2024年8月26日 (月)

速報版(補遺) 2024猛暑の夏 新潟の旅 3日目 その2 直江津駅 part1

8月18日から21日にかけての新潟旅行、前回の2013年8月7日から10日の旅行で撮影した写真と見較べてみると、115系、E127系の姿は無く、特急「いなほ」の485系E653系に置き換わり、特急「北越」快速「くびき野」に代わって特急「しらゆき」が登場し、気動車もキハ40系かGV-E400系となり、JR貨物の牽引機もEF81の姿は無くなりました。10年ひと昔と言いますが、11年の年月が過ぎると車両もこうも変わるのかと驚かされた次第です。

そしてもっと驚かされたのが3日目に訪れた直江津駅の変貌ぶりです。直江津駅は2010年7月17日から19日にかけて訪れていますが、当時の写真を見ると

日本海縦貫線:急行「きたぐに」(大阪~新潟)581系、特急「北越」(金沢~新潟)485系、臨時特急「トワイライトエクスプレス」(大阪~札幌)24系 特急「はくたか」(金沢~越後湯沢)681系683系
信越本線:快速「くびき野」(新井~新潟)485系

北陸本線~信越本線:419系475系

信越本線:快速「妙高189系、115系(新ニイ、長ナノ)

ほくほく線:HK100形681系2000,683系8000

JR貨物:EF81、EF510    などが登場します。

Dsc09360 2024/8/20 直江津駅通路 

直江津駅を中心とした鉄道の発展の歴史を振り返ってみると、1886年8月15日官設鉄道により、 関山~直江津間が県内最初の鉄道として開業し、直江津駅はその終着駅として開設されました。その後、高崎方面には1888年5月1日に関山~長野、8月15日に長野~上田、12月1日に上田~軽井沢間が開通、1893年4月1日、軽井沢~横川間が開通し、1885年に開通していた高崎~横川間と繋がり、全通しました。
 一方、北越鉄道1897年5月13日、春日新田~鉢崎(現在の米山)を皮切りに、8月1日には柏崎、11月20日には柏崎~北条、沼垂~一ノ木戸(現在の東三条)、1898年6月16日には一ノ木戸~長岡、12月27日には北条~長岡を開業、1899年9月5日には直江津~春日新田間が開業し、1904年5月3日の沼垂~新潟(初代)間の開業で直江津~新潟間も全通しました。
 富山方面には1911年に7月1日に名立まで開業、1912年12月16日には名立~青海川間が延伸し、1913年4月1日、青海川~糸魚川間の開業で米原~直江津間が全通しました。このとき、糸魚川~直江津間を信越線から北陸本線に編入されました。

まさに新潟の鉄道は直江津から始まったと言っても過言ではありません。

Dsc09314 2024/8/20 直江津駅 駅名標

直江津駅は国鉄時代は在来線の拠点駅であり、民営化後はJR東日本とJR西日本の共同使用駅でしたが、2015年3月の北陸新幹線金沢延伸で駅舎や車両基地等の構内施設の大部分はえちごトキめき鉄道に移管され、路線名もJR東日本管理だった妙高高原~直江津間は妙高はねうまライン、JR西日本管理だった市振~直江津間は日本海ひすいラインとなりました。JR同士の共同使用駅が2社ともに撤退して第3セクターの管轄になった例としては初のケースとなりました。

Dsc09298 2024/8/20 直江津 ET122形 0番台 K4編成

この車両は直江津からあいの風とやま鉄道の泊駅までを結ぶ気動車でえちごトキめき鉄道がJR西日本の協力を得てキハ122形をベースに8両投入したもので、電化されているものの糸魚川~梶屋敷間のAC20kV60Hz/DC1500Vの交直切換えが存在し、交直両用車両を投入するよりも気動車を投入した方が車両製作費用が少ないことから、この方式となりました。沿線は頸城トンネル(11353m)等、6割がトンネル区間で「万が一火災が発生したら大変危険だ」という意見も出されましたが、JR西日本の最新の気動車系列をベースにした新造車両を投入するということで対処したようです。

Dsc09302
2024/8/20 直江津 ET127系 V4編成

この車両は元来、JR東日本が新潟地区用に投入したE127系0番台13編成(うちV3編成は2008年9月18日、越後線内で発生した踏切事故で廃車に)で信越線妙高高原~直江津間の第3セクター化「妙高はねうまライン」用に10編成を改修の上、譲渡したものです。残った2編成は弥彦線専用で活躍した後、南武支線の205系1000番台置き換えのため鎌倉車両センター中原支所に転属しました。
ET127系10編成のうち、V1編成は「懐かしの新潟色」、V8編成は「横須賀色」とインパクトのあるラッピングとなっています。

Dsc09334

2024/8/20 直江津 JR東日本 E129系A13編成 北越急行ほくほく線 HK100形 H-101 H102編成

2010年の訪問の際にも撮影していますが、北越急行のHK100形が直江津駅に乗り入れています。JR東日本のE129系の運用も直江津まで来る編成は終日、長岡との間を往復しているようです。

