1976/3 関西へ 4 阪和線3 気動車特急「くろしお」急行「きのくに」他
阪和線と云えば、大阪・天王寺~和歌山ですが、和歌山から先、紀伊半島をぐるりと回って亀山や名古屋に至る紀勢本線へ、あるいは和歌山から紀伊半島の中心部、奈良へ至る和歌山線への連絡もあり、気動車列車が運行されていました。
まず、代表的な列車である特急「くろしお」および急行「きのくに」の歴史を
1965年3月1日に天王寺駅 - 名古屋駅間を阪和線・紀勢本線・関西本線経由で運行する列車(1往復)として運転を開始したのが始まりのようです。列車運行開始時には白浜や新宮はまだ国内新婚旅行需要が大変大きく、キハ80系でも異例の1等車(現在のグリーン車)の3両連結運転も実施され、食堂車も連結していました。この改正で特急「あすか」も東和歌山駅 - 名古屋駅間(関西本線経由)で運転開始(1往復)しています。
10月1日「きのくに」1本が白浜駅 → 新宮駅間で運転区間を延長されました。
←東和歌山 受け持ちは和歌山機関区 天ワカです。
DcDsDsDdDDDc×2 所要2
くろしお(1)、あすか(1)
東和歌山702-1054名古屋1210-2059天王寺
天王寺910-1800名古屋1840-2237東和歌山
DsDDc×1 所要1
くろしお(付属1)
天王寺910-1345新宮1624-2059天王寺
Dc×1
D×1 Ds×2 Dd×1
(確かに「くろしお」の編成は基本編成と付属編成併せると一等車が3両ですね。
面白いことに、「くろしお」の愛称は黒潮に由来することから、太平洋に面した地域を走る優等列車に付けられることが多く、1961年10月より四国の高松駅 - 窪川駅間を運行する急行列車「黒潮」(現在の「南風」「しまんと」に相当する)、1963年10月より、房総半島で両国駅 - 安房鴨川駅間を走る準急列車「くろしお」(現在の「わかしお」に相当する)、と3つの「くろしお」が共存することがあったのですね。1965年10月、四国の「黒潮」が「南風」に、房総の「くろしお」が「外房」にそれぞれ改称され、「くろしお」の3重複はこの時解消した様ですが、国鉄時代だからこそ、すんなり解消したのかも知れませんが、今みたいに会社が別だったらどうなっていたのでしょうか。
1966年3月5日 準急制度改変に伴い、「はまゆう」「しらはま」「南紀」「きのくに」「はやたま」が急行列車に格上げ。「くろしお」が串本駅に停車するようになる。
1967年10月1日のダイヤ改正に伴い、「くろしお」の天王寺駅 - 白浜駅間と、天王寺駅 - 新宮駅間で1往復ずつ増発され、3往復になりました。また「くろしお」の列車号数を下り天王寺駅行きを奇数、上り名古屋駅行きを偶数としました。関西本線経由の特急「あすか」が設定から2年半で廃止されました。
DcDsDsDdDDDc×3 所要2
くろしお(1)
天王寺910-1752名古屋
名古屋1210-1816天王寺
DcDsDDDDc×3 所要3
くろしお(2)
天王寺1000-1241白浜1400-1642天王寺
天王寺1230-1705新宮
新宮1100-1530天王寺
Dc×1 D×2 Ds×1
1968年10月1日のヨンサントオのダイヤ改正により、「くろしお」列車号数を上り名古屋駅行き方向偶数、下り天王寺駅方向奇数とする符番から上下列車ともに出発順に符番する方式に戻しました。季節列車として天王寺駅 - 白浜駅間と天王寺駅 - 新宮駅間で1往復ずつ増発されました。ただし、天王寺発白浜行の定期列車が白浜駅 - 新宮駅間を延長運転して増発。この時点で、「くろしお」は5.5往復(季節列車を含む)に。和歌山駅を発着し紀勢本線内で完結する急行列車のうち、阪和線・南海線直通の急行列車の名称として「きのくに」の名称が与えられました。これにより、「きのくに」は定期列車では天王寺発10本、天王寺行き8本、季節列車3往復、難波駅発着は定期列車3往復、季節列車1往復になりました。
DcDsDsDdDDDc×3 所要2
くろしお(1)
天王寺910-1752名古屋
名古屋935-1816天王寺
DcDsDDDDc×4 所要4
くろしお(4.5)
天王寺1000-1239白浜-1436新宮1455-1937天王寺/天王寺1255-1528白浜1658-1937天王寺
天王寺1055-1328白浜1400-1634天王寺
天王寺1225-1703新宮
新宮930-1357天王寺1430-1710白浜1800-2041天王寺
Dc×1 D×2 Ds×1
1969年10月1日「きのくに」が天王寺駅 - 白浜駅間で臨時列車1往復増発。
