E531系 クハE531-17の廃車
鉄路を走行する鉄道車両、例えどんなに新しくても自然災害に巻き込まれたり、踏切事故等で大きく損傷したりして、廃車になることはしばしばあります。常磐線、水戸線、東北本線、上野東京ラインを活躍の場とするE531系においても2005年の登場以来、何度か踏切事故等による被災を経験してきました。
2021年3月26日,午前0時8分頃、パトカーの追跡を受け、逃走中だった自動車が道路脇の塀に衝突後、勢い余って線路際のフェンスを突き破り、常磐線土浦~神立間の下り線路に侵入、線路内で立ち往生したところに品川発勝田行最終1269M、E531系(K417編成)10両編成が衝突、先頭車両が脱線、自動車の燃料に引火したためか自動車と先頭車両が炎上する大事故となりました。
電車の乗務員と乗客にケガはありませんでしたが、事故により電車は立ち往生、乗客は徒歩での移動を強いられ、その時間帯、付近を走行中の旅客車両は上下線ともバスでの代行輸送となり、夜明け以降も半日ほど土浦~羽鳥間で運転が見合わせられました。
衝突事故直前に運転者が車を乗り捨てて逃走していること、自動車のナンバープレートは当該車の登録ではなかったこと、さらに前年6月で車検切れだったことも判明し、茨城県警は道路交通法違反、道路運送車両法違反で運転していたベトナム国籍の26歳工員を逮捕、さらに電汽車往来危険転覆などの疑いで再逮捕しました。
現場の自動車は現地解体、E531系編成は自走回送され、26日、午後5:50頃、常磐線は全線で運転を再開する事態となりました。まさにJR東日本としてみれば、たまたま線路付近で行われた大捕り物の末、線路内に侵入した自動車に運悪く通過しようとした最終電車が衝突するというとんでもないもらい事故となりました(以上、情報はこちらから)。
2013/12/23 友部 K417編成 手前がクハE531-17
2017/10/16 藤代 事故の現場写真ではちょうどこの客用扉前の部分が大きく焼損しています。
この事故でK417編成の下り方先頭車クハE531-17は運転室から第一乗客用扉までの前頭部が大きく焼けました(現場の写真はこちらに)。
K417編成は2006年8月17日、新津車両製作所で1,2,3,7,8,10号車に相当する6両クハE530+モハE530/531x2+クハE531が竣工、10連化までは営業運転に入らず、2007年1月29日に4,5車にグリーン車サロE530/531、6,9号車にサハE530-2015,サハE531-2006を組み込み、10連化されました。
事故後、K417編成は2021年4月8日から、K409編成のクハE531-9を下り方(仙台方先頭車)として組み込み、K409編成は同年8月5日まで9連で営業運転離脱状態となっていましたが、K461編成のクハE531-1011を連結して、10連となり営業運転に復帰しました。しかし、2022年3月30日にクハE531-1011は編成から外され、9連状態に戻され、営業運転から離脱しました(情報はこちらから)。
事故で被災したクハE531-17は2022年2月9日付で除籍となり、2月中旬には解体となったそうです。E531系に関しては最近も新造されていますのでかつてE233系0番台青661編成の3両が踏切事故で廃車され、同番号の車両が製造されたように数年後にクハE531-17の2代目が製造されるかもしれません。E233系1000番台177編成のように先頭2両の損傷で1編成10両が実働4年で廃車となったケースもありますが、交直両用車両であるE531系の場合は製造コスト等も考慮すれば、営業運転から離脱している9両のことも考慮すれば代替新造があるようにも思えます。
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