JR車の到着に合わせて、ひすい、はねうま、ほくほくから車両がやってきて、それぞれ散って行くのを繰り返しているようです。

JRの車両が乗り入れていますが、改札等、駅の業務はえちごトキめき鉄道の社員が担当しているためか、18切符で出場するときは「どこから来たか?」、入場するときは「何時の列車に乗車するのか?」といちいち尋ねられる点、多少ストレスを感じました。

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2024年8月21日 (水)

速報版 2024猛暑の夏 新潟の旅 3日目 その1 越後線の旅

新潟の旅、3日目は18切符を利用して新潟から越後線で吉田、さらに柏崎、そこから信越本線で直江津まで行きました。

Dsc09238 2024/8/20 新潟駅 朝4時34分 
1番線から越後線、4番線からは白新線、5番線からは信越線の初発列車がそれぞれ出発します。車両はすべてE129系、前夜、最終もしくは回送で到着した車両が滞泊したものです(こちらのサイトに詳しいです。)

Dsc09241 2024/8/20 越後線 吉田方面 120MはA30編成でした。

越後線の新潟~吉田間は以前に乗車したことがありますが、吉田~柏崎間は今回が初の乗車でした。新潟を出発すると直ぐに信濃川を渡ります。かつて越後鉄道が柏崎から越後線の前身である路線を敷設した際、資金不足で信濃川を越える橋梁の架橋が出来ず、やむを得ず白山をターミナルとしました。新潟を出発し、しばらくすると進行左手に密集した住宅地を見下ろす景色が展開し、内野西が丘まで続きますが、そこから先は穀倉地帯新潟平野を感じる美田が広がっています。

Dsc09248 2024/8/20 越後曽根~巻間
進行方向右手の車窓に角田山、弥彦山が見えて来ます。地図で見るとこれらの山々は海岸縁に聳えています。

Dsc09251 2024/8/20 吉田

Dsc09255 2024/8/20 吉田駅 駅名標 西燕、矢作は弥彦線

新潟を出発して49分、列車は弥彦線との連絡駅、吉田に到着します。車両の運用は吉田で分断されており、大半の列車は吉田で折り返しています。あるいは内野で折り返しています。一方、新潟側も信越線から越後線へ、あるいは白新線から越後線へ、あるいはその逆といった運用をよく見かけました。

引き続き柏崎方面は122Mでホームに入線している、左の編成で1分の接続です。

Dsc09253 2024/8/20 吉田 柏崎方面122M A14編成

Dsc09257 2024/8/20 分水~寺泊間 信濃川の2大分水路のひとつ大河津分水路の鉄橋を渡ります。ちなみにもう一つの分水路は関屋分水路で関屋~青山間で越えています。

Dsc09267 2024/8/20 刈羽 駅名標

妙法寺から西山にかけては丘陵地帯を通り、刈羽で平地にでますが、「刈羽」という地名から分かるようにこの駅の海岸側には東京電力柏崎刈羽原子力発電所があります。

Dsc09270 2024/8/20 吉田を出発して1時間14分、柏崎に7:08到着です。

Dsc09280 2024/8/20 柏崎 越後線0番ホーム

柏崎は1975年最初に来ましたが、ホームの構成は今も同じ、0番線が越後線、1番線と2,3番線の間に4本の線路があります。

Dsc09285 長岡駅でも見かけましたが、観光列車「越乃Shukura」の停車する駅にはこういった駅名標が設置されています。

ここからさらに信越線で直江津に向かいました。直江津は2010年頃に来て、駅のそばのホテルに数泊しましたが、あの頃と駅の構造は同じですが、2015年春の北陸新幹線金沢延伸で信越本線長野~妙高高原間はしなの鉄道北しなの線に、妙高高原~直江津間はえちごトキめき鉄道妙高はねうまラインに、さらに直江津~糸魚川間の北陸本線のうち、市振~直江津間はえちごトキめき鉄道日本海ひすいラインとなり、旅客輸送はDC-AC60Hzのデッドセクション越えの問題から気動車対応となっています。さらに越後湯沢と直江津を結ぶ北越急行ほくほく線も乗り入れており、直江津駅はJR東日本、えちごトキめき鉄道、北越急行、そしてJR貨物の貨物列車も走る駅となっています。

さらに長岡経由で新潟に戻った後は、2日目の貨物線巡りの延長で焼島貨物駅まで歩き、14:52に同駅を出発する新潟貨物ターミナル行DD200牽引の7082レを撮影しました。

あまりに話題が多すぎて、今回の記事では書ききれないので、これらはは帰京後に廻します。

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2024年3月21日 (木)

速報版 3月15日から名古屋を訪問中 帰路は中央線経由で、途中 明知鉄道を訪問

2024年春の名古屋旅行、土日の暖かさはどこへ行ったのか18日、月曜日は名古屋も朝から強風が吹き、気温が冬に逆戻りです。さすがにお彼岸も近くなり、夜明けも大分早くなりました。

