2020年6月10日 (水)

2019年8月の岡山・広島・鳥取・兵庫旅行 13 棚原ふれあい鉱山公園訪問 その2 同和鉱業片上鉄道について

昨日の記事にあるように吉井川の水運、高瀬舟による鉱石の運搬を代替するために棚原から片上まで敷設されたのが片上鉄道でした。

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2019/8/4 棚原ふれあい鉱山公園に展示されている高瀬舟 鉱石を載せて川を下り、復路は塩、魚、ミカンなどを載せて帰って行きました。最盛期は会社所有の船と個人所有の舟で100艘以上が活躍していました。ただ、初夏から秋にかけての農繁期には吉井川の水が農業用水として利用されるため水位がさがり、和気の上流6km付近の天瀬付近から下流は航行不能となるトラブルや棚原から児島湾の九蟠港までの往復に平均5日を要する問題がありました。

会社は、間762mmの軽便鉄道として1919年3月24日に鉄道大臣に出願されました。同年11月27日に片上鉄道が成立しました。やがて1922年4月17日に免許は軌間1067mmに変更され、線路の敷設が開始されます。
1931年2月1日、井ノ口~棚原間が開業し、全通しました。

路線データ
営業キロ 33.8km 建設キロ 33.997km
設計図より実測が長い場所(ダブルチェイン)が3か所、逆に短い場所(ブレイクチェイン)が1か所存在します。
駅数 17駅
全線非電化、全線単線
閉塞方式 単線自動閉塞式 ARC
踏切 108か所
橋梁 98か所
最小勾配 0.9‰ 最大勾配 28.6‰
最小曲線 半径240m 最大曲線 300m
隧道 3か所 

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駅名     営業キロ
片上      0.0      赤穂線(西片上駅と徒歩5分)
清水      4.1
中山      5.7
和気      8.6      山陽本線
本和気     10.1
益原      11.6
天瀬      14.5
河本      16.3
備前矢田    18.3
(貨)井ノ口  19.4     1931年2月1日廃止
苦木      22.2
杖谷      24.2
備前塩田    25.5
肥前福田    27.2
周匝      28.5
美作飯岡    29.6
吉ヶ原     32.5
柵原      33.8

経営は1950年6月20日藤田興業が片上鉄道を合併し、1957年8月1日には同和鉱業が藤田興業を合併しました。棚原鉱山からの鉱石輸送のみならず、沿線住民の足として旅客輸送も行われました。尾小屋鉄道、三岐鉄道とともに陸運統制令の枠外とし他社への事業統合を免れ、青梅鉄道や群馬鉄山専用線(後の吾妻線)とは異なり、国鉄買収の対象にもなりませんでした。鉱石輸送が主体であったため、交換駅での線路有効長は長く、PC枕木等を使用し、線路規格も高規格でした。車両、施設もよく整備されており、国鉄キハ41000形、42000形が現在も動態保存されています。

硫黄の新しい精製技術の確立やオイルショックなどで棚原鉱山の生産量の激減、貨物の取扱量の減少、旅客輸送も乗用車の普及で減少し、1987年には鉱石輸送はトラック輸送に切り替えられ、地元住民は存続希望を出しましたが、経営困難により、1991年6月30日をもって廃止となりました。

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廃線跡を利用して「片鉄ロマン街道」(県道703号備前柵原自転車道線)が設置され、

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吉ヶ原駅周辺には柵原ふれあい鉱山公園が設置されました。

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さらに吉ヶ原駅から旧柵原駅に向かって約100m展示運転線が延長され、2014年11月2日には黄福柵原駅が開業しました。
次回の記事から、柵原ふれあい鉱山公園に保管されている車両について紹介して行きます。

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2020年6月 9日 (火)

2019年8月の岡山・広島・鳥取・兵庫旅行 13 棚原ふれあい鉱山公園訪問 その1 公園までの道程

今回の岡山・広島・鳥取・兵庫を回る旅行は毎月第一日曜日に岡山県久米郡美咲町にある棚原ふれあい鉱山公園にてかつて同和鉱業片上鉄道に在籍した車両の展示、運転会が行われているため、8月4日の日曜日に当地を訪問することを前提にスケジュールが組まれたものでした。

