DC-10の後継機として開発されるも双発機台頭の波に抗しきれず10年、200機しか製造されなかったMD-11
マクドネル・ダグラス社がDC-10の後継、改良型として1986年より開発を始めたのがMD-11でした。開発目標は747‐400ではキャパシティ過剰となる路線向きの機体でDC-10からの胴体ストレッチ、主翼端にウイングレットの装着、グラスコックピットの採用による2人乗務可能化が大きな変更点でした。1990年1月10日に初飛行、1991年から運用が開始され、旅客型、貨物専用型、貨客混載コンビ型が製造されましたが、社内組織改編の影響やエンジンの出力不足などで開発自身に2年程度の遅れが生じ、さらにETOPSの運用制限の緩和などで双発機に対して経済性の面で見劣りするようになり、受注は伸びず、1997年8月4日、マクドネル・ダグラス社がボーイング社に吸収合併される事態となり、1997年10月にボーイング社により、新規受注の停止がアナウンスされ、生産開始から僅か10年で製造終了となりました。最終的な製造数は全仕様を合計して200機でした。
機体構造はDC-10の製造設備がそのまま転用されたため、DC-10から大きく変更された点はなく、胴体が18.6フィート延長されたに留まりました。これは標準座席数では40席の増加でした。胴体後端のテイルコーンの形状はDC-10では丸みを帯びていましたがMD-11では平板状となりました。主翼端にはウイングレットが装着され、これにより巡航時の空気抵抗が3%減少しました。さらに水平尾翼の面積をDC-10に較べ30%減少させることで空気抵抗を減少させました。このことで縦方向の安定性が悪くなるため「エルサス:LSAS Longitudinal Stability Augmentation System」と呼ばれる「縦安定増加装置」が追加されましたが、何かの異常でLSASと自動操縦装置が外れると、操縦士ではリカバリーが困難となり、激しい上下動を繰り返す事例が報告されました。
エンジンはPW4460もしくはGE CF6-60C2D1F、さらにロールスロイス(R&R)トレント650から選択が可能でしたR&Rモデルは発注がありませんでした。
基本型:当初計画では最大離陸重量が605500ポンドでした最終的に630500ポンドに 132機製造
MD-11ER:オプションで補助燃料タンクを2個増設しタイプ CF6搭載仕様2機、PW4000搭載仕様2機
MD-11C:機体前方を客室、後方を貨物室にしたタイプ 5機
MD-11F:胴体前方側面に幅3.56メートル・高さ2.59メートルの貨物扉を設置、床面を強化、床上貨物室の容積は440立方メートルで、カーゴパレット26枚の搭載が可能で、床下貨物室の容積は158立方メートル 53機
MD-11CF:旅客用、貨物用に転換可能、床上キャビン(旅客仕様なら客室、貨物仕様なら貨物室)の容積は410立方メートル 6機
現在も運航しているのはフェデラル・エクスプレス(28機)とウエスタン・グローバル・エアラインズ(17機)の2社だけですべて貨物機です。
JALはDC-10-40の後継機として1994年から1997年にかけ10機を導入、「J-Bird」のニックネームが与えられ、各機に絶滅が危惧される貴重な野鳥の名前が付けられ、イラストも描かれましたが、777などの双発機の台頭で2004年10月にDC-10より先に全機退役となりました。僅か10年の活躍期間でした。これら10機については次週から一機ごとに紹介してゆきます。
JAL以外の各国航空会社が運航したMD-11についても世界各地で撮影した機体について紹介してゆくつもりです。
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