Dsc03487 2024/3/18 名古屋駅の東海道線上下1番列車は3番ホームに入線した313系4+4連の分割から始まります。

名古屋駅の東海道線の初発が313系の3番線の豊橋方面と大垣方面の切り離しで始まるのはダイヤ改正も続いており、5:29に100Fとして豊橋行がまず出発、続いて5:37に301Fとして大垣行が出発します。いずれの列車もこれまで乗車したことがあります。

Dsc03486

Dsc03491

今回は同じホームの4番線側から出発する315系8連の5:40発多治見行に乗車します。中央西線、名古屋~中津川間は2022年3月5日315系8連が投入されて以来、C1~C23編成まで増殖し、特急以外の車両は315系に統一されてしましました。

Dsc03485 2024/3/17 名古屋 315系C104編成 区間快速 武豊行

余談ですが315系4連に関してはC101~C112まで増殖し、2024年3月15日からは武豊線にも投入されました。

Dsc03516 Dsc03518

多治見で乗り継ぎ、明知鉄道の起点駅、恵那には7:25に到着しました。この駅は1902年12月21日大井駅として官設鉄道が多治見駅~中津川駅間を開通させたときに開業しました。1906年12月5日、岐阜県最初の私鉄である岩村電気軌道が駅前に乗り入れ、1928年12月3日北恵那鉄道大井線が乗り入れました。1933年5月24日、国鉄明知線が阿木駅まで開通しますが、1934年9月15日には北恵那鉄道、1935年1月30日には岩村電気軌道が廃止となりました。以前、天竜浜名湖線の記事で触れましたが、国鉄明知線は静岡県掛川から二俣、愛知県大野、武節を経て岐阜県大井に至る遠美線の一部として開業したものでした。1963年11月1日、大井駅は現在の恵那駅に改称となりました。

Screenshot_20240319134759

明知鉄道の乗車にはRYDE PASSの「あけてつ全線フリー切符](¥1380)を購入しました。

明智線は1934年1月26日に阿木~岩村間、6月24日には岩村~明知(1985年11月16日、明知鉄道開業の際に駅名は町名に合わせて明智に改称)間が開業しました。岩村電気軌道が廃止になったのは国鉄明知線の開業で乗客が激減したためでした。

なお恵那から岩村までのルート、岩村電気軌道は恐らく国道257号に沿ってほぼ真南に下っていたのに対し、国鉄明知線は飯沼、阿木を通るルートを採ったため、峠越えとなっています。恵那駅を出発すると気動車はエンジン全開で山路に挑んでゆく感じです。途中、飯沼駅は1991年の開業から1996年まで普通鉄道としては33‰の最急勾配で有名な駅でした。ちなみに現在、普通鉄道における最急勾配駅は京阪京津線の大谷駅で1996年に移設された時からで、ホームは40‰の勾配となっています。

Dsc03536 唯一の列車交換は岩村駅で アケチ10号

唯一の交換可能駅である岩村駅の一つ手前の極楽駅も駅名(駅近くに存在した極楽寺に由来)にちなみプラットホームには地蔵菩薩像や、地元岩村藩出身の儒者・佐藤一斎の『言志四録』の一文を刻んだ碑文が置かれ、觔斗雲を上部にいただいたベンチ付き待合所、後光が差すように写真撮影できるスポットもあります。

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1934年6月24日の岩村~明知間開業時に遠山駅として開業し、1956年12月20日に現駅名に改称となった山岡駅で下車しました。目的は同駅に長らく留置され、2016年7月15日に森の列車カフェに改装されたアケチ1号に会うためでした。ただ、残念なことに月曜日は定休日で森の列車カフェも山岡駅かんてんかんもお休みでした。

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Dsc03585 Dsc03593 明智駅 駅舎

晴れてはいるものの冷たい風が吹くため、待合室で約70分待ち、次の明智行(5D)で明智に向かいました。明智駅には明知鉄道の本社や車両基地があり、日本大正村の玄関駅ともなっています。時間の関係で折り返しの10D、10:26発で恵那に戻りましたが、2回の峠越えのある路線で非常に魅力を感じました。次回、チャンスがあればじっくり時間をかけて楽しみたい路線でした。

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2024年3月19日 (火)

速報版 3月15日から名古屋を訪問中 16日は藤が丘~八草間のリニモ、愛知環状鉄道 八草~岡崎間に乗車、トヨタ博物館も訪問

2024年春の名古屋旅行、2日目は名古屋市営地下鉄東山線で東の終点藤が丘へ、そこから2005年の愛知万博(愛・地球博)に合わせて建設されたリニモ(愛知高速交通東部丘陵線)に初めて乗車、さらに名古屋圏の武蔵野線とも言うべき愛知環状線(八草~岡崎)間に乗車しました。さらに帰り道、リニモ沿線にあるトヨタ博物館も訪問しました。

240316 2024/3/16 藤が丘駅引き上げ線

地下鉄東山線は名古屋圏では最初に開業したした地下鉄で一社~上社間で地上に出て、東端の藤が丘駅は高架駅となっています。藤が丘に到着した編成は東の外れの引き上げ線に入り、ダブルクロスを渡って、西方(高畑方面)に向かう線路に転線します。上の写真の右方向にカーブする線路の先には藤が丘車庫、工場があります。

