2020年2月 7日 (金)

阪神本線に乗り入れる近鉄の車両

阪神なんば線が2009年3月20日に開通してまもなく11年が経過しようとしています。

同線は1924年1月20日伝法線として大物~伝法間が開業したのが始まりで、同年8月1日には伝法~千鳥橋間、そして1928年12月28日には尼崎~大物間が開業しました。その後、1960年に千鳥橋~西九条間が着工、1964年5月20日、線名を西大阪線と改称し、同年5月21日に千鳥橋~西九条間が開業しました。

しかし、西九条~近鉄難波間の延伸は地元商店街の反対、阪神本線の需要の伸び悩み、二度のオイルショックによる建設費の高騰などで阪神単独での延伸工事は凍結されてしましました。1997年に沿線に大阪ドームが建設されたこと、沿線の再開発の進展、地元商店街が衰退傾向を打破するために延伸に期待するようになったこともあり、施設の建設、保有と運営を別会社が担当する上下分離方式で事業を進めることやそれまで反対だった大阪市が賛成に回ったこともあり、2001年には第三セクター「西大阪高速鉄道」が設立され、2003年10月7日、着工されました。

阪神なんば線に乗り入れる近鉄車両は系列別に、

9820-9324-191019 2019/10/19 西灘 9820系 シリーズ21 9324 快速急行 奈良行

9020-9028-181005 2018/10/5 鶴橋 9020系 シリーズ21

1026-1129-191019 2019/10/19 西灘 1026系 1026F~1029F 1129 快速急行 神戸三宮行

1252-1372-180324 2018/3/24 今里 1252系 1271F~1277F 同系列のうちヒハ(東花園検車区)に所属する編成 1372

5800-5804-191019-2 2019/10/19 神戸三宮 5800系 5804 近鉄の車両は神戸三宮以西には入らないため、行きどまりの中線で折り返します。

5820-5725-181005 2018/10/5 鶴橋 5820系 シリーズ21 5725

22600-51-181130
2018/11/30 鶴橋 22600系 特急車両 Ace 51編成 団体臨時列車として 

となっており、一般車両には蝶をモチーフとしたステッカーが貼られています。

阪神なんば線延伸前は近鉄難波駅西側に引き上げ線が3本あり、そこで近鉄難波駅折り返し列車が引き返していましたが、2本が阪神なんば線となったため、桜川駅のドーム前よりに新たに引き上げ線2本が設置されました。そのため、大阪難波駅で引き返す近鉄の非直通一般車や特急車両も、桜川の引き返し線で折り返す際は大阪難波から桜川間を走行し、桜川で一旦停止の後、引き返し線に入線しています。
この区間は運転取り扱いは近鉄となっており、信号設備が近鉄に対応し、列車保安装置も近鉄ATS,運転指令も阪神の尼崎指令室ではなく近鉄大阪運転指令室の担当となっています。

阪神なんば線、近鉄難波線の乗務員交代も上記の理由から境界駅の大阪難波ではなく、桜川駅で行われることになっており、これに合わせて阪神用の電鈴と近鉄用の電鈴の設定、ATS・列車無線・列車選別装置、さらに乗務員用の多言語自動放送用タブレットも同駅で切り替わります。

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2019年12月31日 (火)

阪神電気鉄道の旅 車両編 8 1000系

阪神電気鉄道の車両編、今回は1000系の話題です。
阪急同様、阪神でも系列番号は4桁方式を採っており、9000番台の後は1000番台に戻っていますが、阪神が以前、使った番号は1001形であり、1000系は初めての系列名となります。

1000-1203-180324 2018/3/24 布施 6連の奈良寄り先頭車は1200番台

1000-1207-181005 2018/10/5 鶴橋 2017年10月より、1207Fが「Go!Go!灘五郷!」ラッピング電車に

2009年3月20日に阪神なんば線、西九条~大阪難波間が延伸開業したことで近鉄との相互直通運転が開始されましたが、それに先駆け、近鉄線内乗り入れに対応した急行形車両として2006年から近畿車輛で96両製造され、2007年10月5日から営業を開始しました。6両編成と2両編成があり、近鉄の電算記号は6連HS(51-63)、2連HT(01-09)となっています。

1000系は9000系や9300系を基本としていますが、「ヨソイキ・モード」として、新たな沿線における阪神の顔となるべく、車内外のデザインが一新されました。従来、阪神の車両を製造してきた武庫川車両工業が2002年9月30日に解散し、阪神車両工業を含む61年の歴史に幕を閉じたため、1000系の発注は1936年1141形を田中車輌(1920年12月19日に創設、近畿車輛の前身)に発注して以来、70年ぶりの発注となりました。尤も、近畿車輛は8000系「タイプIV」の製造時に設計に参画しました。

