な被害を受けました。戦後、SSカーズ、SSジャガーの、ナチス・ヒトラー親衛隊のSSと重なることから1945年に。社名はジャガー・カーズ、ブランド名はジャガーと変更されました。 ジャガーXK120
1951年 SSジャガー100の後継モデルとして投入 1948年から1954年まで生産 殆どがアメリカに輸出され、英国にとって貴重な外貨獲得に貢献
全長4385㎜、全幅1580㎜、全高1300㎜、重量1289㎏、ホイールベース2585㎜ 水冷直列6気筒DOHC3422ccエンジン搭載 最高出力119kW/160HP/5000rpm
1948年に発表されたスポーツカーXK120はエンジン形式XKと公称最高速度120MPHを意味しており、美しいボディスタイルと高性能、さらに低価格でセンセーションを巻き起こし、ジャガーの名を国際的に有名にした名車となりました。1950年代にはレーシングカーの開発に乗り出し、ルマン24時間耐久レースではイタリアのフェラーリ、マセラティ、ドイツのメルセデス・ベンツ、ポルシェを圧倒し、3連覇を果たし、名声を確固たるものにしました。
その後、1966年7月に、イギリス最大の民族資本系自動車会社グループである「ブリティッシュ・モーター・コーポレーション」(BMC)との合併を行い「ブリティッシュ・モーター・ホールディングス」(BMH)を結成しました。しかし、労働争議の頻発などから品質低下に陥り、販売台数の低下、さらにオイルショックの影響で1975年8月には国営化されました。1984年、サッチャー政権時の民営化政策で民営化、体質改善がなされ、再び活気を取り戻すこともありましたが、1989年にはフォード傘下に、そのフォードグループも2000年以降、経営不振に陥り、2014年にはインドのタタ・モータースに売却されてしまいました。
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