2024年春の名古屋周辺旅行 トヨタ博物館を見学 その15 1960年代 小型車BC戦争で初めて勝利した3代目コロナRT40型
1960年代、日本の乗用車市場はトヨタ自動車は1962年9月に初代からフルモデルチェンジした2代目クラウン(RS4#型)を発売、日産自動車はオースチンA50ケンブリッジの後継車種として1960年4月に30型セドリックを世に出しました。両社のフラッグシップカーにはいずれも1500~1900㏄エンジンが搭載されていました。初代セドリックは縦に並んだ4灯のヘッドランプが特徴的でした。後に日産に吸収合併されるプリンス自動車工業(1958年当時は富士精密工業)は1958年10月にスカイライン1900を第5回全日本自動車ショウにて発表、1959年1月にその派生型として初代グロリアBLSIP-1型が発売され、戦後一般発売された日本車第1号の3ナンバー車となりました。日産とプリンスの合併により、セドリックとグロリアは姉妹車関係になりますが、クラウンを含めた3ブランドが1980年代頃まではわが国のフラッグシップカーの位置にありました。
その弟、妹分として各社の販売の中核に位置付けられたのがトヨタではコロナ、日産ではブルーバード、プリンスではスカイラインでした。
ブルーバードは3月17日の記事で紹介したダットサン11型フェートン、1938年発売のダットサン17型セダン、戦後の1955年発売のダットサン110型、エンジンをSVからOHVにした改良型210型の流れを引き継ぎ、1959年310型としてデビューしました。初めて前輪独立懸架方式が採用され、乗り心地が改善されました。初代は1963年まで製造され、1963年、フルモデルチェンジでピニンファリーナによるデザイン、フル・モノコックボディの410型となりました。しかし、このアヒルのような尻下がりのボディラインが不評を買い、販売台数でライバルコロナの先行を許しました。1967年のフルモデルチェンジで直線的なスタイルの510型に生まれ変わり、再び人気が回復しました。
ダットサンブルーバード P411型
全長 3995㎜ 全幅 1490㎜ 全高 1440㎜ 重量 915kg ホイールベース 2380㎜ 水冷直列4気筒OHV1299㏄
最高出力 46kW/62PS/5000rpm
スカイラインは初代はグロリアの派生元であり、1962年4月にはイタリア、カロッツリアデザインのスカイラインスポーツ(4つの前照灯が吊り上がった目のように配置されたモデル)などを出すなど路線がはっきりしていない感がありましたが、1963年のフルモデルチェンジで高級車路線はグロリアに譲り、1500㏄クラスの量販車となったS5型で路線が定まった感があります。このモデルからスカイラインGTが登場、さらに1966年日産との合併がありましたが、ブランド名は3代目以降も引き継がれてゆきました。
話はだいぶ横道にそれましたが、トヨペットコロナは昨日の記事にあるように1957年、初代ST/PT10型をデビューさせました。これはRS型クラウンのタクシー版として製造されたトヨペット・マスター(関東自動車工業が1955年1月から1956年11月まで生産)のタクシー業界への反版不振(クラウンの前輪独立懸架の耐久性がタクシー仕様に耐えられることがわかり、従来のリーフリジットアクスルを採用したマスターの乗り心地の悪さと操縦安定性の低さによる)でマスターへの設備投資が無駄にならないようにと関東自動車工業の生産技術を維持するため、マスターのボディパネルやウインドウガラスを流用して製造されたものでした。基本的には2代目T20型が登場するまでのつなぎ的存在でしたが、関東自動車が以前から研究していたモノコックボディが初採用された量産乗用車となりました。
2代目コロナT20/T30型はダットサンセダン、310型ブルーバードに対抗する車としてトヨタが総力を挙げたモデルでした。設計上の最大の特徴は1枚リーフとコイルバネによるカンチレバー式(レコードの針の機構)リアサスペンションでしたが、当時の日本はまだ未舗装道路が多くタクシーとして酷使されると強度不足が露呈しました。またピラーが細かった点もボディのスマートさよりも耐久性の面でタクシー業界からは不評を買いました。この時点ではブルバードの優位は揺るがず、トヨタは業界2位に甘んじていました。
1964年9月、これまでの教訓を生かして海外市場でも通用する高性能、高品質の車として開発したのが3代目T40/T50型でした。エンジンは2R型1490㏄、70HPを搭載、中型車並みの乗り心地とするためボディサイズは全長、全幅で60㎜、室内幅で40㎜拡大し、フロントノーズはアローラインとしました。開通間もない名神高速道路で10万キロ連続高速走行公開テストが実施され、58日間で10万キロを完全走破、高速性能と耐久性がアピールされました、その効果もあり、人気が急上昇、ダットサン・ブルーバードの販売台数を1965年1月初めて抜き、国内販売台数1位を獲得しました。同年末には1位の座を盤石なものとし、1968年カローラに抜かれるまでコロナの首位は続きました。
トヨペットコロナ RT40型
全長 4110㎜ 全幅 1550㎜ 全高 1420㎜ 重量 945㎏ ホイールベース 2420㎜ 水冷直列4気筒OHV1490㏄
最高出力 52kW/70PS/5000rpm
ボディタイプは4ドアセダン、2ドア、4ドアバン、日本初の2ドアハードトップ、5ドアセダン、ピックアップトラックが揃えられました。輸出も好調で、日本車単一車種輸出台数新記録を樹立したのもT40型でした。1968年9月にはコロナマークIIも登場しました。三代目の生産台数は57万8534台でした。
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