1000-1254-181130 2018/11/30 生駒 6連の神戸寄り先頭車は1250番台

主要諸元
最高運転速度 阪神 106 km/h 山陽 110 km/h 近鉄 105 km/h
設計最高速度 110 km/h
起動加速度 3.0 km/h/s
減速度(常用) 4.0 km/h/s
減速度(非常) 4.3 km/h/s
全長 18,980 mm(先頭車)18,880 mm(中間車)
全幅 2,800 mm
全高 4,085 mm(電動車)4,060 mm(付随車)
車体 ステンレス
台車 SS171M、SS171T
主電動機 東洋電機製造製TDK-6147-A かご形三相誘導電動機
主電動機出力 170 kW × 4
駆動方式 TD平行カルダン駆動方式
歯車比 97:16 (6.06)
制御方式 IGBT素子VVVFインバータ制御
制御装置 三菱電機製MAV-174-15V 163(6両編成)
三菱電機製MAV-174-15V 162(2両編成)
制動装置 MBSA回生制動併用電気指令式電磁直通空気制動(付随車遅れ込め制御、直通予備ブレーキ付き)
保安装置 阪神・山陽・阪急形ATS、近鉄形ATS(旧・新併設)

1000-1605-180324 2018/3/24 布施 2連の奈良寄り先頭車は1600番台

6連は9300系同様に3両ユニットを背中合わせに繋いでいますが、主電動機の出力増強により、従来の4M2Tから3M3Tとなり、
大阪方 Tc1-M1-M2 T-M3-Tc2 神戸方となりました。
  ←大阪・奈良        神戸・姫路→             ←大阪・奈良
  1200  1001  1101  1301   1001  1201      1601      1501
      Tc1     M1      M2    T        M3      Tc2                   Tc            Mc
    1201  1001  1101  1301   1051   1251                1601      1501
自重 29.5  35.0   32.5   25.5    35.0    29.5t               29.5       37.5t
定員 123   133    133    133     133     123                  123        123
座席 44    50      50      50       50      44                     44          44
機器 CP VVVF   VVVF            VVVF    CP                     CP         VVVF
              SIV                        SIV                                            SIV

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2019年12月30日 (月)

阪神電気鉄道の旅 車両編 7 9300系

阪神電気鉄道の車両編、今回は9300系の話題です。

9300-9504-191018
2019/10/18 新開地 9300系 9503F

1998年2月15日のダイヤ改正では、神戸高速鉄道を介して山陽電鉄の車両が直通特急として阪神梅田に乗り入れを開始しました。山陽電鉄の特急には5000系5030系といったクロスシートの車両が使用され、さらにJRの新快速でも221系223系といったクロスシート車が使用されており、阪神の8000系9000系はロングシート車であったことからサービス面で見劣りをすることは否めませんでした。
阪神が直通特急にロングシート車を投入したのはかつて3011形を投入した際に輸送需要の増加に対応出来ず、ロングシート車に改造せざるを得なかった過去の経験やラッシュ時の輸送を配慮したせいですが、1998年2月のダイヤ改正で山陽電鉄のクロスシート車に対する不満は出ず、サービスが定着していることから201年3月のダイヤ改正において直通特急の増発で必要となる増備車にクロスシート車を導入することとしました。
同時に1983年9月7801形・7901形・3521形から界磁チョッパ制御車に改造された3000系、昨日の記事にあるように1995年1月の阪神淡路大震災では2編成を失い5編成が活躍していましたが、1998年2月の改正時に2編成が運用を離脱、2003年3月に全廃・形式消滅となりました。この3000系に代わって2001年から2002年に6両編成3本が製造されたのが9300系でした。

主要諸元
最高運転速度 阪神 106 km/h
山陽 110 km/h
設計最高速度 110 km/h(準備で120 km/h)
起動加速度 3.0 km/h/s
減速度(常用) 4.0 km/h/s
減速度(非常) 4.3 km/h/s
車両定員 先頭車 124人 中間車 131人
自重 9301・9401形 34.5 t 9501形 27.0 t
全長 先頭車 18,980 mm 中間車 18,880 mm
全幅 2,800 mm
全高 9401形 4,160 mm 9301・9501形 4,060 mm
車体 普通鋼
主電動機 かご形三相誘導電動機 東洋電機製造 TDK-6146-A
主電動機出力 130 kW
駆動方式 TD平行カルダン駆動方式
歯車比 97:16 (6.06)
制御方式 IGBT式VVVFインバータ制御
制御装置 東芝 SVF047-A0
制動装置 MBSA 電気指令電磁直通空気制動 (回生制動、付随車遅れ込め制御、応荷重装置つき)
保安装置 阪神・山陽・阪急形ATS

←大阪           神戸・姫路→
 Tc1      M'     M      M      M'    Tc2
9501 9301 9401 9402 9302 9502

外観は8000系タイプIV、5500系 性能面、搭載機器は9000系をベースとしており、前面デザイン、塗色、座席は9300系から従来車とは大きく変化しました。ちなみに上部塗色「プレストオレンジ」下部塗色「シルキーベージュ」、さらに床下機器の黒色の組み合わせは読売巨人軍を想起させる塗色であり、「阪神タイガースの親会社がそんな電車を走らせて良いのか?」という物議も醸し出しましたが、8000系のリニューアルでも同様のカラーリングが採用されました。株主総会でもこの塗色に関する質問が出され、経営側は次期リニューアルで検討したいと回答し、以降に新造された1000系や近鉄乗り入れ対応で改造された9000系はブラック処理された前面に、やや黄色に近いオレンジの「ヴィヴァーチェオレンジ」というカラーリングと阪神タイガースの球団旗に近い塗色となりました。