Img002_20200608141801 美咲町PRのために町役場が作成したパンフレット

Dsc_0052edit 美咲町のパンフレットから

まずは岡山県久米郡美咲町はどこら辺にあるのかというと、岡山から津山線で岡山方面に向かい、小原駅付近で東西に広がるのが美咲町です。2005年3月22日に中央町、棚原町、旭町が合併して現在の美咲町になりましたが、棚原ふれあい鉱山公園は旧棚原町にあり、美咲町内では南東の端に位置します。津山の町中を西から東へ流れる吉井川が南東に流れを変えて、やがて岡山市の東で瀬戸内海に注ぎますが、その途中に棚原があり、かつての片上鉄道の吉ヶ原駅が公園の中心になっています。

190803_20200608143101
アクセスは津山駅前のバス停3番乗り場から高下行きのバスに乗車し、吉ヶ原(きちがはら)で下車します。

190803_20200608143102 高下行きの朝一番は11:50発です。ですから午前中は時間が有り余っていたので、朝一番の津山線で岡山に向かい、岡山駅で列車撮影を行い、津山に戻りました。因みにバスの運賃は740円でした。

Img003_20200608143601

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2019/8/4 吉ヶ原駅前

後で知ったのですが、5月から11月の第一日曜日(棚原ふれあい鉱山公園で公開がなされる日)は津山まなびの鉄道館と棚原ふれあい鉱山公園を結ぶバスが運行されており、無料で乗車できるようです。帰りはこのバスを利用しました。

Dsc02817 津山からの往路、バスは吉井川の流れにそって棚原に向かいます。

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吉ヶ原駅の駅舎

棚原鉱山は岩手県の松尾鉱山とともに我が国を代表する硫化鉄鉱の鉱山で古生代ペルム紀中期に形成された火山性硫化物鉱床と考えられており、総埋蔵量は3700万トンと見積もられていました。慶長年間に津山城を築城する際に石材を集めている過程で褐鉄鉱の露頭が見つかったのがきっかけで、明治になって本格的な採掘が開始されました。当初は掘り出された鉱石を吉井川の川舟(高瀬舟)で片上港まで輸送していましたが、次第に船では間に合わなくなり1923年1月に片上~和気間、8月に和気~備前矢田~井ノ口(貨物)間、さらに1931年2月、井ノ口~棚原間に鉄道が開業しました。これが片上鉄道です。

鉱石の質が良く、埋蔵量も豊富、鉱床が掘りやすく、夾雑物も少ないため他の鉱山に比べ競争力が高く、大正時代には日本を代表する硫化鉄鉱鉱山となりました。さらにセルロイド、硫安、化学繊維のレーヨンの需要が拡大し、硫黄の供給源として隆盛を誇りました。ところが1960年代以降石油精製の過程で硫黄が回収されることから硫黄の市場価格が暴落、さらに減反政策で化学肥料の需要が減り、オイルショックが追い打ちをかけ、1991年3月に鉱山は閉山となりました。片上鉄道も鉱山の閉山の3か月後の1991年6月30日をもって廃止となりました。

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2019年9月 6日 (金)

岳南電車に譲渡された富士急行 1200形 1206編成

昨日の記事で予告しましたように岳南電車では7000形7002の運用離脱を補完するため、2018年に富士急の1200形(元、京王5000系)1206F(デハ1206-クハ1306)を譲受し、同年11月17日から営業運転に投入致しました。新たに9000形とし、車体番号はモハ9001-クハ9101としました。

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2013/5/18 大月

私も2017年以降、岳南電車の撮影はしていないので、9000形は未撮影ですが、2013年2016年11月に「富士急電車まつり」に参加した際、1206Fを撮影していました。

1000-1206f-161112
2016/11/12 下吉田

富士急行1000・1200形は老朽化した3100形、5700形の置き換えのために京王5000系を譲受し、電動車の2両ユニット化、寒冷地用装備、室内の更新を京王重機整備で行い、1993年から営業運転に投入した形式で、種車は基本的に先頭電動車の5100系カルダン駆動車から選定されました。最後の1208Fのみ、5000系制御車を電装化しました。1000形がロングシート、1200形は転換式セミクロスシートと内装で形式が区別されています。いずれも2両編成で1000形が2本、1200形が7本の18両が在籍していました。
その後、205系改造の6000系の置き換えなどで1208F、1203F、1002F、1207Fが廃車となり、1206Fも岳南鉄道へ譲渡となりました。

モハ1206+クハ1306 < デハ5124 クハ5874 1995年7月20日入線

今後、岳南鉄道を訪れる機会があれば、同鉄道9000形を撮影したく思います。

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2019年9月 5日 (木)