240316_20240317190301 一方、リニモの藤が丘駅は地下にあります。

240316_20240317190601 リニモの路線図(側扉上)
駅数は両端駅を含めて9駅で17分の行程、HSST(常電導吸引型)方式でATOによる無人自動運転が採用されています。

09-240316 杁ヶ池公園~長久手古戦場間

藤が丘を出発して2駅目のはなみずき通駅の先から地上に出て、高架となりなかなかの絶景が展開されます。途中、芸大通駅の手前でトヨタ博物館の前を通り、愛・地球博記念公園では観覧車やドームが印象的です。

240316-2 終点、八草では愛知環状鉄道線をオーバクロスします。

愛知環状鉄道は岡崎市、豊田市、瀬戸市、春日井市を結ぶ岡崎~高蔵寺間の路線で1976年に国鉄線として開業した岡崎~新豊田間と旧鉄道公団が建設した新豊田~瀬戸間(岡多線)、瀬戸~高蔵寺間(瀬戸線)の一部区間を合わせた路線です。路盤等は複線用に確保されていますが、中には複線の片側の高架基盤上にホームを設けた駅もあり、今後完全複線化する際には問題が起こりそうです。

2000-g15-240316

2024/3/16 北野桝塚 愛知環状鉄道2000系 G15+G13併結編成

車両はJR東海313系とよく似た2000系の2連が運用されており、通常は2連、列車によっては併結の4連のこともあります。

車両基地は北野桝塚にあります。

240316_20240317194901
最後にリニモ、芸大通駅から歩いて5分の場所にあるトヨタ博物館ですがトヨタ自動車が創立50周年記念事業の一環として1989年4月に開館したものでガソリン自動車誕生から約100年の歴史をテーマにトヨタ車だけではなく、19世紀末から20世紀にかけて製造された各国、各メーカの自動車が体系的に展示されています。クルマ館2階は歴史的な車両、3階は1950年代以降の車両で私個人としては2階の展示車両の迫力に圧倒されました。1台ごとに写真を撮り、説明書きも記録していたら結構、時間がかかりました。まさに必見の価値ありの展示でした。

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2024年2月21日 (水)

2023年8月に開業した宇都宮 Light Rail(ライトライン)を訪ねて 前編

栃木県の県庁所在地、宇都宮市は人口51万人(2024年1月1日現在)で栃木県の全人口の1/4を占めています。市は東西23.97㎞、南北29.53㎞で面積は416.85㎢です。日本全国の市の中では26位の人口の多さです(情報)。

市の東部地域、鬼怒川の左岸に全国最大クラスの内陸型工業団地として平出工業団地や清原工業団地が造成され、さらにその東側の芳賀郡芳賀町や真岡市にも大規模な工業団地が整備されました。そのために従業員の通勤、原材料や製品の輸送で鬼怒川を渡る道路橋を中心に激しい交通渋滞が発生し、社会問題化していました。

一方、宇都宮都市圏を南北に貫く鉄道路線としてJR東日本の東北本線、東武宇都宮線、さらに市域より西に向かう路線としてJR日光線は存在するものの市域を東西に貫く鉄道、軌道路線は存在せず、路線バスの路線網も市西側に集中していました。そのため、東部地域は公共交通機関の空白地帯となっていました。この問題を解決するために1987年頃から構想が立ち上がったのが「新交通システム構想」でした。

新交通システムの方式について1990年代初頭はガイドウェイバス、モノレール、スカイレール、磁石式ベルト輸送システムなどが検討されましたが、1994年秋にストラスブールで世界初のLRTが開業し、2001年、宇都宮でもLRT方式の導入が決定し、ルートも

Aルート: 栃木県道64号宇都宮向田線(鬼怒通り)を東進し続け柳田大橋を渡り栃木県道69号宇都宮茂木線へ入り宇都宮テクノポリスセンター地区(現・ゆいの杜)へ向かう、全長9.6 km。

Bルート:栃木県道64号宇都宮向田線を東進し新4号国道平出交差点付近で専用軌道へ入り、清原工業団地北部を経由して宇都宮テクノポリスセンターへ向かう。全長10.4 km。

Cルート:栃木県道64号宇都宮向田線を東進しBと同じように平出交差点付近で専用軌道へ入ったのち作新学院大学付近、清原工業団地中央部を経由し宇都宮テクノポリスセンターへ向かう。全長11.6 km。 の3案に絞られ、最終的に2002年にBルートで進めることに決定しました。

その後、県と市の意見対立などで計画の5年間凍結などがあり、知事、市長の交代などを経て、2006年頃から計画が再び動き始め、「ネットワーク型コンパクトシティ」の形成の基幹としてLRTを中心にした東西基幹公共交通と位置づけ、2013年にLRT事業化のための「芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会」が設置され、2015年11月19日、運営主体の第三セクター企業「宇都宮ライトレール株式会社」が設立されました。