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2019年12月29日 (日)

阪神電気鉄道の旅 車両編 6 9000系

阪神電気鉄道の車両編、今回は1995年1月17日の阪神淡路大震災により被災した車両の代替として1996年に登場した9000系の話題です。
8000系の記事で大震災での被災、代替新造について触れましたが、急行形では2000系、3000系にも被災車がでており、その状況は

20003000

2000系では2編成、3000系は6連1編成が廃車されており、8000系は3両代替新造されましたが、2編成分編成が減っていました。

9000-9201-181005 9000-9202-181005
2018/10/5 鶴橋 近鉄線内を6連で走る9000系 9201F

これらを補うために当時、ステンレス車の製造ラインに余裕があった川崎重工業が6両編成5本(30両)を製造したのが9000系でした。阪神電気鉄道のステンレス車は1959年登場の5201形5201-5202(ジェットシルバー)以来、37年ぶりとなりました。急行形赤胴車に分類されるべき車両ですが、実際の運用は近鉄との相互直通運転対応であり、阪神なんば線・近鉄難波線・近鉄奈良線で運転され、近鉄線内では普通としても運用されています。ちなみに近鉄の演算記号はHQとなっています。

主要諸元
最高運転速度 阪神: 106 km/h
山陽: 110 km/h
近鉄: 105 km/h
設計最高速度 110 km/h(準備で120 km/h)
起動加速度 3.0 km/h/s
減速度(常用) 4.0 km/h/s
車両定員 先頭車 122人
中間車 132人
自重 9101形: 34.5 t
9001形: 32.5 t
9201形: 25.0 t
全長 先頭車: 18,980 mm
中間車: 18,880 mm
全幅 2,800 mm
全高 9001・9201形: 4,060 mm
9101形: 4,160 mm
車体 ステンレス (前頭部のみ普通鋼炭素鋼製)
台車 SS-144A、SS-044A ボルスタレス台車
主電動機 東洋電機製造製TDK-6146-A
主電動機出力 130 kW
駆動方式 TD平行カルダン駆動方式
歯車比 97:16 (6.06)
制御方式 GTOサイリスタ素子VVVFインバータ制御
制御装置 三菱電機 MAP-118-15V59
制動装置 MBSA 回生制動併用全電気指令式電磁直通空気制動
保安装置 阪神・山陽・阪急形ATS、近鉄形ATS(旧・新併設)

JR東日本209系などと同じ2シート工法による軽量ステンレス車体での新製は新規ですが、内外装の多くが8000系タイプIVや5500系を踏襲しており、従来車の車両使用を継承しています。

9000-9207-180324
2018/3/24 今里 9207F

9000-9210-181130
2018/11/30 鶴橋 9209F

編成は 9200形(Tc)ー9001形(M1)ー9101形(M2)の3両ユニットを背中合わせに2組連結し、奇数番車が大阪方、偶数番車が神戸方ととなっており、従来車と同じです。

9000系としては震災復旧で急遽新造された1次分30両で製造が終了となりましたが、主電動機、台車などは2001年3月に導入された9300系に引き継がれました。

2009年の阪神なんば線開業で近鉄難波線、近鉄奈良線との直通運転開始に合わせ、1000系2連併結で10両編成運転を行うための改造、そして運転台を近鉄シリーズ21に合わせた横軸ツーハンドル式への交換、リニューアル工事が施工されました。連結器も従来のバンドン式密着式連結器から廻り子式密着連結器への換装も行われました。

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2019年12月28日 (土)

阪神電気鉄道の旅 車両編 5 5500系

阪神電気鉄道の車両編、今回は1995年から2000年にかけ、4連9本36両が投入された普通列車用(ジェットカー)5500系です。

5500-5515-191019
2019/10/19 御影 5515F 駅間の短い阪神本線

阪神初のVVVFインバータ制御車であり、後日紹介する9000系とともに1995年1月17日の阪神淡路大震災で被災した車両の代替として前倒しで製造開始された経緯があります。2010年にはマイナーチェンジ車として5550系が1編成4両製造されています。今回の旅行では5550系には遭遇出来ませんでした。

二代目5001形記事でも紹介しましたが、阪神の普通系車両は、特急や急行の優等列車に対して駅間の短さ、カーブの多い線形に対処するために高加減速性能が求められた結果、1958年に試作として初代5001形が登場し、ジェットカーと言われてきました。