岳南電車の車両達 電車編 2 8000形

岳南電車の旅客車両、今回は8000形です。

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2017/3/10 岳南富士岡

1996年から7000形が導入された際に、それまで活躍していた5000系は一部、予備車として残存していました。その5000系を完全に置き換えるために2002年に導入されたのが8000形です。7000形とは違い2両編成からなっており、1編成が在籍しています。

モハ8001+クハ8101 < 2002/11竣功 デハ3110、デハ3060

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2017/3/10 岳南江尾

改造は7000形同様に京王重機整備が担当しました。運転台関係の機器は京王6000系(抵抗制御の1次車、6001F~6006F)の廃車発生品を利用しており、岳南鉄道、岳南電車では唯一のワンハンドル・マスコン車となっていました。運転席後方の窓は連結面の小型窓が流用されており、種車の製造時期の違いから空調機器が車両間で統一されていません。岳南電車では初めて車椅子スペースが設置され、バリアフリー対応となっています。側面の行き先表示器は撤去されています。2002年11月16日から営業運転に入りました。

7000形と識別のため緑色塗装となり、公募により、「がくちゃんかぐや富士」の愛称が与えられています。

尚、昨日の記事にあるように7000形70022018年7月11日をもって運用離脱した関係で岳南電車では富士急行1200形1206編成9000形として2018年11月に導入し、11月17日から営業運転を開始しました。明日の記事では富士急行の1200形について触れます。

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2019年9月 4日 (水)

岳南電車の車両達 電車編 1 7000形

今回からは岳南電車の旅客車両、まずは7000形です。


7001-170310-3
2017/3/10 岳南江尾 井の頭線時代を彷彿させるブルーグリーンになった7001


岳南鉄道では1981年に東急から5000系8両を譲受し、モハ5000形+クハ5100形の2両編成4本として使用して来ましたが、老朽化が進み、1996年から1997年にかけて京王3000系デハ3100形を譲り受け、両運転台化したのが7000形です。京王3000系のうち、デハ3100形は1971年から開始された3000系5連化プロジェクトで製造された1M方式の中間電動車で、広幅オールステンレス鋼製18.5m車体で扉は両開き3扉車です。3両が改造されました。改造は京王重機整備で施工されました。


車番の対応は
モハ7001 < デハ3103 1996/12/5 竣功
モハ7002 < デハ3101 1997/9/22 竣功
モハ7003 < デハ3102  同上


7002-170310
2017/3/10 吉原 2018年7月に運用を離脱してしまった7002 


譲渡に際して両端の窓を撤去し、原形とほぼ同様の橙色FRP製のカバーを取り付けた鉄製の運転席を新設、運転台設備や尾灯は京王初代5000系のものを流用し、補助電源装置としてSIVを設置しました。7002,7003の2両はジャンパ線により、総括制御運転が可能となっています。3両とも側面の行き先表示器は撤去されています。


7003-170310
2017/3/10 岳南富士岡 7003はこの日は車庫に

因みにデハ3101、デハ3102は井の頭線時代狭幅・片開き扉の第1・2編成に挿入された広幅・両開き扉の中間車として異彩を放っていた車両でした。

2016年3月20日、7001の塗装がブルーグリーンに変更となり、正面下部の行き先表示器はステッカーで再現されました。そして2018年7月14日をもって7002が運用を離脱しました。





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2019年9月 3日 (火)

岳南電車の車両達 電気機関車編 3 ED40形 ED402 ED403

岳南富士岡駅に留置されている電気機関車、最後はED40形ED402とED403 です。
これら2両の機関車は1965年に松本電気鉄道(現、アルピコ交通)が日本車輛製造に発注した機関車で、私もその存在は中学生のころ入手した朝日新聞社刊「世界の鉄道'69」で知っており、Hゴムを使用したスタイルから国鉄電気機関車の縮小版のようなイメージを持っていました。


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2017/3/10 岳南富士岡

1950年代以降、増大を続ける首都圏の電力需要に対して安定的供給を行うため、梓川水系上流に奈川渡ダム、水殿ダム、稲核ダムを建設し、それぞれの安曇、水殿、新竜島発電所で3つの貯水池の水をやり取りする揚水式発電を行い、ピーク時に電力を安定的に確保する計画が立てられました。これらのダムはアーチ式コンクリートダムであり、その建設にために膨大な資材輸送が必要となりました。松本電鉄上高地線は梓川に沿って敷設されており、この線を利用するのがベストでしたが、1964年当時、同線には1926年製の30t級のED30形ED301が1両のみで、十分な輸送力の確保には程遠い状態でした。そこで松本電鉄は貨物輸送力増強のため、軌道を強化し、自重40t級軸配置Dタイプの機関車の新造を決定しました。