2017年8月9日、宇都宮市と芳賀町、宇都宮ライトレールの3者が工事施行認可を国(国土交通大臣)に申請、2018年3月20日、国土交通省、優先整備区間の工事施行認可となり、同年5月28日、工事着工となりました。

2023年8月26日、起点:宇都宮駅東口停留場~終点:芳賀・高根沢工業団地停留場、路線距離14.6㎞、停留所数19、軌間1067mm、DC750V電化方式、架空電車線方式で優先整備区間の開業を迎えました。既存路線の延伸や改良を伴わない全くの新規路線としてライトレールが建設されるのは日本初であり、それまで路面電車路線が存在しなかった都市へ軌道法に基づく路面電車路線が新規開業するのは1948年の富山地方鉄道伏木線(現在の万葉線高岡軌道線)以来とのことです。
 
Photo_20240220085401 2023年8月開業のライトライン路線図
新潮プレス”ライトライン”で街さんぽ から転載

Light-line-poster-231216-2 2023/12/16 宇都宮駅東西自由通路に掲示されているライトラインのポスター

Light-line-231216 ライトライン乗り場案内
自由通路を東に進んだ所に停留所に降りる階段があります。

Light-line-231216_20240220091001 停留所は2線、島式のホーム

231216 2線のうち、通常は1番線が使われているようです。列車案内は外国人観光客にも考慮して英語表記もあります。

231216-edit 2023/12/16 ライトライン宇都宮駅に掲示されている乗車案内

Hu311a-231216-2 ホームに入線したHU311-A

車両の詳細に関しては後編の記事で触れますが、新潟トランシス製のHU300形を使用しています。Hは芳賀、Uは宇都宮、300は3車体連接に由来し、現時点で17編成(51両)が導入されています。

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2024年2月 8日 (木)

2023年夏と2024年冬の名古屋旅行 その9 名古屋臨海高速鉄道西名古屋港線(あおなみ線) 1000形

国鉄時代の1950年に開業し、民営化でJR東海が承継した西名古屋港線(笹島貨物駅~西名古屋港駅間12.6km)を複線電化・高架化し、第一種鉄道事業者として営業しているのが名古屋臨海高速鉄道で名古屋市を筆頭株主とし、愛知県、名古屋港管理組合の3地方公共団体と16の民間企業が出資する第三セクターです。名古屋市が株式の76.9%を保有していますが、所管するのは市営地下鉄を所管する交通局ではなく、市長部局の住宅都市局(交通施策管理課)となっており、区別はされていますが、資本・経営面では名古屋市営地下鉄と密接な関係にあります。

1997年12月2日に会社設立、2004年10月6日、あおなみ線の名古屋~金城ふ頭間が開業しましたが、開業前の需要予測66,000人/日を大幅に下回る18,226人/日であったことなどから、2011年に事実上経営破綻しており、県や市から440億円の公的資金が投入され、事業再建計画途上にあります。その後、「ポートメッセなごや」や「リニア・鉄道館」が沿線に開業し、2019年度は32,800人/日まで増加、さらに商業施設や高層マンションの新築で沿線人口の増加で利用者数の増加が期待される状況となっています。

そんなあおなみ線に開業(旅客化)以来、活躍しているのが1000形です。2004年10月の開業に向け、日本車輛製造で4両編成8本、計32両が投入されました。

主要諸元

最高運転速度 100 km/h
設計最高速度 110 km/h
編成定員 582人
自重 電動車 32.3 t
制御車 25.7 t
全長 20,000 mm
全幅 2,805 mm
車体幅 2,800 mm
全高 4,000 mm
車体高 3,610 mm
台車 電動車 ND734 制御車 ND734T
主電動機 かご形三相誘導電動機 三菱電機製 MB-5108-A
主電動機出力 185 kW
駆動方式 TD継手式平行カルダン駆動方式
歯車比 6.53
編成出力 1480 kW
制御方式 IGBT素子VVVFインバータ制御
制御装置 東芝製(1C2M方式)SVF070-A0(1200形車、VVVF・SIV一体式)SVF071-A0(1300形車、VVVFのみ)
制動装置 回生ブレーキ併用
電気指令式ブレーキ(遅れ込め制御・オール電気ブレーキ)
保安装置 ATS-ST、ATS-PT、EB、TE、防護無線

車体は片側3扉の日車式ブロック工法、ステンレス製軽量車体で座席はロングシート、側窓のカーテンは省略され、UVをカットする黒みがかった窓ガラスとなっています。窓配置は313系に準じています。

前面は非貫通構造で踏切が無く、ホームドアが設置されているため、排障器も小型となっています。TASC(Train Automatic Stop-position Controller 定位置停止装置)が装備され、ワンマン運転仕様となっており、運転台にホーム監視用モニターが設置されています。将来の旅客需要の増加を考慮し、中間車2両を増結し、6連化可能なように設計されています。

1000-01-230728-22 1000-01-230728-31 2023/7/28 ささじまライブ 1000形01編成 
現在は4連ですが、将来の6連化に備え、形式は金城ふ頭方から 1100+1200+1300+1400+1600 となっています。