Photo_20191227202101

初代5001形以降、普通列車用に製造されたジェットカーの形式(二代目5001形は除く)は年代順に上記のようになります。
5500系はこれらの形式の老朽化を見込んで開発がスタートしていましたが、1995年1月の大震災で普通用車両も8両(5151形2両、5261形4両、5331形2両)の被災廃車が発生し、代替新造が必要となり、まず2編成8両(1995年11月、1996年1月)が製造されました。阪神がVVVFインバータ制御を導入したことで日本の大手私鉄全社でVVVFインバータ制御方式が採用されました。

5500-5517-191019
2019/10/19 寝屋川

車体は普通鋼製19m3扉車で8000系のタイプIV後期製造車を踏襲しています。外部塗色は「震災を乗り越えて新たに出発する」と願いを込めて上部を「アレグロブルー」(空色)、下部を「シルキーグレイ」(淡灰)のパステル調の新塗装が採用されました。

台車は阪神初のモノリンク式ボルスタレス台車、住友金属工業製SS-144を履き、車輪径は従来のジェットカーの762mmから急行系車両の860mmとなりました。主電動機は出力110kW、駆動方式はTDカルダン駆動方式となりました。

←大阪              神戸→
形式 5501形 5601形 5601形 5501形
    Mc1       M1         M2         Mc2
          5501     5601      5602      5502
自重    34.0t    35.0t      35.0t      34.0t
定員  122     132        132        122
          CP,SIV   VVVF     VVVF      CP,SIV

5500-5503-191019
2019/10/19 尼崎 すっかりイメージが変わったリニューアル編成

導入から20年以上経過した2016年度以降、リニューアル工事が開始され、リニューアルされた車両を阪神ではリノベーション車両と称しています。

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2019年12月27日 (金)

阪神電気鉄道の旅 車両編 4 8000系

阪神電気鉄道の車両編、今回は1984年から126両(+補充車3両)投入された優等列車用(急行用車両)8000系です。

阪神にとってみれば初めての6両固定貫通編成の系列であり、Tc8201形-M8001形-M'8101形の3両を2組連結した組成となっており、末尾の車両番号奇数が大阪方、大阪方3両番号に1を加えた偶数が神戸方となっています。また制御システムは阪神としては最初の回生・抑速ブレーキ付き界磁チョッパ制御となりました。そういった意味で非常にエポックメイキングな車両となりました。

Photo_20191226185701

3011形から始まる阪神電気鉄道の初期高性能車(急行形)

8000系が製造される背景には3011形から始まった初期高性能車(急行形)の老朽化の進行がありました。さらに武庫川線が1984年に武庫川団地前まで延伸されたことで、それまで3301形単行を7861・7961形に置き換えることとなり、この車両の捻出のための新車投入が必要となりました。

阪神の車両で○○形と名乗る車両はそれぞれどの形式とも併結運転が可能なタイプであり、それらから改造されて誕生した2000系、3000系、そして8000系はその系内でしか併結できないことを示しています。

8000-8229-081212
2008/12/12 垂水 リニューアル前の8229F タイプIII

阪神におけるチョッパ制御方式の導入は阪急や近鉄と同じで最初は電機子チョッパ方式、それも力行のみで回生ブレーキの無い方式が1971年から1972年にかけて行われた3601形の7601形への冷房改造の際に試験的に行われました。続いて回生ブレーキ付きの電機子チョッパ方式1980年から製造された普通系の5151形・5311形の改造で試され、1981年から1983年にかけて製造された5131形・5331形で本格的に装備されました。
一方、より経済的な界磁チョッパ方式1983年から1989年にかけて行われた7801形・7901形と3521形の3連を改造した3000系で試験的に装備されました。3000系では三菱電機製の制御装置が使われましたが、8000系では東芝製となり、ブレーキ装置は阪神では初めてとなる全電気指令式電空併用抑速付きのMBSAが採用されました。また補助電源装置も8000系で初めてSIVが使用されました。

8000系は1984年から1996年まで12年間に渡り製造され、途中3回のモデルチェンジが行われ形態が大きく変化しました。

8000-8502-191019
2019/10/19 西宮 8502 タイプIの元8201で、震災で被災し、8201Fから生き残った8102と8202、8223Fの8023と8123、そして補充新製の8523を合わせ、さらに8201を方向転換し、8202の番号に300を加えて8502としました。

8000-8523-191019
2019/10/19 上記の8502と編成の前後で顔が異なり、かつ3両ずつでサイズが異なる異色編成

タイプI   8201F   1編成 1984年        1次車    従来車と似た3面折妻、前照灯は窓上に

8000-8215-191019
2019/10/19 西灘 8215F タイプII 

タイプII 8211F-8215F 3編成 1984年~1990年   2-4次車   先頭部の窓廻りに縁取り

8000-8219-191019
2019/10/19 寝屋川 8219F タイプIII

タイプIII 8217F-8231F 8編成 1986年~1990年  5-12次車   空調方式が集約分散式に

8000-8234-191019
2019/10/19 神戸三宮 8233F タイプIV

タイプIV 8233F-8249F 9編成 1991年~1995年 13-21次車   内装デザインの一新と側窓の拡大、なお8249Fは震災後の登場

さらに1995年1月17日の阪神淡路大震災では6連20本+3両のうち、半数以上の11編成が被災し、その被災状況は

8000

この表のようになりました。15両が廃車となりました。

Photo_20191226195401

被災から復旧した車両を組み合わせて新たな編成を組成し、組成できないピースを3両補充製造するとこにしたため、最終的に2編成減の19編成ということになりました。なお、補充新造された車両はそれまでその位置にいた車両の番号に300を加えた番号となりました。

