今回はキハ281系、キハ283系による「スーパー北斗」の話題です。
2002/8/25 高架の札幌駅に進入する281系 特急「スーパー北斗」
1994年3月1日:振子型気動車キハ281系による「スーパー北斗」5往復が運行開始。同時に「北斗」は2往復減となり6往復になりました。 このうち1往復は2時間59分で運転され、表定速度が在来線で日本一になりました。
<キハ281系>
1991年から着手された函館駅 - 札幌駅間の高速化事業にあわせてJR北海道が開発した特急形振子式気動車です。先行してJR四国が1989年から導入していた2000系気動車の仕様を基に設計され、試作車として1992年1月に先頭車2両、同年10月に中間車1両が製造され長期試験に供されました。1993年から富士重工業と日本車輌製造で量産に移行し、1994年3月1日のダイヤ改正から特急「スーパー北斗」として営業運転を開始しました。
日本国内の在来線気動車において、最高速度130km/hでの営業運転を初めて行った系列です。曲線通過速度は本則 + 30km/hで、函館 - 札幌間の最短所要時間は従来のキハ183系気動車による特急「北斗」の3時間29分から2時間59分へと大幅に短縮しました。最速達列車の表定速度は日本の在来線列車で最も高いです。
なお、その後のJR北海道における振り子式気動車の増備は、改良型であるキハ283系気動車に移行したため、本系列の製造は27両で終了しました。
<車体>
前頭部は高運転台構造で、波動輸送対応で増結しやすいよう貫通路付とされました。高運転台は重心位置の点で振子車両には不向きとされますが、見通しの向上と踏切事故時の運転士保護のため採用したもので、JR北海道が本系列以降に開発した特急形車両は、全てこの前頭形状を採用しています。先頭車の出入台は前頭部貫通路に接続しており、貫通扉には作業時の前方監視用にワイパー付の扉窓を設けています(試作車はワイパーを装備していません)。かつては貫通路と出入台との間は開放されており、乗客が前面展望を楽しむことも可能でした。運転台には721系電車・785系電車と同様、左手操作式のワンハンドルマスコンとモニタ装置を装備しています。
<走行機関>
コマツ製の直列6気筒ディーゼルエンジン SA6D125H-1(JR形式:N-DMF11HZA・355ps/2100rpm)を各車に2台装備し、液体変速機は直結3段式のN-DW15形を使用しています。
<台車>
台車はヨーダンパ付ボルスタレス式の N-DT281A形で、制御付自然振子機構を装備し、重心を下げるため車輪径を 810 mm に小径化しています。振子機構は、キハ281形試作車では381系電車や2000系気動車で実績のある「コロ式」を用いたが、耐寒耐雪能力向上のため、後に製作されたキハ280形試作車ではJR四国8000系電車試作車に用いられた「曲線ベアリングガイド式」を採用し、この方式で量産された。振子作用時の車体最大傾斜角は 5度で、曲線通過速度は本則 + 30km/hに向上しました。
<ブレーキ装置>
電気指令式空気ブレーキで、制動距離の短縮のために機関ブレーキ・排気ブレーキを併用しています。基礎ブレーキ装置は踏面ブレーキ方式で、制輪子はJR北海道苗穂工場製の特殊鋳鉄制輪子を使用しており、凍結した線路上でも最高速度から600m以内での停止が可能です。
前頭部側面には車両形式名と振子機能をイメージした「FURICO 281」のロゴマークとリサージュ図形が配されています。
なお、前頭部側面のロゴマークは、以下の変更を経ている。
HEAT 281 - Hokkaido Experimental Advanced Train 1992年 - 1994年。試作車落成時から営業運転開始まで。
HEAT 281 - Hokkaido Express Advanced Train 1994年 - 2002年。営業運転開始時にロゴデザインと共に変更されました。
FURICO 281 2002年 - 現在。789系電車の投入を機に、キハ283系気動車と共通のデザインとなりました。
キハ281形試作車900番台を先頭に長都を通過する特急「スーパー北斗」 2010/6/26 試作車は貫通扉の窓にワイパーが装備されていない
新札幌に停車中の281系特急「スーパー北斗」 2008/3/22 こちらはワイパーの装備された量産車
1998年4月11日:「スーパー北斗」の2往復にキハ283系を導入し、「北斗」1往復を「スーパー北斗」に置き換えました。12月8日:「北斗」1往復を「スーパー北斗」に置き換えました。
札幌駅で発車待ちをする283系特急「スーパー北斗」 2002/8/25
2000年3月30日:有珠山の火山活動に伴い、室蘭本線の一部が運転見合わせ区間となったため、「北斗」「スーパー北斗」が全列車運休。その後、函館駅 - 札幌駅間(函館本線・小樽駅経由)6往復、東室蘭駅 - 札幌駅間7往復の臨時特急が運行されました。
3月31日:有珠山で噴火が始まりました。八雲町付近を走行中だった札幌行き臨時特急を長万部駅で運転打ち切り(乗客は代行バス輸送)、虻田町町民の避難列車として使用。
6月1日:一部の特急について室蘭本線経由の運行を再開。8日より平常ダイヤに復帰。
2012年1月9日 - 10月13日:「スーパー北斗」全列車において、函館駅 - 南千歳駅間の単線トンネル内で減速運転を実施。
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