あおなみ線の潮凪車庫では簡単な点検のみが行われ、車輪削正は神領車両区で、重要部検査・全般検査は名古屋工場で施工されます。

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2024年1月11日 (木)

天竜浜名湖鉄道、日帰りの旅 その14 車両編 part3 2001年に登場したTH2000形、その改良形のTH2100形と観光用バージョンTH9200形 (続編)

昨日の記事に続き、今回は最初からTH2100形として登場した車両とTH9200形の紹介です。

Th2000-th2100-th9200

表 TH2100形、TH9200形の製造ならびに現行塗色 
TH2112の「どうする家康号」は2023年のNHK大河ドラマによるキャンペーンのようですが、現在は標準塗装になっているのかもしれません。

TH2100形、TH9200形は合わせて15両在籍しており、TH2104, TH2106, TH2108以外はラッピング車両となっているようです。TH2104からTH2108、TH2114は未撮影です。

TH2105は「ヤマハPAS号」でヤマハモーターエレクトロニクス(株)の電動アシスト自転車PAS、YPのPRの一環として2019年12月24日から運行が始まり、2023年4月12日からはPASの全国発売30周年のタイミングでリニューアルされました。

TH2107は「花のリレー・プロジェクト」ラッピングとなっており、これは浜松いわた信用金庫と(公財)はましん地域振興財団が主管となり、フラワーパーク、浜松市と地域企業、周辺市町行政、ボランティア団体と連携し遠州地域を路線とする天浜線の沿線を花で飾ろうとするものです。ガーデンデザイナーの吉谷桂子氏が車両塗装のデザインを担当し、2021年2月28日から運行が始まりました。

TH2109「ゆるキャン△」x天浜線 ラッピングとなっており、から運行が始まりました。

Th2109-220827-2 2022/8/27 金指

TH2110は(株)長坂養蜂場ラッピング「ぶんぶん号」となっており、同養蜂場のキャラクター「ぶんぶん」と「るんるん」がデザインされており、2002年4月1日から運行が開始されました。さらに同日より、奥浜名湖駅の副駅名がネーミングライツ・スポンサー契約により、「ぶんぶんに出会えるまち」となりました。

Th2110-220827-3 2022/8/27 新所原

同車両は大人だけではなく子ども達も楽しく学べる食育列車になっています。近年、ミツバチの減少が花粉交配の機会を減らし、農作物の生産に影響を及ぼしており、大きな問題となっています。ハチミツだけではなく、ミツバチの貢献を社会的に認知させる意味でも重要なアピールとなっています。

TH21112022年8月27日、掛川から天竜二俣まで乗車した車両で2021年11月17日から「エヴァンゲリオン ラッピング」となっています。

Th2111-220827_20240110100601 2022/8/27 天竜二俣

TH21122022年8月27日、天竜二俣から新所原まで乗車した車両で標準塗装ですが、当日はm+のHMが装着されていました。その後、NHK大河ドラマのキャンペーンでグレーと基調とした「どうする家康号」になったようです。

Th2112-220827-2 2022/8/27 新所原

TH2113はスズキの大型二輪「KATANA]のプロモーションとして2019年9月15日に「はままつフルーツパーク時の栖」で行われたユーザー向けイベント「KATANA Meeting 2019]に向け運行開始されたもので、最近、塗装のリニューアルが行われ、フルーツパークの副駅名も2021年12月7日から2024年3月31日までKATANAとなりました。

Th2113-220827-2_20240110102201 2022/8/27 遠江一宮

TH2114は「うなぴっぴごー!」となっているようです。これは株式会社エム・ティー・ケーがプロデュースするバーチャルアイドル「音街ウナ」のPR活動の一環として企画されたもので「音街ウナ」は浜松市出身のバーチャルアイドルとして国内外で認知されているようです。2022年9月23日にデザインを刷新し、新生『うなぴっぴごー!』となりました。

最後にTH9200はマリメッコ列車「New スローライフトレイン」となっており、これは株式会社都田建設ドロフィーズの協力により、現役車両のTH9200号車をフィンランドの人気ファブリック「マリメッコ」で装飾したもので、TH3000形で運行されていた初代「スローライフトレイン」の後継として位置づけられるもので、2021年10月3日から運行開始しました。

Th9200-220827 2022/8/27 三ケ日

TH2110からTH2114の5両には空転防止用の砂撒き装置が設置されています。

また機会があれば、天竜二俣の車両基地見学を兼ね、未撮影の車両を撮影したく思います。

尚、ラッピング車両の運行に関してはこちらのサイトの情報が大変参考になります。

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2024年1月10日 (水)

天竜浜名湖鉄道、日帰りの旅 その13 車両編 part3 2001年に登場したTH2000形、その改良形のTH2100形と観光用バージョンTH9200形

天竜浜名湖鉄道の開業以来、活躍してきたレールバスタイプのTH1形の老朽化に伴う置き換え用として2001年に3両製造されたのがTH2000形です。2002年からの増備車は保安ブレーキを2重化し、形式をTH2100形としました。TH2000形3両も2004年度に同様のシステムに改造の上、TH2100形に編入されました。そして2005年までに観光用の内装を装備したTH9200形1両を含め計15両が製造されました。