2002年、第1編成の竣工から20年近く経過するためリニューアル工事が開始され、電子部品と客室内装の更新、バリアフリー設備の設置、中間車4両への転換式クロスシートの設置が行われ、塗装は9300系と同様に上部にオレンジ色(プレストオレンジ)、下部に白(シルキーベージュ)を配した塗り分けとなりました。

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2019年12月26日 (木)

阪神電気鉄道の旅 車両編 3 3801・3901形、7890・7990形

阪神電気鉄道の車両編、今回は現在も武庫川線で活躍を続ける7890・7990形の基となった3801・3901形の話題です。

3801・3901形は二代目5001形の記事でも登場しましたが、1974年から1979年にかけて当時の西大阪線(現在の阪神なんば線、それ以前は伝法線)の難波駅延長計画を見越し、同線用に4両編成3本が製造されました。西九条から難波までの延伸区間には安治川橋梁と地下区間の間に40‰の急勾配が存在することとなるため、これに対応した急行用(赤胴)車を製造する必要が生じました。

7801形以降の急行車では発電ブレーキが省略され、7001形では力行専用の電機子チョッパ制御が採用されていたので、これをベースに抵抗制御とし、下り勾配に備え、抑速ブレーキを備え、主電動機の出力を増強した3801・3901形が製造されることになりました。

台車は阪神初のS型ミンデン台車、住友金属工業製FS-390(電動車),FS-090(付随車)を履き、乗り心地の向上が図られました。主電動機はそれまでの110kW/300Vから130kW/340Vに増強、歯車比は5.69から5.77(81:14)としました。抵抗制御方式に戻され、抑速ノッチが追加されました。電動カム軸式制御器と主抵抗器が3801形に搭載されました。

ブレーキは電空併用抑速ブレーキ付きHSC-D電磁直通ブレーキで、抑速ブレーキ対応のための発電ブレーキが復活しました。パンタは下枠交差式を3801形奇数車に2基、冷房装置は分散式をパンタ搭載車に6台、非搭載車に7台載せました。

1974年に4両編成2本、1977年に4両編成1本が武庫川車両工業で製造されました。

 Tc1  M   M'  Tc2
3901 3801 3802 3902
3903 3803 3804 3904
3905 3805 3806 3906

西大阪線の延長は沿線住民の反対や阪神本線の輸送需要の伸び悩みで進まず、やがて凍結されることに。そのうちに阪神の優等列車の編成が6両となると、同じ発電ブレーキ装備の3501形等を併結しましたが、1980年代に入り3501形、3561形、3061形の置き換えが具体化するにつれ併結対象の形式がなくなり、阪神本線で運用できなくなる状況が予想されました。さらに3901Fは製造以来、故障がちで原因不明の脱線事故もよく起こしており、1985年4月22日に山陽電気鉄道本線須磨寺~月見山間で発生した原因不明の脱線事故を機に運行停止となり、1986年3月13日付で廃車されました。

残りの8両に関して。1986年夏に組成変更が行われ、3903Fの梅田より3両、3905Fの元町より3両から本線用6連として8701・8801・8901形、武庫川線用2連として7890・7990形に形式変更されました。これにより、3801・3901形は形式消滅しました。

新形式 Tc8901 M8801 M'8701 M8801 M'8701 Tc8901
    8901  8801  8701  8802  8702  8902
旧型式 Tc3901 M3801 M'3801 M3801 M'3801 Tc3901
    3903   3803    3804      3805     3806      3906

78907990-191019-2 78907990-191019
2019/10/19 武庫川 駅の連絡線に留置されている7890・7990編成
       今回の旅行では武庫川線に乗車していないためこんな写真しか撮影できませんでした。機会があれば再訪したく思っています。

新形式 Tc7990 Mc7890
      7990     7890
旧型式 Tc3901 T3901 
      3905     3904

3904は電装化改造され、台車もFS390に履き替え、制御装置は1C4Mのものが搭載され、武庫川線の最高速度45km/hに合わせ、主電動機は4台永久直列となり、発電ブレーキは撤去されました。電動車が偶数向きとなったため、トップナンバーを形式名とする阪神の車両番号付番のルールにより阪神唯一の末尾0で始まる形式となりました。

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2019年12月25日 (水)