主要諸元


軸配置 Bo - Bo
軌間 1,067 mm (狭軌)
電気方式 直流750 / 1,500 V(架空電車線方式)
全長 11,750 mm
全幅 2,750 mm
全高 4,200 mm
運転整備重量 40.0 t
台車 NL-12
動力伝達方式 1段歯車減速吊り掛け式
主電動機 直流直巻電動機 NE-128 × 4基
主電動機出力 128 kW (電圧750 V・1時間定格)
歯車比 4.56 (73:16)
制御方式 抵抗制御、直並列2段組合せ制御
重連総括制御
制御装置 電空単位スイッチ式間接非自動制御
制動装置 EL14AS自動空気ブレーキ
定格速度 31.0 km/h
定格出力 512 kW
定格引張力 5,900 kgf

形式名は40tということからED40形とし、ED301の続番ということでED401は欠番とし、ED402が1965年10月に、ED403が1966年5月に竣工し、就役しました。


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大手電機メーカである日本車輛製造が太平洋戦争後製造した唯一の地方私鉄向け電気機関車となりました。松本電気鉄道とは1964年まで旅客車両の製造で取引があり、本形式の製造にあたり、松本電気鉄道からの依頼に応じて電機品から台車まで一括で設計製造が行われました。

車体はED60形などの国鉄直流新型電機の影響を強く受けており、全溶接構造鋼製箱型車体ですが、側面に乗務員室扉はなく、車体両端のデッキと妻面の扉から出入りする旧型電機の方式を踏襲しています。上高地線はDC750Vですが、一般的なDC1500Vに対応可能な様に複電圧仕様となっています。
ダム建設の資材輸送は1967年にピークを迎え、年間25万トンの貨物輸送実績を残しました。1968年以降は激減し、ダム建設が完了した1969年には本来の用途を失い、一方で架線電圧昇圧工事を終了した岳南鉄道は強力な機関車を求めており、1971年に譲渡契約が成立、19721月26日付で竣功、原形式、原番号での導入となりました。


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複電圧回路を備えていたことが幸いし、岳南鉄道入線に際して改造はほとんど行われませんでした。岳南では単機での貨物牽引のため重連運転用の各種機器は不要となり、総括制御用連結器は残されましたが、つり合い管、および元空気ダメ管とコックは撤去されました。前面窓のデフロスター、スノープラウも撤去されました。塗装はオリジナルはぶどう色1号一色塗装でしたが、403号機は日本大昭和製紙のコーポレートカラーのクリームと赤に改められ活躍しました。
貨物営業が2012年3月16日をもって終了したため、用途を失い休車となり、ED403はそれ以前からMGが故障していたため廃車となり、ED402のみが籍を残す状態となっています。




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2019年9月 2日 (月)

岳南電車の車両達 電気機関車編 2 ED29形(ED291)

昨日に引き続き、岳南富士岡駅に留置されている電気機関車、今回はED29形ED291です。

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この機関車は現在、飯田線の一部となっている豊川鉄道(吉田(現、豊橋)から長篠(現、大海)と豊川から西豊川までの支線)が1927年に日本車輌製造(機械)・東洋電機製造(電気)に発注し、デキ52として竣功したものです。同系機に豊橋鉄道のデキ451(元・田口鉄道デキ53形デキ53)、近畿日本鉄道デ21(元・伊勢電気鉄道521形521)などがあります。

主要諸元
軸配置 Bo - Bo
軌間 1,067 mm (狭軌)
電気方式 直流1,500V(架空電車線方式)
全長 11,240 mm
全幅 2,540 mm
全高 4,153 mm
運転整備重量 40.70 t
台車 板台枠式2軸ボギー台車
動力伝達方式 1段歯車減速吊り掛け式
主電動機 直流直巻電動機 MT15B × 4基
主電動機出力 100 kW (電圧650V・1時間定格)
歯車比 3.89 (18:70)
制御方式 抵抗制御、直並列2段組合せ制御
制御装置 電空単位スイッチ式手動加速制御
制動装置 AEjR[1]自動空気ブレーキ・手ブレーキ
定格速度 31.2km/h
定格出力 400 kW
定格引張力 4,600 kgf