主要諸元

最高運転速度 80 km/h
最高速度 85 km/h
車両定員 119名 (座席52名)(TH2000,TH2100)、103名(座席44名)(TH9200)
自重 30.0 t(TH2000,TH2100) 30.7t(TH9200)
全長 18,500 mm
車体長 18,000 mm
全幅 3,188 mm
車体幅 2,700 mm
全高 3,950 mm
車体高 3,725 mm
床面高さ 1,240 mm
車体 普通鋼
台車 枕ばね:ボルスタレス空気ばね 軸箱支持:積層ゴム式 NP131D/T
車輪径 860 mm
固定軸距 2,100 mm
台車中心間距離 13,000 mm
機関 カミンズ製N14-Rディーゼルエンジン
機関出力 257 kW (350 PS) / 2,000 rpm
変速機 新潟コンバーター製液体式(TACN-33-1601)
変速段 変速1段、直結3段
制動装置 電気指令式

車体

製造は新潟鐵工所で軽快気動車NDCシリーズの一員です。車体は前面は貫通式、乗務員室は左側で、乗務員室側にのみ乗務員用扉が設けられ、1,000 mm幅の引き戸の客用扉が片側2か所、両車端に設けられました。幅1,200 mmの窓は7組で冷暖房効率の向上のため熱線吸収ガラスの固定式となりました。戸袋部に窓はなく、全車トイレの装備はありません。TH2000形、TH2100形の外装はアイボリーホワイトをベースとし、オレンジ、ブルー、グリーンの帯が入り、TH9200形の外観塗装は当初は一般公募による白にオレンジ、ブルー、グリーンが鮮やかに意匠化されたものとなりました。

内装

TH2000・2100形は4人掛けボックスシート8組を備え、扉付近のみロングシートとなり、TH9200形は全席転換クロスシートで、TH2000形、TH2100形では掛川寄り、TH9200形では新所原寄り助士側に車椅子スペースも設置されました。TH9200形の車椅子スペース付近の座席は1人掛けとなおり、TH2000形、TH2100形座席表布は青系、TH9200形は緑系です。天井は平天井となり、ラインデリアが設置されました。

TH9200形の形式名の由来は日本宝くじ協会の助成を受けた宝くじ号であることから「くじ」と意味する92と命名されました。

Th2101-140813 2014/8/13 掛川 TH2101 オリジナル塗装時代

Th2101-re-220827 2022/8/27 天竜二俣 TH2101 湘南色Re+塗装 
外装は国鉄湘南カラー、内装は全面木目調 2018年5月16日から運行しています。

Th2102-220827 2022/8/27 天竜二俣 TH2102 キハ20塗色(奥の車両)
二俣線開業から80年となった2020年5月30日に登場、車内では国鉄二俣線時代から今日までの歴史を写真等で紹介

Th2103-220827-3 2022/8/27 天竜二俣 TH2103 初代CATALERラッピング 
2018年5月18日から運行開始、現在は「シン・キャラクタライナー」となり、2023年8月11日から運行しています。
Catalerは掛川市を本拠とする自動車用排出ガス浄化触媒メーカーで国内トップのシェアを持っています。同社はCSR(corporate social responsibility(企業の社会的責任) )活動の一環として 「シティープロモーション」「子ども・青少年の育成支援」「環境保全」を目的とし化学に触れる学びのトレインとして運行 しています。

以上の3両は2001年にTH2000形として登場、2004年にTH2100形に編入されました。

全編成撮影してはいませんが、残りの車両は明日の記事で載せます。

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2024年1月 9日 (火)

天竜浜名湖鉄道、日帰りの旅 その12 車両編 part2 1996年から2021年にかけ活躍したTH3000形

天竜浜名湖鉄道では国鉄二俣線から第3セクターとして転換後、15両のTH1形レールバスが活躍してきましたが、如何せん車両が小型で輸送力に乏しいという問題がありました。さらに新駅が開業し、輸送量の増加が見込まれたため、1995年12月に富士重工で大型車体のTH3000形が2両(TH3501,TH3502)製造され、1996年2月7日から運用に入りました。

主要諸元

車両定員 115名 (座席58名)
自重 30.2 t
全長 18,500 mm
車体長 18,000 mm
全幅 3,090 mm
車体幅 2,700 mm
全高 4,100 mm
床面高さ 1,240 mm
車体 普通鋼
台車 枕ばね:上枕空気ばね 軸箱支持:軸ばね式 FU50D/T
車輪径 810 mm
固定軸距 1,900 mm
台車中心間距離 13,000 mm
機関 カミンズ製NTA855-R1ディーゼルエンジン
機関出力 257 kW (350 PS) / 2,000 rpm
変速機 新潟コンバーター製液体式(TACN-22-1614)
変速段 変速2段、直結1段
制動装置 機関、排気ブレーキ併用SME