阪神電気鉄道の旅 車両編 2 7801・7901形、7861・7961形

阪神電気鉄道の車両編、今回は7801・7901形とさらに同規格で製造され、現在も武庫川線で活躍する7861・7961形です。

Dsc04264
2019/10/19 武庫川線で活躍中の7964F 現在、武庫川線には7864、7866,7868の3編成が在籍しています。

1963年2月のダイヤ改正で特急・急行用の赤胴車に関しては3301・3501形3601・3701形の増備で昼間時の特急・急行運用は大型車で対応可能になりましたが、朝夕のラッシュ時には車両が不足し、小型車が併用されていました。さらに1968年の神戸高速鉄道線開業や山陽電気鉄道との直通乗り入れ開始で架線電圧も600Vから1500Vへの昇圧が決まっていました。そういったことに対応し、輸送力を増強し、合理化を図るため、3601・3701形を基本に発電ブレーキを省略し、設計を大幅に簡素化して量産されたのが7801・7901形でした。電気ブレーキを省略したことから、続番の3801・3901とはせず、7000番台になりました。

1963年から1971年にかけて、
7801形 7801~7850 (7841・7843・7845・7847・7849は欠番) 制御電動車
7901形 7901~7921・7923~7950(7941・7943・7945・7947・7949は欠番) 付随車 
7922は3011形余剰車から改造編入 合計90両が在籍

5001-5018-7816 昨日の記事の写真の再掲ですが、奥の急行編成は7806Fです。

形態は3タイプと1編入車に分けられ
1.初期車 34編成 1963年から1968年まで製造 経済設計 切妻構造 片開き扉
  奇数車 ←梅田 Mc1 T1元町→ 7801 7901   7833 7933
  偶数車 ←梅田 T2 Mc2元町→ 7802 7902   7834 7934   7922は新製されず

2.3011形からの編入者 7922 3561・3061形に編入された際に余剰となった3021の改造編入車
      車体裾は丸みを持ち、車体長も7901形が18,800mmなのに対し、19,100mmと若干長い

3. 昇圧後の1969年から投入されたグループで、7835,7935の車両はラインデリア搭載の両開き扉車、側窓の構造が変化し、前面は3面折妻、車体裾部の丸みが復活 10両
  奇数車 ←梅田 Mc1 T1元町→ 7835 7935   7839 7939
  偶数車 ←梅田 T2 Mc2元町→ 7836 7936   7838 7938

4.1970年に投入された7840以降のグループで新製冷房車に
  偶数車 ←梅田 T2 Mc2元町→ 7840 7940   7850 7950

主電動機は定格出力110kWの直流直巻き整流子式電動機で7801形に4基搭載、駆動方式は中空軸並行カルダン方式で歯数比は5.69(74:13)、主制御器は三菱電機製のABFM-114-15-MA電動カム軸式抵抗制御器を7801形に、発電ブレーキは持たず、空気圧縮機 (CP) は7801形にDH-25-Dを搭載し、電動発電機 (MG) は7801形に12kVAのものを搭載しました。

台車は7801形は住友金属工業製FS-341軸ばね式金属ばね台車なのに対して、7901形は7922を含め、本形式で代替される小型車の851・861・881の各形式からボールドウィンタイプのBW-78-25-AA(ブレーキは両抱き式)を転用して装着しました。この辺は西武鉄道の601系や701系と共通性があります。2次車以降の7901形は、電動車に準じた形状の住友金属工業FS341Tを新製装着して竣工し、3次車では2次車と同じく住友金属工業FS341(7801形)およびFS341T(7901形)を装着するが、7001・7101形用と同様、台車枠が鋳鋼製ではなく鋼板プレス成形材を溶接したものに変更されました。

さらに派生形式として増結編成用にMc1Tc1 もしくはTc2Mc2の2連が1966年から1968年にかけて8編成製造されました。これが7861・7961形で奇数車は7861 7863の2連2本、偶数車は7962 7964 7966 7968 7970 7972の2連6本が製造されました。

また、7801・7901形に増結して3連化するための片運転台の車両3521形1966年から1969年にかけて12両製造されました。
  Mc1 ←梅田 3521からの奇数 3531まで
  Mc2 元町→ 3522からの偶数 3532まで  

阪神の昇圧は1967年11月12日で、1500V化でパンタ2基で登場した7801形1次車、3521形初期車はパンタを撤去となりましたが、7801形、7861形が運転台よりパンタを撤去したのに対して3521形は連結面よりのパンタを撤去しました。1968年より、初期車に対する体質改善工事が実施され7901形のボールドウィン台車はFS341 台車に交換され、1971年からの冷房化改造で運転台後部の座席の増設も行われました。

1977年から3521形も含めた1次車に行先表示器の取付改造を開始し、1979年には2次車に、1981年には7861形、1983年には3次車に取り付けることで全車に行先表示器が装備されました。

1983年から1989年にかけて、7801・7901形の7801 - 7901から7912 - 7812までの12ユニットが、3521形全車とともに3000系に改造されました。制御装置は回生ブレーキ付き界磁チョッパ制御となり、主電動機も複巻電動機となりました。

7861形のうち7870F・7872Fの2両編成2本について、7801・3521形の3000系への改造で生じた電装品を活用して制御車の電装改造を実施されました。車番は7970→7871, 7972→7873に改番され、7831 - 7931 + 7870, 7871 + 7932 - 7832, 7833 - 7933 + 7872, 7873 + 7934 - 7834の3両編成4本に再編された。この際、7871・7873は前から2つ目の冷房機を撤去して下枠交差式のパンタグラフを搭載しました。