DcDsDsDdDDDc×3 所要2
くろしお(1)
1968.10~と同じ
DcDsDDDDc×4 所要4
くろしお(4.5)
天王寺1000-1239白浜-1436新宮1455-1937天王寺/天王寺1255-1527白浜1702-1937天王寺
天王寺1055-1328白浜1400-1635天王寺
天王寺1225-1703新宮
新宮930-1357天王寺1430-1713白浜1800-2040天王寺
Dc×1 D×2 Ds×1
1970年10月1日のダイヤ改正により、「くろしお」の白浜発天王寺行が季節列車として1本増発。天王寺駅 - 白浜駅間の「くろしお」1往復が季節列車化。
DcDsDsDdDDDc×3 所要2
くろしお(1)
1968.10~と同じ
DDDc×2 所要2
くろしお(付属1)
1970.3~と同じ
DcDsDdDDDDc×5 所要5
くろしお(5)
天王寺1000-1239白浜-1436新宮1455-1937天王寺
天王寺1055-1328白浜1400-1635天王寺
天王寺1255-1725新宮/紀伊勝浦1423-1859天王寺
天王寺1225-1703新宮
新宮930-1357天王寺1430-1713白浜1802-2040天王寺
Dc×1 Ds×1 Dd×1
1972年3月15日のダイヤ改正により、「くろしお」は白浜駅発着列車が新宮駅発着に変更し、新宮駅発着4往復(1往復は季節列車)、名古屋駅発着1往復の6往復になりました。
DcDsDsDdDDDc×3 所要2
くろしお(1)
天王寺910-1752名古屋
名古屋935-1815天王寺
DDDc×2 所要2
くろしお(付属1)
天王寺910-1752名古屋
名古屋935-1815天王寺
DcDsDdDDDDc×5 所要5
くろしお(4)
天王寺1000-1422新宮1500-1937天王寺
天王寺1225-1705新宮/新宮1100-1545天王寺
天王寺1600-2021新宮
新宮800-1230天王寺1300-1732新宮
新宮1200-1638天王寺
Ds×1 Dd×1
10月2日「きのくに」の1往復を「くろしお」に格上げ、天王寺駅 - 白浜間1往復増発。「くろしお」は6往復(1往復は季節列車)になりました。 増発用車両は日本海縦貫線の電化完成に伴い「いなほ」「ひたち」運用から捻出されたキハ80系でボンネット型先頭車のキハ81形も含まれていました。同車は名古屋駅発着の1往復に限定運用されキハ81形最後の使用列車となりました。
DcDsDsDdDDDc×3 所要2
くろしお(1)
天王寺910-1752名古屋
名古屋935-1810天王寺
DDDc×2 所要2
くろしお(付属1)
天王寺910-1752名古屋
名古屋935-1810天王寺
DcDsDsDdDDDc×5 所要5
くろしお(5)
天王寺1000-1426新宮1500-1937天王寺
天王寺1225-1707新宮/新宮1100-1542天王寺
天王寺840-1113白浜1245-1517天王寺1600-2018新宮
新宮800-1228天王寺1300-1733新宮
新宮1200-1638天王寺
DDDc×3 所要3
くろしお(付属3)
天王寺1000-1229白浜1407-1638天王寺
天王寺1225-1455白浜1658-1937天王寺
天王寺1300-1531白浜-1733新宮/新宮1100-1542天王寺
Dc×1 D×1 Dd×1
1973年10月1日のダイヤ改正により、伊勢線開業に伴い、天王寺駅 - 名古屋駅間の「くろしお」「紀州」は亀山駅経由から伊勢線鈴鹿駅経由に変更され、約20分の時間短縮。
DcDsDsDdDDDc×3 所要2(臨時+1)
くろしお(1)(臨時+1)
天王寺910-1742名古屋
名古屋950-1812天王寺
天王寺922-1336紀伊勝浦1418-1836天王寺
DDDc×2 所要2
くろしお(付属1)
天王寺910-1742名古屋
名古屋950-1812天王寺
DcDsDsDdDDDc×5 所要5
くろしお(5)(臨時+0.5)
天王寺1000-1428新宮1520-1957天王寺
天王寺1225-1707新宮/新宮1100-1545天王寺
天王寺840-1114白浜1245-1517天王寺1600-2023新宮
新宮800-1228天王寺1300-1733新宮
新宮1200-1636天王寺1658-1931白浜
DDDc×3 所要3
くろしお(付属3)
天王寺1000-1230白浜1406-1636天王寺
天王寺1225-1457白浜1727-1957天王寺