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1943年豊川鉄道が戦時買収されると国鉄に継承され、標準化改造が行われ、主電動機はTDK-522-AからMT15BにパンタグラフもPS13に交換されました。妻面に砂箱が設置されていましたが、一旦撤去され、台車に新設されました。買収後も私鉄時代の番号のまま使用されていましたが、1952年の形式称号改正でED29形ED291となりました。1959年3月に廃車され、岳南鉄道に譲渡されました。

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3枚とも2017/3/10 岳南富士岡

岳南鉄道では当時架線電圧が600Vだったので降圧工事を実施し、貨物列車の牽引、比奈駅での入れ換え用に使用されました。電動カム軸式だった制御装置は1965年に電磁空気単位スイッチ式に改造され、1969年の架線電圧昇圧で再び、昇圧工事・配線引き直しが実施されました。

前照灯位置の変更、車体、連結器周りの塗装変更を経て使用されるも、貨物輸送の衰退で休車となり、非常用予備機として車籍は維持されるも、手入れが行き届かなかったため、両エンドのホイッスルが撤去、車輪・台車周りのクラックも見つかり予備機としての使用も厳しい状況となって行きました。2013年に岳南電車に移管され、2015年3月31日付けで廃車されました。

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2019年9月 1日 (日)

岳南電車の車両達 電気機関車編 1 ED50形(ED501)

昨日の記事に続いて岳南電車の車両編、貨物輸送全盛時代に活躍した機関車たちが岳南富士岡駅構内の留置線に停まっています。2011年度の貨物事業の廃止でこれらの機関車はもはやこの線路を走ることは無いのかも知れません。

501-170310

最初はED50形、ED501です。この機関車は1928年、長野県の上田温泉電軌(後の上田交通、現、上田電鉄)が北東線(後の真田傍陽線)の貨物運輸営業開始に際して、川崎造船所に発注し、新製されたもので、当初はデロ300形と名乗りました。

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主要諸元
軸配置 Bo - Bo
軌間 1,067 mm (狭軌)
電気方式 直流1,500V(架空電車線方式)
全長 10,088 mm
全幅 2,702 mm
全高 3,990 mm
機関車重量 40.0t
台車 棒台枠釣り合い梁式
動力伝達方式 1段歯車減速吊り掛け式
主電動機 直流直巻電動機 K7-1503-C × 4基
主電動機出力 111.9 kW (電圧675V・1時間定格)
歯車比 4.29 (73:17)
制御方式 抵抗制御、直並列2段組合せ制御
制御装置 電空単位スイッチ式間接非自動制御
制動装置 EL-14A自動空気ブレーキ・手用制動
定格速度 24.0 km/h
定格出力 447.6 kW
定格引張力 6,640 kgf

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車体前後に前方に張りだした機械室を有するのが形態的特徴です。一般的な中央キャブ方式の凸型に較べるとボンネットは小さく、主要機器の大半は車体側に搭載されています。この形態は川崎造船所における40t電機の標準的形態で、同様の設計を持つ機関車として小田原急行電鉄(現、小田急電鉄)の1形電気機関車、武蔵野鉄道(現、西武鉄道)のデキカ20形電気機関車の2形式が存在します。

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写真4枚とも2017/3/10 岳南富士岡

北東線は1927年11月20日に上田~伊勢山間で営業を開始しましたが、当初は旅客営業のみでした。1928年1月10日に伊勢山~本原間が開業した際に貨物営業も開始され、デロ300形は2ヶ月遅れの1928年2月28日に竣功し、貨物列車に充当されました。勾配線区である北東線運用のため、発電ブレーキも装備されていました。しかし、デロ300形は北東線の貨物需要に対して自重、出力ともに過大であり、一時期小田急などへ貸し出され、1940年3月20日付けで廃車となりました。

廃車後は名古屋鉄道が購入、デキ500形501と改称し、名古屋本線名古屋以東、常滑線、三河線、蒲郡線などにおいて貨物列車牽引の役割を勤めました。名鉄では最強の機関車でしたが、同社では1基の制動弁を切替コックで単弁同等もしくは貫通制動相当に切り替える機関車が標準的で、単弁と貫通制動弁の2つの弁を持つデキ500形は乗務員には不評でした。北東線時代に装備されていた発電ブレーキも名鉄時代に撤去されました。