3次車は、製造時期を同じくする7001・7101形とともに1990年秋から2000系への改造が開始されました。編成は6両固定となり、制御装置も界磁添加励磁制御となりました。

2000年10月の武庫川線ワンマン運転開始に伴い、7861・7961形の3編成6両(7864・7866・7868編成)がワンマン化改造されました。

現時点で7801・7901形は全廃されましたが7861形は武庫川線ワンマン運用車が健在です。

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2019年12月24日 (火)

阪神電気鉄道の旅 車両編 1 二代目5001形

今回から阪神電気鉄道の車両編です。

まずは1977年から1981年にかけて32両が導入された二代目5001形です。

5001-5018-7816
1981年頃 尼崎 まだ2連だった頃の5001形 5017-5018編成

阪神の車両の塗装は急行用が赤系統(赤胴車)で普通用が青系統(青胴車)に分けられています。これは阪神本線などの駅間が非常に短いことに由来し、加減速を頻繁に繰り返す普通列車と停車駅が少ない急行列車用の車両を区別して製造することが同社にとって極めて重要であったことを意味しています。

5001-5004-191019
2019/10/19 上り列車の車内から撮影した 5001編成

1950年代前半から、高加減速度車両の開発を車両関係部門、電機メーカーなどと進めており、近鉄の「ラビットカー6800系」に次ぐ高加減速車両として「ジェットカー初代5001形」を1958年に登場させました。初代5001形は先行試作車でしたが、その成果を踏まえ、5101形、5201形(1959-1960)、5231形(1961-1963)、5151形(1964)、5261形(1967-1968、1970)、5311形(1968-1969)などの形式が製造されました。これらの中で冷房車として製造されたのは1970年製造の5261形の5271-5274が最後で、以後は急行用車両の冷房化完了まで保留状態でした。そして初代5001形や5101形・5201形の32両に関しては冷房化改造はせず、新車の導入で置き換えることとなったため、新たに1977年から製造されたのが二代目5001形です。武庫川車両工業でMc1-Mc2固定ユニット16組32両が製造されました。

5001-5005-191019 住友金属工業製のFS-391A(S形ミンデン空気ばね台車)

5001-5005-191019-2 2019/10/19 西灘

車体の外観は1974年から1977年にかけて西大阪線の難波延長を見越して4両編成3本計12両製造された急行用3801・3901形と同一のスタイルです。住友金属工業製のFS-391A(S形ミンデン空気ばね台車)を履き、電動カム軸方式の抵抗制御、1台の制御器で2両分8個のモータを制御する1C8M方式、東芝製のPE-30-A1制御器が偶数車に搭載されています。主電動機は出力90kW、駆動装置は中空軸並行カルダン方式です。補助電源は出力70kVAのCLG-346形のMGを奇数車に、CPはDH-25-D形を奇数車に2基搭載しています。ブレーキは電気直通式HSC-Dで発電ブレーキ併用、抑速ブレーキ付きでしたが、阪神線内では使用機会が無いため後年、マスコンハンドルが抑速側に入れられない様にロックされました。

5001-5020-191019
2019/10/19 御影
1987年12月から普通列車の運用が終日4連化されたため、1988年4月から4両固定化工事が進められ、中間に連結される車両の運転台撤去、客室化が進められました。車番等に変更はありません。1994年から保全工事も進められ、車椅子スペースの設置、ドアエンジンの変更などが進められました。2009年の近鉄との相互乗り入れで2006年度から連結器をバンドン型連結器から廻り子式密着連結器に換装する作業も進められました。

5001-5005-191019-2 2019/10/29 甲子園

車番は ←大阪梅田 5001-5002-5003-5004 元町→ と1両ずつ番号が増えてゆく京浜急行などと同じ方式

5001形と同じ車体に東芝製の電機子チョッパ制御器を載せたのが5131形、三菱製の電機子チョッパ制御器を載せたのが5331形(10とお、30みつとして区別されたようです)、それぞれ14両、10両、1981年から1984年にかけて製造されましたが、2019年5月に全車廃車となりました。

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2019年12月23日 (月)

阪神電気鉄道の旅 その歴史

2019年10月18日から20日にかけて、近鉄のイベントに参加する主目的で関西を訪れ、阪急、阪神、京阪各線に乗車し、各会社の車両の記録、沿線見物等を行いましたが、今回からは阪神電気鉄道です。

Hanshin Electric Railway Linemap.svg
Wkipedia 阪神本線の路線地図から


1905年4月12日に大阪(出入橋)~神戸(三宮)間で大都市間鉄道として我が国初の高速運行の電車で営業が開始されました。
現在、その路線は
本線     大阪梅田~元町    32.1km
阪神なんば線 大阪難波~尼崎    10.1km 西九条~大阪難波間3.8kmは第二種鉄道事業者
武庫川線   武庫川~武庫川団地前 1.7km
神戸高速線  元町~西代      5.0km  元町~西代間は第二種鉄道事業者