天王寺1300-1533白浜-1733新宮/新宮1100-1545天王寺
Dc×1 D×1 Dd×1
1976年3月1日「くろしお」の全列車に普通車自由席が設定されました。
DcDsDsDdDDDc×3 所要2(臨時+1)
くろしお(1)(臨時+1)
天王寺910-1742名古屋
名古屋950-1814天王寺
天王寺919-1336紀伊勝浦1418-1838天王寺
DDDc×2 所要2
くろしお(付属1)
天王寺910-1742名古屋
名古屋950-1814天王寺
DcDsDsDdDDDc×5 所要5
くろしお(5)
天王寺1000-1428新宮1520-1958天王寺
天王寺1225-1707新宮/新宮1100-1547天王寺
天王寺840-1117白浜1245-1516天王寺1600-2024新宮
新宮800-1229天王寺1300-1733新宮
新宮1200-1637天王寺
DDDc×3 所要3
くろしお(付属3)
天王寺1000-1231白浜1406-1637天王寺
天王寺1600-1833白浜
白浜956-1229天王寺1300-1533白浜1727-1958天王寺
Dc×1 D×1
1978年10月2日紀勢本線和歌山駅 - 新宮駅間の電化完成に伴い、「くろしお」は新宮駅を境に以下のように系統分割されました。天王寺駅 - 白浜駅・新宮駅間の381系電車によるエル特急「くろしお」。 天王寺駅 - 白浜駅間2往復(1往復は季節列車)、天王寺駅 - 新宮駅間7往復(1往復は季節列車)。一部は改正前の9月下旬よりダイヤで先行して投入されました。御坊駅にすべての「くろしお」が停車するようになりました。 これによりキハ81形気動車の定期運用は終了しました。2両連結されていたグリーン車は1両に削減され、食堂車が全廃。名古屋駅 - 紀伊勝浦駅間運行の気動車特急「南紀」(3往復)となりました。「きのくに」は天王寺駅 - 新宮駅間で下り6本・上り5本、天王寺駅 - 椿駅間で1往復、天王寺駅 - 白浜駅間で下り5本・上り6本、天王寺駅 - 紀伊田辺駅間で1往復、紀伊田辺駅 → 新宮駅間で上り1本になる。ただし、南海線乗り入れ車両が気動車のみであったことや、参宮線鳥羽駅直通列車が存在したことで気動車での運行となる。また、紀伊田辺発新宮駅行の「きのくに」2号が設定される。日本全国で在来線列車の号数を下り奇数・上り偶数とした。これにより、紀勢本線の終点となる和歌山市駅(→天王寺駅・難波駅)方向は奇数、起点となる亀山駅(→名古屋駅)方向となる列車には偶数の符番がなされた。
と例によってWikipediaのくろしおの記事中の「大阪対南紀直通優等列車沿革」から抜粋しました。面白いのは1967年の改正で「くろしお」の列車号数を下り天王寺駅行きを奇数、上り名古屋駅行きを偶数としていること(よんさんとうでは元に戻されていますが)、紀勢本線の上り下りの向きが1978年の改正では亀山起点、和歌山市終点とされていたのが、1989年の分割民営化以降では、天王寺発が下り、になっていることですね。JR西日本のスタンスの反映に様に思えます。さらにキハ80系の編成、運用は「キハ80系の動き 配置および編成・運用の移り変わり 和歌山」の情報を参考に致しました。
さて、今回の1976年3月の旅のひとつの大きなターゲットが「くろしお」で活躍中のキハ81を撮影することでしたので、その写真をアップします。
キハ81 和歌山にて
キハ81形の姿を撮影するのは1975/1/2の名古屋以来、一年ぶりでしたが、この編成においては4両目にキハ82が入っており、反対側のエンドはキハ82形でした。
一方、こちらは天王寺発名古屋行き.特急「くろしお2号」で両エンドともにキハ81形でした。
キハ81形 鳳にて
キハ81形 熊取にて
こちらはキハ81を含む3両が名古屋側に付いた編成で、天王寺側はキハ82でした。
といったようにくろしお5号、2号は両エンドキハ81、さらに片エンドキハ81が2両と6両がフル稼働状態でした。
続いて、キハ58形の「きのくに」です。
どちらも時間等を確認できないので恐らく「きのくに」であろうという写真ですが、
キハ58形 和歌山 1980/12/13
キハ58形 鳳 1980/12/13
本日のテーマとはちょっと離れますが、同じ時に和歌山で撮った写真に和歌山線の気動車の写真もありましたので載せます。
和歌山線 キハ35形
和歌山線関係でもう一枚、当時和歌山線を経由して京都・名古屋~白浜・新宮を結んでいた急行「しらはま」です。 橋本 1976/3
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