岳南鉄道が架線電圧を600Vから1500Vに昇圧した際、昇圧改造が不可能な従来車の代替を目的に1969年9月にデキ500形が借り入れられ、1970年3月16日付けで正式に譲渡となり、岳南鉄道入籍にあたり、形式はED50形ED501と改称されました。譲渡後は最も牽引力の強い機関車ということで入れ換え作業に充当され、通常は比奈駅に常駐、日本大昭和板紙吉永工場を発着する貨物列車の入れ換え作業に従事しました。

2013年岳南鉄道から岳南電車に引き継がれ、2015年3月31日付けで廃車となりました。

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2019年8月31日 (土)

岳南鉄道から岳南電車へ その歴史

2017年3月の静岡県方面の旅、今回からは東海道本線吉原駅から岳南江尾駅を結ぶ岳南電車岳南線の話題です。

170310-6 2017/3/10 JR吉原駅南にある津波避難タワーの上から見た吉原駅と富士山

東海道五十三次の14番目の宿場である吉原宿は元々、現在のJR吉原駅そばにありましたが、1639年(寛永16年)の高潮により壊滅的な被害を受け、再発を防ぐために内陸部の富士市依田原付近に移転しました。ところが1680年(延宝8年)8月6日にも再び壊滅的な被害を受けたため、更に内陸の現在の吉原本町に移転しました。このために東海道は原宿~吉原宿間で海沿いから大きく内陸に湾曲することになり、京に向けて進む場合、右手に見えていた富士山が左手に見えることから”左富士”と呼ばれる景勝地になりました。

Dsc09273 かつての岳南鉄道の社章

Dsc09345
沿線マップ

1889年(明治22年)に東海道本線の国府津~浜松間が開業した際、線路は吉原の町の近くを通らず町外れの鈴川(現在の吉原駅)を通ることになりました。そこで町の中心部と鈴川を結ぶ鉄道が敷設されることになり、1936年8月5日から鈴川と旧左富士信号所間は日産重工業(現、日産自動車)の専用鉄道が利用されました。戦後の1948年12月15日、駿豆鉄道(現、伊豆箱根鉄道)が路線免許を取得、資本金の半分を出して岳南鉄道が設立されました。1949年11月18日、鈴川駅~吉原本町駅間が開業しました。1953年1月20日には岳南江尾駅まで開通し、全線開業となりました。もっとも取得免許では身延線の入山瀬駅まで延伸や沼津方面へ延伸の予定もありましたが、資金難で断念したそうです。1969年9月10日、架線電圧が600Vから1500Vに昇圧されました。

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終点 岳南江尾駅 駅舎

貨物輸送全盛時代は引き込み線や専用線の総延長が本線の総延長よりも長かったそうですが、2011年1月、JR貨物の合理化で2012年春以降の貨物輸送の休止が通告され、2012年3月16日限りで貨物列車の運行が終了し、貨物の取扱が廃止されました。岳南鉄道は運行継続が困難になることを富士市に伝え、富士市は公的支援を伝え、鉄道路線の経営は2013年4月1日から子会社の岳南電車に移管されました。

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2012/1/9 現在の主力形式 7000形 京王井の頭線3000系の中間車を改造したもの

岳南電車といえば沿線の工場の夜の風景で有名ですが、2014年7月18日、2014年度(第10回)「日本夜景遺産」に鉄道領域で初めて認定されました。

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2019年8月21日 (水)

2016年10月仙台への旅 仙石線 その2 車両編 205系が導入される前の車両たち

1925年に宮城電気鉄道として開業した現在の仙石線は開業当初からDC1500Vで、最初こそ丸屋根、木造車でしたが、延伸の際の増備車は半鋼製となり、ウェスティングハウス・エレクトリック(WH)式のHL(間接非自動制御)でパンタグラフも仙台地下駅での架線高さの関係により、空気上昇・バネ降下式が採用されました。

