2024年春の名古屋周辺旅行 樽見鉄道の旅と旧谷汲駅の見学 その14 名鉄旧谷汲駅に保存されているモ514
旧名鉄谷汲駅に保存されているもう一両は1926年、美濃電気軌道が新製したセミボ510形514号です。
昨日のモ755と同様に1923年製の木造車BD505形(後にモ520形)を基に美濃電軌初の半鋼製車体を採用した形式で、日本車輛製造がセミボ511-515の5両の製造を担当しました。岐阜駅北口ペデストリアンデッキ下のモ513号と同様に登場時は笠松線(現名鉄名古屋本線名鉄岐阜~笠松間)で運行されました。1930年、美濃電軌が旧・名古屋鉄道と合併し、名岐鉄道になると笠松線も名岐線となり、大型の高床車が走るようになり、モ510形5両は専用軌道区間を持つ美濃町線に転属し、1967年まで緑と白の軌道線車両標準塗装で活躍しました。
1967年、揖斐線・岐阜市内線直通運行が始まるとモ510形、モ520形はこの運転の専用車両となり、赤と白の急行塗装、転換クロスシートの設置、併結運転対応工事、集電装置のポールからパンタへの交換が行われました。その後、放送設備の新設、ドアエンジンの設置、ワイパーの自動化、前照灯のシールドビーム化などの近代化工事が施工され、塗装もスカーレット一色になりました。1987年には61年の長きに渡る活躍で鉄道友の会より「エバーグリーン賞」が授与され、この際に塗装は再び赤白の急行色となりました。
1987年から1988年には新製車モ770形が揖斐線・岐阜市内線に投入され、モ511.515が廃車となり、1998年のモ780形の投入で残る3両も定期運用は退きましたが、予備車、貸切列車、臨時列車用として残されました。昨日も記述しましたが谷汲線の電圧降下で新造の交流モーター車の運行ができない事態の中直流モーターのモ510形は毎月18日の華厳寺月命日の増発や、年始の初詣需要に伴う臨時運行など、同線区の専用車であるモ750形だけでは賄えない輸送量を捌くために運用されました。2000年にモ512が廃車となり、2001年10月には谷汲線も廃線となりましたが、2005年の岐阜地区600V線全廃までモ513.514は活躍を続けました。

2024/3/17 旧谷汲駅
1926年のモ510形5両のうち、512は旧・美濃駅、513は岐阜駅、514は旧・谷汲駅に保存されています。ほぼ100年前に製造された3両が今日も往時の急行塗装で美しい状態で残されているのは現役時代から沿線に親しまれていたことと、その優雅なスタイルによるものだと思います。
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