富士重工製の軽快気動車LE-DCシリーズで18m車体は平成筑豊鉄道200形・300形、甘木鉄道AR200形などと同じです。

車体

前面は貫通式、乗務員室は左側で、乗務員室側にのみ乗務員用扉が設けられ、運転台窓は視界拡大のため角部に回り込んでいます。前照灯、尾灯は一体のケースに入った角形のものが採用され、900 mm幅の引き戸の客用扉が片側2か所、両車端に設けられました。扉間には上段固定、下段上昇の幅1,200 mmの窓7組が設けられましたが、戸袋窓は省略されました。トイレの装備はなく、沿線の緑に映えるよう、白をベースとし、オレンジの濃淡のストライプ3本が窓下に入る塗装が採用されました。

車内

4人掛けボックスシート10組を備え、扉付近のみロングシートとし、後位乗降口付近には車椅子スペースが設置されました。座席表布はレンガ色となり、上部には同色のヘッドレストカバーが設けられました。カーテンは横引き式でつり革は出入り口付近にのみ設けられました。天井は平天井で、屋根内に空調用ダクトが通され、ワンマン運転用の装備も従来車より改良の上装備されました。

従来車との併結は可能で、1996年2月から本形式登場と共に設定された快速列車に優先的に投入され、2000年に快速列車の運行は終了となり、2005年にはトロッコ列車牽引用に改造されたTH211が廃車されたため、TH3501がトロッコ列車牽引用に塗装変更、砂撒き装置の追加などの改造が行われました。TH35022008年2月以降、休車扱いとなり、2010年9月に廃車となり、解体されました。

TH35012015年10月18日以降、マリメッコの生地を使用したカーテン、ヘッドレストカバーに交換の上、「スローライフトレイン」として運行されていましたが、2020年12月3日に故障で営業運転ができなくなり、2021年5月23日をもって運転を終了しました。

Th3501-220827
Th3501-220827-4 2022/8/27 天竜二俣
廃車後も解体されることなく天竜二俣駅の側線に停まっているTH3501

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2023年12月28日 (木)

天竜浜名湖鉄道、日帰りの旅 その10 車両編 part1 開業から、2000年代初頭にかけ活躍したTH1形式他

1987年3月に国鉄二俣線が第三セクターに転換された際に準備されたのが富士重工業製のLE-Carシリーズのレールバスタイプの気動車、TH1でした。開業時に13両、翌年に2両が追加されました。

主要諸元
車両定員 100名 (座席46名)
自重 23.5 t
全長 15,500mm
車体長 15,000mm
全幅 3,040mm
車体幅 2,700mm
全高 3,550mm
床面高さ 1,300 mm
車体 普通鋼
台車 枕ばね:上枕空気ばね 軸箱支持:軸ばね式 FU34D/T
車輪径 762 mm
固定軸距 1,800 mm
台車中心間距離 10,000 mm
機関 日産ディーゼル製PE6HT03ディーゼルエンジン
機関出力 169 kW (230 PS) / 1,900 rpm
変速機 新潟コンバーター液体式(TACN-22-1103)
歯車比 3.22
制動装置 機関、排気ブレーキ併用SME

車体長15m、全幅2440mm、前面貫通式、両運転台、乗務員扉は乗務員室のある左側だけに設けられ、客用扉は折戸式で片側2か所、両車端に設けられました。扉間には中央部に下半分が引き違い式、上半分が平面窓固定式の幅1,600 mmの窓5組と運転台がない側の扉寄りに幅820 mmm反対側に幅1,320 mmの固定式窓各1組が設けられ、トイレはありませんでした。


暖房装置はエンジン排熱を利用した温風式、冷房装置はバス用のものを流用した能力25.6 kW(22,000 kcal/h)のICPU-023が設置されました。

外部塗装は一般公募により白をベースとし、ブルー、グリーン、オレンジの配色で構成され、白は天竜川の白波、ブルーは浜名湖の湖面、グリーンは茶、オレンジはみかんを表しており、現役のTH2100形にも受け継がれています。

1989年、車内形態の差異で形式が4つに分けられ、
TH1形:セミクロスシートで車体中央部に4人掛けボックスシート4組
TH2形:TH1形と同じ座席配置で、ボックスシートを着脱式としたもの
TH3形:ボックスシートを6組としたもの
TH4形:お座敷車としても使用できるロングシートタイプ となりました。

Th1th4

形式を分ける際にTH1~4を反映させる形で百の位を1~4に合わせました。TH101~106 は開業前の1986年11月に引き渡され、試運転に使用されました。1988年、原谷駅と遠江一宮駅に交換設備が完成したのを受け、2両(TH414, TH115)が追加されました。

2000年3月にはTH211が牽引するトロッコ列車が導入され、TH211の塗装変更、砂撒き装置の追加といった改造が施されました。2001年からTH2000形、TH2100形が導入され、2005年までに全車廃車となり、形式消滅しました。TH106,TH211はミャンマーに輸出され、ミャンマー国鉄RBE2525(TH106)、RBR2526(TH211)となりました。

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