形式は 
モハニ101形 1925年2月 蒲田車両製 101-103 並等荷物合造制御電動車 
モハニ201形・モハ220形 1925年2月 蒲田車両製 201・202 並等荷物合造制御電動車 当初はデハニ201形
クハ301形 1926年3月 日本車輛製造東京支店製 301-303 木造並等制御車 当初はサハ301形
クハ401形 1927年7月 汽車製造東京支店製 401・402 片運転台型半鋼製並等制御車 当初はテサハ401形
モハ501形 1928年3月 汽車製造東京支店製 501・502 両運転台型半鋼製並等制御電動車 当初はテデハ501形
モハ601形 1928年3月 汽車製造東京支店製 601・602 両運転台型半鋼製特等並等制御電動車 当初はテデロハ601形
クハニ701形 1928年3月 汽車製造東京支店製 701・702 片運転台型半鋼製並等荷物合造制御車 当初はテサハニ701形
モハ801形 1937年日本車輌製造東京支店製 当初はクハ801形 1937年日本鉄道自動車製 クハ881形
      1941年製 両運転台型半鋼製並等制御電動車
モハ810形 宮城電気鉄道が発注、国有化で国鉄が受領
モハ901形 1922年6月 汽車製造東京支店製 デハ33526 鉄道省から宮城電気鉄道へ

これらの車両は1950年代宮城電気鉄道で廃車後、弘南鉄道、高松琴平電気鉄道、大井川鉄道、新潟交通、日立電鉄等に譲渡されました。

国有化後、宮城電気鉄道からの引継ぎ車両を置き換える目的で首都圏などで余剰となった車体長17mの30系、31系、33系、50系、そして車体長20m級の40系が投入されました。その後、17m車の置き換えの過程でクモハ54、クハ68、モハ70などが一時的に活躍しました。これらは72系の投入で他線区へ転出、あるいは廃車となりました。

72系を仙石線で運用するにあたり、グローブ形通風機では冬期に雪の吹込み等の問題があるので、押込形通風器に交換する改造が1969年から1972年にかけて72系45両(モハ72形7両、クモハ73形20両、クハ79形15両、サハ78形3両)およびクモハ54形6両、モハ70形4両、クハ68形4両に施行されました。

1975

1975/3/31 時点での陸前原ノ町電車区配置表

1979

  1979/4/1時点の陸前原ノ町区編成表

1033000-53-020102
2002/1/2 拝島 足元を見ない限りは103系高運転台車と見間違う3000番台

1974年、老朽化した72系のアコモデーション改良車としてモハ72形970番台クハ79形600番台が72系新製車の改造で製作されました。車体は103系高運転台クハ車と同じで1979年に通常車が置き換えられた後も1985年まで残存し、川越線の電化で機器類を103系のものに交換し、103系3000番台に編入され、八高線・川越線に活躍の場を移しました。

1979年から72/73系置き換え目的で103系が投入され、当初はクモハ103を含む編成でした。

103-860806
1986/8/6 仙台駅地平ホームに入線したスカイブルー塗色の103系

1986_20190820202801

1986年11月改正時点での陸前原ノ町電車区編成表、72系アコモ改造車は全て転出済みで、それまでの103系先頭車はタブレット交換時にガラス破損を防ぐために戸袋窓を塞いでいましたが、薄青の先頭車は1984年にアコモ改造車の代わりに導入された先頭車で戸袋小窓が塞がれていない車両です。薄緑セルは両栓車です。

1987年にクモハ103-149を先頭とする4連が分割され、郡山工場にて
クモハ103-149 → クモハ105-101
モハ102-315 → クモハ105-601
サハ103-240 → クハ105-601
クハ103-599 → クハ105-105   
中間車に運転台が設置され、105系100番台、600番台に改造され2連2本となり、石巻~矢本間の区間列車運用に使用されました。1998年に103系高運転台編成の配置で書類上、廃車となり2008年まで八王子、横浜支社内で訓練車として活躍しました。

1997

1997年時点での103系編成表で1979年に導入されたグループは1993年に淘汰されています。オレンジ色のセルは新製時からのシールドビーム2灯車、他の先頭車はブタ鼻改造車です。

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2006/8/20 郡山 2002年から2004年にかけ、大方の103系が205系投入で淘汰された後、1編成だけ残されたRT235,236編成

仙石線の車両の配置区ですが、以下のような名称の変化の歴史を辿っています。
1956年 仙台鉄道管理局仙石線管理事務所として設立(仙セン)
1971年4月1日 陸前原ノ町電車区発足(仙リハ)
1987年4月1日 国鉄民営化
1991年 仙台~苦竹間の地下化工事で福田町付近に移転、宮城野電車区に(仙ミノ)
2003年 検修部門は仙台電車区宮城野派出所、運転士、車掌部門は宮城野運輸区(仙セン)
2004年 仙台車両センター宮城野派出所

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