最初の路線免許は1899年6月12日に当時の農商務大臣から大阪資本の坂神電気鉄道と神戸資本の摂津電気鉄道が合併して出来た旧摂津電気鉄道に下付されており、同年7月に社名が現在の阪神電気鉄道に変更されました。

191019
2019/10/19 大阪梅田駅に掲示されている 近鉄奈良線~阪神線(本線、なんば線)~山陽電鉄線の路線図

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大阪梅田と神戸三宮の駅名標 これが阪神のスタイル

設立当時から広軌高速の電気鉄道を理想に掲げましたが、官設鉄道との競合もあり、普通鉄道としての免許が得られない可能性が高かったので、軌道条例による許可を基に、広軌化、専用軌道化、速度の変更の出願をして行く方針としました。1905年4月12日の三宮~出入橋間の開業後、1906年には梅田まで単線で開業、1914年に複線専用軌道化されました。同年には野田~天神橋筋間で北大阪線を開通させています。

1926年7月1日には甲子園線(上甲子園~中津浜)、1927年7月1日には国道線(野田~東神戸)と併用軌道(路面電車)の路線を開業しました。これらのうち国道線は別の会社が国道上に軌道を敷設するのを防ぐための予防措置で、1925年に子会社として阪神国道軌道を設立し、突貫工事で開業に結びつけ、1928年に子会社を吸収して本社直営にするというやり方を採りました。甲子園線は沿線の不動産開発に伴う輸送力の確保が目的でした。戦後の1950年代に最盛期を迎えましたが1960年代にはモータリゼーションの影響を受け、表定速度の低下、乗客源に悩まされ、尼崎市や西宮市から撤去を要請され、1975年5月、甲子園線、北大阪線、国道線は姿を消しました。

1933年に三宮~岩屋間の地下化工事が完成し、三宮駅は長さ125m・幅25mのホームが4本整備され、当時国内最大級の地下駅といわれました。これにより本線全線が専用軌道化さ、特急の運転が開始されました。1936年には三宮~元町間の地下線が開業、一方大阪中心部では1939年に出入橋~梅田間の地下線も開業しました。

阪神なんば線の前身の伝法線は当初、神戸~野田間を想定していましたが、1924年1月20日大物~伝法間、1928年12月28日尼崎~千鳥橋間が開業し、支線という位置づけになりました。また今津出屋敷線の一部として建設された尼崎海岸線1929年4月14日に出屋敷~東浜間で開業しました。尼崎臨海工業地帯の足として運行されましたが、1962年12月1日に出屋敷~高洲間が廃止され姿を消しました。

今回、乗車はしませんでしたが武庫川線は尼崎海岸線から大戦中に戦闘機を量産する川西航空機鳴尾工場を経て甲子園口駅に至る路線として計画されていましたが軍部の要求で1943年武庫川~川西航空機(洲先)間が開業、1944年には武庫大橋まで開業し、省線西宮から貨物列車の乗り入れが開始され、軌間の違いに対処するため三線軌条方式となりました。

戦後、1954年初めて大型高性能車3011形を嚆矢として普通用「ジェットカー」などの新車両が投入され、1966年までに小型旧形車両は姿をけしました。一方でモータリゼーションの発展により、併用軌道線は廃止に追い込まれ、バスに転換されました。

1995年1月17日早朝に発生した阪神淡路大震災では西灘~御影間で陸橋8カ所が落下、石屋川車庫の崩壊、営業中の2列車の脱線など甚大な被害を被り、鉄道被害は454億円、全社で481億円の被害となりましたが、全力で復興に取り組み6月26日には全線で運転を再開することができました。震災で41両の車両が廃車され、代替車両として初めてのVVVFインバータ制御車両5500系が投入され、カラーの36年ぶりに変更されました。1996年には急行用車両として19年ぶりのステンレス車9000系が投入されました。

1998年、阪神梅田~山陽姫路間を直通する特急の運行が開始、2001年にはクロスシートの9300系が投入されました。

10-191019
181005 2018/10/5 大阪難波駅の阪神線切符販売機

震災と前後して、西梅田開発(国鉄梅田貨物駅跡地開発)、西大阪線(1964年、千鳥橋から西九条まで延伸された際に伝法線から西大阪線に改称)の延伸という大きなプロジェクトが開始され、約40年の年月の経過後の2003年に工事が着工され、2009年3月20日に大阪難波まで開業、近鉄との相互乗り入れが開始されました。このとき、西大阪線は阪神なんば線に、近鉄難波駅は大阪難波駅と改称されました。

すでに阪急の記事で触れていますが、阪神電気鉄道は2006年10月には阪急HDGと経営統合し、阪急阪神HD株式会社の完全子会社となりました。

鉄道部門の施策として、高架化工事、開かずの踏切の解消、駅の改良工事、利便性向上策の推進、そして将来的に減少が懸念される沿線人口問題に対し、沿線活性化プロジェクトを推進しています。 

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